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桜並木を、あなたと共に  作者: 真祖しろねこ
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~電信~

 監禁されてから4日目。

 相変わらず脱出の目処は立っていないがいくつかわかったことがある。

 廊下の見張りは全部で6人居て、半日交代ということ。耳をすませると毎日昼と夕方に交代の際の引き継ぎをしているような内容の声が聞こえる。

 休みの時は同じフロアの部屋で休んでいるようで隣の部屋にも人の気配がする時がある。

 脱出をするならやはり夜だろう。

 見張りが2人となり一番手薄になる。非番が寝ている時間ならば応援が遅れるだろう。

 


 テレビは普通に見れるのでとりあえず外の情報に困ることはない。基本つけっぱなしにしておいて常にニュースを流しておくことにした。

 それ以外にあまり意味は無いとは思うが柚希様が見れば人目で僕が描いたと気づく絵を昼間に描いて夜中にこっそり窓の外に投げ捨てた。

 とりあえず2枚ほど投げ捨てたが果たして効果があるかはわからない。万が一見張りやゆりさんに気がつかれた場合画材道具を没収されかねないから多用はしないでおこう。

 ほかには室内清掃が2日に1回入り、隅々まで清掃していくので何かを隠すのは難しそうだ。

 




 結局打開策が見つからないまま2週間が過ぎた。

 焦ってもいいことはないとわかってはいるものの内心焦る。

 窓から飛び降りられれば・・・なんて突拍子もないことを考えていた時にそれは目に入った。

「・・・アドバルーン?・・・いやでも・・・」

 それは大きなショッピングセンターやパチンコ屋などがオープンするときなどに使われるもの。

 広告として使われるその大きなバルーンは下に垂れ幕宣伝文の布を吊り上げる広告手法だ。

 だからこそそれは異質だ。

 大体100mくらい遠くに上げられたバルーンの宣伝文はフランス語なのだ。

 日本でフランス語の宣伝をしても効果はほとんどない。

 なぜなら読めない人がほとんどだからだ。

 だからそのバルーンを上げた人は特定の誰かに読ませたかったのだ・・・『テレビ。6。副音声』という文字を。

 はっと閃く。

 これは柚希様からのメッセージだと。

 どうやってかはわからないがきっと柚希様は僕の居場所を特定してくれたのだろう。

 でもここで僕が不審な行動を取ると監視カメラがあるからバレる可能性がある。

 あくまでも平静を装ってベッドに腰掛けテレビを6チャンネルに切り替える。

 午後の2時ということでちょうど昔の洋画が放映されていたので僕は音声切り替えを押して日本語の音声から切り替える。

 するとテレビからはフランス語の声が聞こえてきた。

 しかも映画の内容とは一切関係がない。

「26日。救出作戦。21時に決行。消灯。屋上。ヘリ」

 この6つの単語を何度も繰り返している。

 これが伝えたいことだろう。

 僕の救出作戦を明後日の26日に行うから屋上まで来てヘリに乗って逃げるという作戦なのだろう。

 消灯の意味がいまいちわからないが朝の9時ではなく夜の9時という意味だろうか。

 これについてはちょっと考える必要がありそうだ。

 5分もしないうちに副音声はフランス語から英語に戻り、気がつくとアドバルーンも見えなくなっていた。

 












 

 

 

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