028 魔物の素材
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こうしてジェイソンが仲間に加わった。
レインお姉さんはというと気絶中。
なんで気絶しているのかが、わからない。
気絶する要素なんかなかった筈だ。
取り敢えず、依頼のゴブリン討伐はこなしたし依頼達成の報告に戻ろう。
意識の無いレインお姉さんを緑ホッパーに乗せて帰るのは難しく、緑ホッパーを加工し直そうかと悩んでいるとジェイソンが担ぎあげてくれた。
盗賊でも捕えたかのような担ぎ方、良く起きないな。
陸戦巨鎚はジェイソンの魔物袋に入れている。
魔物袋は緑ホッパーが前に少し説明してくれたね。
魔物が生まれ持つスキルの1つで所謂アイテムボックスだ。
何がどこまで入るのかは聞いてなかったけど、あの陸戦巨鎚が入るのだから結構入るのだろう。
今度ボクのストレージとの違いを検証してみよう。
魔物はみんなって事は水ボール達も持ってるのかな?
ギルドへと向かう前にレインお姉さんの店に寄る。
流石に担いだままギルドに報告は不味いだろう?
それにジェイソンの服も欲しいし。
「戻りました~」
「む~、ん~」
あ、忘れてた。
店員さんは、天井にぶら下げたままだった。
下ろしてもジェイソンの事聞かれるだろうし、ほっとこう。
ボクは勝手に二階に上り、レインお姉さんをベッドに寝かせた。
さて、出来ればジェイソンの服をどうにかしたいが……。
タンスを漁ってみたが女物しか無かった。
仕方ない、ギルドに行ってゴブリン討伐の報酬で買いに行こう。
ほぼ裸のジェイソンはレインお姉さんの店に置いてギルドへ向かう。
上で縛られた店員よりは店番できるだろう。
ギルドに到着したが、なにやら騒がしい。
ま、そんなのは無視してカウンターへと向かう。
「ゴブリン1体討伐おわったよ」
「ではギルドカードの提示をお願いします」
ボクはギルドカードを受付嬢に手渡した。
ギルドカードの機能の1つ、討伐記録を確認してもらう為だ。
スキル名は[冒険者ギルド技能開発局局長シルバ=リオン製モンスター図鑑]というスキル。
これも、やたらめったら長いスキル名だよね。
後で想像で改名しとこうかな。
ギルドカードを所持した状態で遭遇した魔物が記録される。
種族名や系統などの情報から、ギルドカード所持者が討伐した魔物のレベルやランク、討伐数が記録される。
これにより、わざわざ討伐部位を持ち帰るという手間が省けるのだ。
んで確認してもらった結果。
受付嬢は青ざめた顔をして大慌てでギルマスを呼びに行った。
なんで!?
1分くらいでギルマスは降りてきた。
かなり慌てた様子だ。
ボク何かした?
そして、ギルマスの説明から理由が判明した。
ゴブリン系統の新種が発見された事。
その新種がこの辺りでは見られない高ランクの魔物だった事。
そしてその魔物を討伐して帰った事の三点だ。
うん、何かしてたね。
「見たところ外傷は無いようだが……レインはどうした?」
「無事だよ。家で寝てる」
結局、ゴブリン討伐は未達成、期限はあと3日。
期限内に討伐出来なければ罰則金が発生する。
罰則金は30ギル、報酬の1割が基本だ。
てかゴブ狩り300ギルかよ、安いなぁ。
それとは別に新種発見で1万ギル。
討伐もとい村の危機回避で10万ギル。
合わせて11万ギルを受け取った。
「それで、新種の素材は?」
「へ?」
「へ、じゃないだろう? こんな高ランクの魔物、魔石は特に高額で買い取らせて貰うぞ?」
「素材の買い取りってしてるの?」
「当たり前だろう? レインから聞いてないのか?」
「うん、討伐履歴はギルドカードで見れるから討伐証明に部位を持っていく必要は無いって……」
冒険者ギルドでは素材の買い取りも行っている。
だが、今回はゴブリン狩りの予定であった。
ゴブリンの素材などは二束三文だ。
魔石もそんなに価値は無い。
それ故にレインは魔物素材の持ち帰りについて、必要ないと伝えていた。
勿論サムの持つ[ストレージ]を理解していれば、持ち帰る事を推薦したであろう。
「そうか、今回はゴブ狩りの予定だったのだな。であれば討伐場所を教えて貰えないだろうか?」
「どうして?」
「そりゃ勿論、素材を回収に行く為さ」
「あ~なるほど」
「それに、魔物の死体をそのまま放置すると厄介な魔物に生まれ変わる。早々に処理しないとな」
「そうそう、だから魔物の死体は焼くんだよね」
ボクは笑顔で答えた。
それは最近仕入れた知識、ゴブ狩りの行き掛けにレインお姉さんに聞いた内容だ。
魔物の死体はそのまま放置しておくと元の魔力を秘めたまま別の魔物に進化する事があるのだ。
「そう……焼く必要が……」
ギルマスの顔がどんどんと青ざめて行く。
どうしたのだろう?
「まさか……まさか……焼いたのか!? 新種の素材を!」
あ~なるほど、ボクが新種の素材を炭にしたかと心配しているのですね?
そんな事はしていない。
していないが、新種の素材は肉片1つ無い。
ジェイソンに加工しちゃったからね。
ここは不名誉だが、焼いた事にしておくか。
「うん、焼いたよ?」
ギルマスは青ざめた顔を真っ白にして倒れた。
ごめん。
本当にごめん。




