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036 納品クエスト

不定期更新ですよ。

PV.4000いきました。

ありがとう

(  ̄▽ ̄)

 SUVに乗車してでの帰り道の事を考えていなかったが、問題は無かった。


 SUVは村までの最短ルートを走っている。


 現在地と村を点と点で結んだ直線をだ。


 車なので浮いてはいない。


 木々が生い茂る森の中、真っ直ぐに走行している。


 そんな事が可能な理由はSUVが走る前方の木々は車両にぶつかる前に消えていく為だ。


「これ、どうなってんの?」


「風の刃を前方に放ち、木々を魔物袋で回収しながら前進しています」


 当たり前だが、後方を見ると綺麗に道が出来ている。


 いや、地面すれすれの切り株が点々としていて綺麗とは言えないが。


「走行するだけで道が作れるのは便利だな」


 ふとグリンが思い出したかのように問いかけてきた。


「結局、神とやらのスキルは何だったので?」


「あぁ、あれな」


 基本的なスキル。


 この異世界で暮らす為に有ってもいいスキルだ。


 1つは良く聞く[言語取得]。


 相対した者の思考から言語を読み解き覚えられるというもの。


 聞く事は勿論、話せ、読め、書ける。


 これは助かる。


 それともう1つ[RPG]、ロケットランチャーの事ではなく、ロールプレイングゲームの略称だ。


 即興で創ったスキルで製作者もとい情報提供者は召還された子供達。


 本来なら用意されていたのは[世界地図]。


 その名の通りこの世界の地図だ。


 だが、サム=クゥエルを筆頭に一部の男子が抗議した結果、[RPG]という新造スキルに変更になった。


 でも、まぁ、グッジョブかな。


 [RPG]は視界内にゲームの様なパラメーターが現れる。


 左上に自分のHPとMPが、右下には地図が、表示される。


 それに意識しなければ、ほぼ透明というのもいい。


 更にフレンド機能だ。


 フレンド登録した人がどこにいるのか、地図で見る事が出来るのだ。


 色々と性能アップしているがダウンした点もある。


 元の[世界地図]はダンジョンの隠し部屋から太陽の裏側まで確認できる優れもの。


 だが[RPG]の地図は穴埋め式。


 自分で通ったルートの半径1kmしか表示されない。充分だけどね。


「それと[神位スキルの元]」


 子供達は望むスキルを与えられている。


 一応、[ゴーレム]を貰ってるけど、ボクが望んだわけではない。


 だから、ボクにも望むスキルを授けるとアーガスに言われた。


 けど、突然言われて思い付かない。


 よく子供達はその場で思い付いたものだ。


 正直[ゴーレム]だけでも充分だし、グリンがいるから大抵の事は出来てしまいそう。


 でも断るのも勿体無く葛藤しているとアーガスから一言。


『カタログを渡しておこう』


 そのカタログから決めてもいいし、新たに創造(つく)ってもいい。


 つまり、保留。


 思い付いたらでいいと授けられたのが[神位スキルの元]だ。


 これはスキルではなくてアイテム。


 光輝く球体で重量ゼロ。


 今はストレージにしまっている。


 スキルを決めたら手に取り『願え』だそうだ。


「グリンだったら何願う?」


「ワタシですか? 無難にダンジョン生成とかですかね」


「ダンジョンが無難なんだ」


「配下に入れられれば楽しいでしょう?」


「配下にねぇ……配下? 何を?」


「ダンジョンが魔物です」


「ダンジョンって生き物なのか」


 木々を消しながら静寂の森を進むSUVの中から流れていく木々を見つめてサムは考えていた声を漏らす。


「それにしても、このSUVにはアレ(、、)が足らない。スキルで飛行してるとすればヘリもか。クルーザーはそもそもボクが知らない。でも全く無いのは気持ち悪いよな。神位スキルを使う? 勿体無い……いや、でも……」

「着きましたよ」


 気付くとギルドの前に着いていた。


「ここで待ってて、納品してくる」


「かしこまりました」


 受付カウンターへと向かい、ランクアップの納品に来た事を伝えた。


「夜通し探索していたのですか?」


 昨日の夕方に受付してくれたお姉さんだ。


 朝・夜で勤務分けないなんて、ブラック企業じゃなかろうか。

 

「昨夜には集め終わってたんだけどね。帰るのが面倒だったから野宿してきた」


 実際は神に喚ばれていた訳だが、そんな説明は面倒くさい。第一信じないだろう。


「野宿……村の近くとはいえ魔物が出没いたします。ランクポイントだけ見れば高ランクですが、貴方はまだFランクです。無謀な行動は控えてください」


「あ、はい」


 無謀な行動したかな?


