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桜並木を、あなたと共に  作者: 真祖しろねこ
27/69

~さまーじゃぱん~

「・・・うん、できた」

 それから4日、柚希様はついにデザインを決定されたようだ。

 ただ、あくまでもまだシャーペンでの下書きの段階だ。これから清書しなければならない。

「灯華、パソコン室の使用許可は?」

「はい、もらっております。既に何人かの生徒が使用されているそうなので、空いている席を自由に使って構わないとのことです」

「わかった。すぐに行こう」

 どんなデザインになったのか気になるがこっそり覗こうとしたら隠されてしまった。

「絵と違って自信がないから見ないでくれ」

 そう言われてしまってはどうしようもないので、諦めることにして柚希様に付き添う。

 



 柚希様はPC室に入って空いている一番済の席に座った。

「今ご用意しますね」

 僕は屋敷から持って来たペンタブをパソコンに接続して、設定をする。

 普段はデジタル絵はあまり描かない柚希様だが、何度か描いたことはあるようだ。

「今の時代、デジタルにも対応しないとだからな」

 確かにその通りなのかもしれないな。

 時代の流れを否定するのではなく、受け入れる姿勢は大事だとは思う。紅茶やコーピーだって今は機械だって淹れられる。自動で掃除をするロボットだってある。そのうち使用人が要らなくなるかもな、なんて少し寂しくなった。

 



 夏期休暇前日、明日からの長期休暇ということで昼休みの教室はとても賑わっていた。

「間に合ってよかったですわね」

 つい先ほど完成させた神林様が職員室から戻ってきた。

「あぁ・・・やっぱり最近の物は苦手だ」

 神林様もデザインが出来た後はパソコンで仕上げていたのだが、それに苦戦していたようだ。

「それにしても暑いですわねーなんでも明後日はもっと暑いのだとか」

 珍しくヘレーネ様がだらっとしていが、何かを思いついたのかガバっと起き上がった。

「うわ、びっくりさせるな」

「プールに行きませんか!?」

「プールか。確かに暑いしいいな。どこにする?」

 すぐに賛同した柚希様も乗り気で話に乗った。

「あ、それなら私、良いとこ知ってる」

 神林様が椿さんにあれあれ!と言うと、心当たりがあったのか椿さんがスマホの画面を見せてきた。

「あぁ、今度出来るホテルか。ここのオープン、再来週からだぞ?」

 確かに良さそうな場所ではあったが、オープンは8月の頭からだった。

「ここのホテル、うちの管轄なんだ。まだオープンはしてないけど、内装も完成してるから大丈夫。貸切できるよ」

「そうか、なら甘えさせてもらおうか」

「助かりますわ!」

 こうして行くことが決まったので、お嬢様方はさっそく水着の話に移っていた。

 さすがに僕が行くのはまずいので当日の柚希様のお世話は他の人に頼むことになるかなと思っていたら神林さんとヘレーネ様が振り返って僕を見る。

「もちろん当日はトーカも来ますわよね?」

「申し訳ございません。まだ確定ではないですがその日は所用がありますので柚希様には別の人が付くと思います」

「なんだ、だったら別の日にしよう。オープンまでならいつでも貸切にできるから」

 あぁ・・・逃れられない。

 無言で柚希様に助けを求めると、柚希様も顔を横に振った・・・。

 なんとか行けない言い訳を考えたかったが、返事に時間を掛けて不信感を抱かれても困るので諦めることにした。

「ありがとうございます。明後日の所用は別の人に代わってもらいます。なので私も参加させていただきたいと思います」

 よく考えれば泳がなければ着替える必要はないし、大丈夫だろう。

 僕が行くことに決まってみんな嬉しそうなので泳ぎません、なんて言える空気じゃなくなってしまった。

 まぁ当日言えばいいか。こういう時のための言い訳を藤田さんとは考えていたし。

「さあ、明日から夏休みだ」




 

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