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目が覚めたの
貴方の声がしたから
貴方が言ったの、起きろと言ったの
世界は虚ろで哀しいから
早く起きろと言われたの
けど、貴方の姿は見えない
私の瞳は空で見えないの
呼んだ気がしたの
貴方の声で
呼ばれた気がしたの
虚ろな世界に、広がった音が聞こえた気がしたの
私の気のせいでなければ
…………
私は起きた
私の瞳のかわりに埋め込まれた水晶が、世界を写し出す
脳に直接焼き付く世界は、生まれてこのかた見続けた景色を写すけれど、生まれてこのかた私は自分の瞳で世界を見たことがないから
ホンモノが、どんなものか知らない
けれど、ホンモノで見ている人たちの景色が全て一緒だなんて私にはわからない
誰も他の人間と自分の脳ミソを共有することなんてできないだろうから
だから、私はニセモノの瞳でホンモノを覗き見ている
窓ガラスに射し込む陽射しは明るくて、空は青、フローリングは使い込んだ渋い茶色の木目調で布団にかかる柔らかなシーツは白い
そうやって一つずつを確かめている
でも、私のような人間は珍しくはない
寝起きで、固くなった身体を解すように一つ、大きな伸びをしてベッドから抜け出すと窓を開けた
外には異形の人々が平然と闊歩している
いや、この世界では異形とは言わない普通の人々が歩いて?いる
イビツな世界、窓を開ける度正しい生き物とは何かを考えさせられている気がする
きっかけは、変な妄想だった
毎晩、夢に見る不思議な世界の話を誰かの目線で繰り返す
妄想なのか現実なのか、繰り返す度にエラーデータとしてマザーに送ったそれをいつの間にかやめたのも、成長と共に処理能力が上がった為にサブスペースにコピーしてためたのも
ただの気まぐれ
そういえば、今朝の通りはやけに活気づいている気がする
通りを行き交う人々はいつもと変わらないようだけど、耳に入るエンジン音が少し騒がしい
カレンダーに目をやれば、王の選定式前の祭りの文字が目に入った
勢いではじめてしまった
雰囲気小説なので、深い意味はありません(´・ω・`)
好きに読んで下さい