「そんな落ち込まないで下さい。何も責めている訳ではありません。いえ、少しは責めていますよ? 貴方はまだ若いんです。魔物が出現する森で単独野宿できるのですから将来は高ランク冒険者になれるでしょう。もしかしたらAか幻のSランクにすらもなれるかも知れない。だからこそ、ソロでの無謀な行動は控えて欲しいのです」


「ソロじゃないから大丈夫だよ」


「あら、新人さんを手伝ってくれる優しい冒険者なんて当ギルド(ウチ)にいたかしら?」


「いや、森で助けてくれたんだ。冒険者ではないらしいよ? ギルド登録してないフリーの冒険家だって言ってた」


「フリーの……その方は今どちらに?」


「これを機にギルド登録する様な話してたから、後で連れてくるよ」


「是非ともウチで登録してくださいな」


「う、うん」


 お姉さんの目がギラギラしている。


 ノルマでもあるんだろうか。


 あるんだろうな。


「それで、ランクアップという事ですが、薬草を採取したんでしょうか」


「あ、うん」


「夕方から昨夜までの短時間で100枚も」


「いや」


 薬草だけではない。


 回復薬と魔石もある。


 そういう意味でサムは首を横に振った。


「あら? 足りてないとランクアップは……あぁ計100枚に到達すればいいですからね。今回は何枚ですか?」


「これなんだけど」


 木箱を取り出し開けて見せる。中には薬草が10枚束になって入っていた。


「これは丁寧に作られた箱ですね」


 箱を確認し、薬草の枚数を数えている。


「はい。では今回は10枚ですね」


 (そうよね。まだ子供だし、数時間で100枚なんて無理よね。それにしても綺麗な箱ね)


「じゃあ、これが残り9箱」


 残りの9箱、薬草90枚をカウンターに取り出す。


 これはストレージに入れる時に纏めておけば取り出す時にも楽なのではないかと考えた結果だ。


 始めは紐で縛り、10枚束で入れてみたら1つの物としてカウントしてくれた。


 なので薬草が10枚入る木箱を樹木から加工してストレージにしまったのだ。


 なお、樹木から[ゴーレム]を使用して加工している為、継ぎ目などない。


「ん?」

 (残り?)


「回復薬100本と」


 同じ要領で回復薬は20本毎にケースに入れている。


 ケースは日本で見かける重ねられるケースだ。


 牛乳ケースっていうのかな?

 ちゃんと、持ち手ように両サイドに楕円形の穴も空けている。


「えっ!?」

 (何この綺麗な瓶。じゃなくて今、回復薬って言った?)


「魔石100石です」


 魔石は宝石箱と同じ造りだ。


 格子状の仕切りがあり1枡1石入れている。


 5枡が2列。


 1箱に魔石が10個入る。


「ちょっと待って下さい! え? 今回は薬草100枚集められなかったんじゃないんですか?」


 お姉さんはサムが首を横に振ったのを集めきれ無かったと勘違いしていた為、薬草どころか回復薬と魔石まで出され混乱している。


「違うよ。ランクアップに必要な収集物(、、、)を持ってきたんだよ」


「まさか、納品依頼を1日……いえ数時間で終らせるなんて……あ、わかった。その冒険家さんね?」


「うん?」


 冒険家、グリンの事?


 確かに魔石はグリンに造って貰ってる。


 でも薬草はボクが採取してるし、回復薬はパールだ。


「魔石はそうかな。でも薬草と回復薬は違うよ」


「大丈夫ですよ。入手経路はどうであれ、その伝手がある事が冒険者には必要なのです」


 お姉さんは微笑むと他の職員を呼び出し、それぞれの鑑定に入った。


「時間かかる?」


「そうですね。鑑定の魔導具も多くはありませんので」


「じゃ、少し出掛けてもいいかな?」


「えぇ、夕方までには終わらせてみせます」


「夕方か、なら近くに服屋無いかな?」


「服ですか? それでしたら、隣にありますよ」


 おっと、まさかの隣か。全然見て無かったな。


「じゃ、夕方頃にまた来ます」


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