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桜並木を、あなたと共に  作者: 真祖しろねこ
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~あなたのお名前なんですか~

 フランス・・・というかヨーロッパでは入学セレモニーなんてなかったからこういう場は新鮮だった。

 当然フランスでも学校に行ってなかった僕はフランスの学校がどういう場かもいまいち知らない。

 学校長の挨拶から始まり、来賓の紹介、上級生の合唱など、今までに体験したことないものばかりでとても楽しく感じるのだが、どうやらそれは僕だけのようで、そっぽ向いてる人や、隣の雑談をする人、挙句の果てには居眠りをする人すら居た。

「・・・」 

 まぁ僕の横の人も黙々と本を読んでるんですがね。

 新入生代表の挨拶では普通科の人が壇上に上がっていた




「あーだるかった。どう考えても時間の無駄だろうに」

「フランスには入学式や卒業式などがないんですよ」

「ほう、それはいいな。素晴らしい考えだ」

 教室に戻った後、柚希様は自席に戻って不満を表していた。

「まぁヨーロッパで学校は託児所的な意味合いも持っているからな」

 前の席にヘレーネ様が戻ってくる。

「まぁ日本のこういう式典も良いものだとは思いますわよ。気持ちの切り替えができますから」

 それにしても、とヘレーネ様は続ける

「トーカはフランスで暮らしていたんですの?」

「はい、日本よりフランスでの生活の方が長いです」

「あら、そうでしたの。ますます欲しくなりましたわ。私の使用人になりません?」

 と、そこで柚希様が不満そうな顔をした。

「おいヘレーネ。私の前でいい度胸じゃないか。あぁ?」

「学校へのお付として雇ったんですよね?でしたら卒業後で構いません」

「断る、卒業後も手放すつもりはない」

 それは当然、僕が男だと知っているからだろう。それでも嬉しかった。

 僕の人生で必要とされることはあまりなかったからだろうか

「む、まぁとりあえず今日のところは引き下がりますわ。」

「全く、私は灯華を一生離すつもりはないからな」

 あの、柚希様?僕が男だって忘れてないですよね?

 少し心配になってきた

 



「はーい、ホームルームを始めるので席に着いてくださーい」

 福田先生が教室へ戻ってきた

「まず自己紹介からしましょうか。授業の説明はその後にしましょう。じゃあ廊下側の前からお願いします。お付きの方もお願いしますね」

 廊下側の生徒と使用人が立ち上がる

「久松製薬の久松茜です。北斗、挨拶を」

「茜様の使用人を努めております北斗です。」

 久松製薬と言えば大手の製薬会社だ。

 次々と自己紹介がされていくが、やはりお嬢様ばかりだ。

「ヘレーネ・フリーデリケ・アウグスタ・フォン・ヴァルデック・ピルモントです。ドイツ出身ですが、日本での生活は長いので言葉などに問題はありませんの。ヘレーネと呼んでいただいて構わないですわ。こちらはユリアです」

「ユリアです。よろしくお願いします」

 ヘレーネさんが終わったので次は僕たちの番だ。

 柚希はすっと立つ

「成川柚希だ。こっちは使用人だ。よろしく」

「尾上灯華と申します」

 それだけ言うとお嬢様は座ってしまう。間違いなく一番短い

 僕たちの後ろ、最後の自己紹介は先ほどの入学式で隣でずっと本を読んでいた神林様だ。

「神林霧架。こっちは椿」

「椿です。よろしくお願いします」

 最短記録が更新された


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