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桜並木を、あなたと共に  作者: 真祖しろねこ
54/69

~メリークリスマス and ~

「それでは!」

 僕は全員にグラスが渡ったのを確認して僭越ながらも音頭を取る。

「メリークリスマス!」

「メ「メリ「メリークリスマス!」」」

 この息の合わなさが僕たちらしかった。

 形式としては立食パーティに近いものにした。

「ん、美味しいですね」

 椿さんが3人の作ったクッキーを食べて関心していた。

 用意に手間取ったこともあり、予定より1時間遅れて19時からの開始となったため、お腹ぺこぺこだった。

 僕たちは会話を楽しみつつ、用意した料理を次々と食べていく。

 もう少し多めに用意すればよかったかな、なんて思ったがよく考えたらこの後にケーキがあるんだし、ちょうどいいか。




「じゃあ切り分けますねー」

 僕はケーキを包丁で6等分に切り分けようと包丁を持つ。

「あ、少し待って欲しい」

 と、僕を静止した神林様がポケットからスマホを取り出してカシャっと写真を撮った。

「あ、よくカフェで見るやつですわね」

 日本特有の文化である食べ物を写真に収める光景を見て僕は少し胸が高まった。

 噂には聞いていたが、本当に撮るんだなぁと思う。

「クラスの女の子がやってるって言ってたから一度やってみたかったんだ。」

 嬉しそうにスマホを見る神林様を横目に僕はケーキを切り分ける。

「うん、美味しいな」

 それを聞いて僕もケーキを食べる。

 見た目はやはり少し悪いがとても美味しかった。




「じゃあそろそろやりましょうか」

 そう言ってヘレーネ様は綺麗に包装されたプレゼントをカバンから取り出した。

「あぁ、そうだな。今持ってくるから待っててくれ」

 これもまた神林様提案なのだが、プレゼントを1つ用意し、それに番号を振る。その後あみだくじで自分の番号を決め、その番号のプレゼントをもらうというものらしい。

 というわけで僕も1つプレゼントを用意していた。

 柚希様もすぐに戻ってきて、僕たちはそれぞれ用意した袋に番号を付ける。

 椿さんが1、ユリアさんが2、神林様が3、ヘレーネ様が4、柚希様が5、僕が6番になった。

「あ、これか」

 僕は6番の袋をテーブルの上から拾い上げる。

 これは確かヘレーネ様が用意したやつだ。

 僕のプレゼントは・・・あ、柚希様がもらってくれたようだ。

 よかった、と思う。

「みんなに渡ったかな。じゃあ開けようか」

 僕は赤い袋をそっと開けると中から出てきたのは小さな鉢植えで、ルクリアの花が一輪。

「あら、やはり運命なのかしら。灯華に渡ったらいいな、と思ってましたの」

 以前にヘレーネ様に花のプレゼントをしたことがあるからそれのお返しなのかもしれない。。

 ルクリア、別名はニオイザクラともいうピンク色の小さな花だ。形はウメの花にも似ているが寒暖に弱く、育てるのはやや大変な花だ。

「ちなみに花言葉はご存じで?」

「はい・・・確か『しとやか』『優美な人』だったはずです」

 花言葉はあんまり自信がないが、合ってるはずだ。

「さすが灯華ですわね。さて私のは・・・あら」

 ヘレーネ様は神林様からのプレゼントで中からはアロマキャンドルが入っていた。

「良いですわね。こういうのは柚希からも貰ったことありませんでしたから嬉しいですわ」

「喜んでもらえてよかった。私のは・・・お財布か。ちょうどよかった。金具のところが壊れかけてたから買い直そうと思ってたところだったんだ」

「喜んでもらえたようで嬉しいよ」

 お財布はどうやら柚希様からの贈り物だったらしい。

「じゃあ私は椿さんと交換こということですね」

 ユリアさんは椿さんと見つめ合うとニコっと笑う。

「わぁ!可愛いです!ありがとうございます!」

「これも可愛いですね。ありがとうございます」

 2人とも袋からは小さなぬいぐるみを取り出したようだ。

 同じメーカーの物なのか良く似た作りをしていた。

 これで残るは柚希様の持っている袋だけ。

「ということはこれは灯華からか」

「はい、心を込めて作りました」

「手作りなのか・・・あ」

 柚希様は袋から手袋を取り出す。

 編み物に一度挑戦してみたくて試しに作ってみたのだが結構上手く作れたのでプレゼントにしたけれど、喜んでもらえるか心配だった。

「うん、ありがとう。嬉しいよ」

「灯華の手作りですの!?羨ましいですわ!私にも作ってください!」

 静かにぎゅっと手袋を握る柚希様を見てヘレーネ様が僕に詰め寄る。

「お、落ち着いてください。今度また時間ができたら作りますね」

「絶対ですわよ!待ってますからに!」

 あまりの興奮に語尾がおかしくなってしまっていた。

 でもどうやら柚希様は喜んでくれているようなのでよかった。




「明日から冬休みだけどみんなの予定は?」

「私は一度ドイツに帰りますわ。さすがに2年くらい帰ってませんのでおじいさまが心配してますの」

「私は特に予定はない。でも最近色々あって絵が描けてなかったからな。アトリエに篭ろうかな」

 パーティも終わり、まだ余韻が残る中、僕たち3人は後片付けを始めるがお嬢様方は座ってこの休みに予定を話し始めた。

「そうか。初詣でもどうかなと思ったんだが難しそうだな。また来年にしようか」

「済まないな」

「いや、私も描かないとだしな」

「ドイツから帰ってきたらここから出で行きますわね。長い間ありがとう」

「気にするな。どうせ空いてる部屋なんだしいつでも構わない」

「あら、じゃあまた来年もここに来ようかしらね」

「私も今度泊まりに来てもいいかな」

「あぁいつでも歓迎するよ」





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