031 冒険者のランク
不定期更新ですよ。
「依頼達成ありがとうございます。では5件対応していただきましたので、報酬の5万ギルとRP5万です」
報酬1万って、ランクポイントも1万なのか。
嬉しいが、それでどれ程上がるのかがわからないな。
「ランクって上がるの?」
「ランクは変動しませんよ?」
まさかのノーアップ……ボクはCランクが確約されてるけど、他の冒険者は何万ポイント貯めなきゃいけないんだ?
疑問に思っていると、すぐに答えが返ってきた。
「そんな心配そうな顔しないで下さい。本来なら5万もあればランクBにも届くのですが、最低限やって頂かないといけない依頼というのもありまして」
「あー、ポイント集めれば上がるなら薬草採取永遠にやってればSランクに到達しちゃうのか」
「そう! そうなんですよ~。まぁ、貴方がやらないといけない依頼がまさに薬草採取なんですがね」
「なんで、薬草?」
「ランク上げについて申しますと━━」
Eランク
薬草採取(計100枚)
RP累計1,000
Dランク
低級以上の回復薬の納品(計100本)
RP累計5,000
Cランク
魔石の回収(計100石)
RP累計10,000
Bランク
ランクCの魔物の討伐(パーティー推奨)
RP累計50,000
Aランク
ランクBの魔物の討伐(パーティー推奨)
RP累計100,000
薬草採取が必須な理由は、依頼進行中に負傷した時の生存率を高める為に、必要最低限の薬草の識別が出来るようにする為。
低級回復薬は薬草を煮出すだけで出来るお手軽な回復薬。
これも生存率を上げる。
魔石は冒険者において最も基本的な収入源だからだ。
生活水準を上げる為には先立つ物が必要だ。
良いスキルが入っていれば、そこそこ値が付くし、入っていなくとも魔導具の燃料になるので全くの無価値にはならないのだ。
とは言ってもゴブリンの魔石は内包されている魔力が微々たるもので、数を揃えないと使えない。
その為、ゴブリンの魔石の買取は安い。
どれくらい安いかと言うと、ゴブリンの魔石1つで100ギルと1RPだ。
これはパン1個の値段である。
魔物1匹殺して得られる対価にはどうしても思えない安さだ。
ゴブリンは素材としても安く、肉も食えなくは無いが、食わなくてもいいなら食べないレベル。
だが、ゴブリンは繁殖力が高い為、常駐依頼として貼り出されている。
1匹辺りの討伐報酬は500ギルと5RP。
魔石よりも高いが、そうしないと誰も受注せず、スタンピートと呼ばれる超繁殖を引き起こしてしまうのだ。
まぁ、大抵のギルドではスタンピートが起こる前にギルド職員でサービス残業となる。
因みにヴィオギルドマスターは単独でサービス残業タイプ。
少し脱線したが、要は冒険者として生活していく為に最低限必要な知識を持てないと上のランクには上がれない。
これは冒険者ギルドの優しさでもあった。
「ふ~ん。この納品は依頼を受けて? それともただ摘んで持ってくればいいの?」
「納品に関しましては、買取でも大丈夫です。ですが、依頼から受けていただいた方が報酬とポイントが貰えますよ」
なら薬草は[プロパティ]で探せる。
回復薬と魔石は造れるし、すぐに終われるな。
Cランクを頼んでるみたいだけど、これなら頼まなくてもCランクになれそうだ。
「品を取って来てから、依頼書と合わせて提出しても?」
「そうですね。納品だけが目的の依頼でしたら可能です」
「了解! じゃぁ、ちょっと行ってきます」
そう言って、出入り口へと駆け出した。
「え? あの! もう夕刻……」
ギルド職員の声は残念ながら届かなかった。




