1話:キャラメイクその1
長くなるので一区切り。長くても1話2000前後までを目指します。
※キャラメイク進んでません。
≪・・・起動中・・・≫
≪・・・機体情報認証中・・・≫
≪・・・認証完了・・・≫
≪ Welcome to Storia! ≫
ゲームを起動して少し間が空き、急に明るくなったので目を開けると綺麗な風景が広がっていた。
澄み渡る青い空、きれいな空気に光を反射してエメラルドグリーンに光る草原。
その中に溶け込むように存在している大きな木とその下にあるファンタジー小説に出てきそうな茅葺屋根のかわいい家。
「凄い素敵・・・!」
「ふふふ、そう言ってもらえると住んでる住人としてはとても嬉しいわぁ」
思わず感動を口に出すと、後ろから優し気な声がかけられた。
さっきまで誰もいなかったのに・・・!
振り向くと海のような深い青髪が似合う、声と同じくとても優しそうなお婆さんと目が合い、微笑まれた。
「ストーリア・オンラインへようこそ。貴女の道先案内人のヘレナよ。短い間ですが、よろしくね?」
「は、はい!よろしくお願いします!」
「あらあら、礼儀正しいのね。かわいいわぁ」
道先案内人と名乗るヘレナさんへ慌てて頭を下げると、優しく微笑み頭を撫でてくれた。
キャラメイクやチュートリアルもAIが担当していると事前情報にあったので、今目の前にいるヘレナさんもAIのはず。
流石最新のAI・・・本物の人間にしか見えない・・・!
そう軽く感動していると、立ち話もなんだから家へいらっしゃいとヘレナさんに手を引かれ、茅葺屋根の家の中へ招かれる。
内装もファンタジー小説に出てきそうな、大きな暖炉のある温かみのある部屋だった。
ヘレナさんに促され、部屋の中央にあるダイニングテーブルの席に着く。
「さあさ、まずはこのストーリアの世界で名乗るお名前から決めていきましょうね。名前は既に決めてあるのかしら?」
「はい、アズミにしようかと。」
これは当選した時から決めていた。
普通のMMOならともかく実際に名前を呼ばれるとなると、あまり本来の名前からかけ離れているときっと呼ばれても気づかない。
本当は本名にしようかと思ったけど、キャラメイク時に大きく修正・作成しない場合は本来の顔に近くなるらしいので、本名での登録は推奨されていなかった。
「あらあら素敵なお名前ね!あとはファミリーネームね。なくてもゲームは始められるけれど、この世界では町の住人でもファミリーネームはあるから、特にこだわりがなければあったほうが便利よ?」
「えっそうなんですか!」
事前に軽く情報は集めていたが、これは知らなかった。
驚く私にヘレナさんは簡単にストーリアの世界について教えてくれる。
ストーリアの世界は様々な種族がおり、種族毎に大きな国もあって貴族等もいるらしい。
けれど、貴族と平民の差はそこまで大きなものではなく、不敬罪等も余程の事がなければなく、普通の町の住民もファミリーネームがあるとのこと。
孤児や特定の種族の出、私たちプレイヤー≪神の異邦人≫以外は基本的にファミリーネームがあり、ファミリーネームがあるとないでは信用度の違いがあるそうだ。
事前情報になかったので全く考えておらずどうしようかと悩んでいると、ヘレナさんがある提案をしてくれた。
「・・・アズミちゃんがもしよければだけど、私と同じファミリーネームはどうかしら?」
「えっ!?いいんですか?」
「もちろんよぉ。アズミちゃんは他の異邦人の子と違って邪険にしないでこんなお婆ちゃんの長話にも付き合ってくれるし、礼儀正しいから信用も出来るもの」
「ヘレナさん・・・!ありがとうございます!ぜひ、お願いします!」
「こちらこそありがとうねぇ。じゃあ、お名前は≪アズミ・ディープシー≫で登録しちゃうわねぇ」
「はい!」
願ってもいない提案に感動しながら頷くと、ヘレナさんは嬉しそうに名前を登録してくれた。
それにしても、他のプレイヤーはヘレナさんにどんな対応をしたのか。ほかのプレイヤーの話が出た時ヘレナさんは少し悲しそうだった。
こんな優しいお婆ちゃんを邪険にするとか、私には出来ないよ。
そう一人で頷いているとヘレナさんは大き目な手鏡を出してくれた。
「じゃあ次は種族を決めましょうね!アズミちゃんはどんな種族がいいかしら?この鏡の横の種族の名前を押すと今のアズミちゃんの見た目を元にした種族の見た目が見えるから参考にしてねぇ」
「わぁ!凄い!ファンタジーってかんじですね!」
「ふふっ、これは魔道具の一種なのよ~。この世界では魔道具屋さんでも売ってるものなの」
「魔道具屋さん!」
一気にゲームの世界なかんじがしてテンションが上がる。
ストーリアの世界には様々な種族がいるが、プレイヤーが選択出来る種族は大きく分けて5つ。
ひとつは人間。人間は各地にいるのでスタート出来る国、町が選べるのが特徴であり、
他の種族に比べて能力的な大きな特色はないが、平均的になんでも出来る種族である。
二つ目は獣人。獣人はネコ科、イヌ科、鳥類等色々なタイプがあり、大まかなタイプを選んだらそこからはランダムになるらしい。
見た目は大まかにしか決められないのがデメリットだけど、その分タイプ別に能力の特色が大きいのが特徴的。
鳥類タイプは大体は最初から空を飛べるらしく、事前情報ではケモナー以外にも人気だった。
タイプによるが、魔法は身体強化以外は苦手なタイプが多いよう。
三つ目はエルフ。エルフにはダークエルフ、ライトエルフとタイプがあるけれど、単純に肌の色で呼び分けられているだけで、多少得意属性の偏りがあるらしいけどあまり差はないとか。
筋力が付きづらい種族の為単純な力勝負では分が悪いが、身体強化魔法も使えるので前衛が出来ないわけではないみたい。
四つ目は魔族。魔族というと悪いイメージが強いが、全ての魔族が悪いわけではなくフィールドにいる魔物とは別ものの、意思の疎通が出来る魔人族のことを指すそう。
肉体的にも魔力的にもとても強いけど細かい魔力操作の必要な魔法や生産職には向いておらず、強い分魔族への偏見の強い国や町には入れない、魔物と間違われ攻撃されることもあると少しデメリットの多い種族。
五つ目はドワーフ。男女ともに小さく、ヒゲのあるずんぐりむっくりな見た目で、同じドワーフでないと性別の見分けがつきにくいとか。
手先が他の種族と比べてとても器用で、火属性と土属性だけはエルフよりも得意で職人向き。
力もそこそこあり、お酒を呑むと能力が跳ね上がる等の外見や体格以外はメリットが多い種族。
・・・どれにしようかな?