剣闘死合前
スマホから投稿しているのですが、ラインや電話が来ると書いていた文章が消える…パソコン投稿にすべきかなぁ
「うぅん、見事だ」
何が?リザの姿だ
具体的には言わないがリザのパジャマの乱れた姿に唸った
まだ外は星空の浮かぶ時間だが、私は起きてしまった
始めて剣闘士としてデビューしてから早1年半が経つが、今でも剣闘死合の決まった日の前日には緊張で眠れずに夜を過ごす
瞑想をする
外が明るくなる
この繰り返しだ
ただし、瞑想の中身は煩悩で支配されているのだが…
「おはようございます姉御!」
リザが起きる
もうそんな時間か…
「おはよう」
煩悩という思考の海を泳いでいた私にリザを直視することはできなかった
ぶっきらぼうに返事だけを返す
私のそんな心境を知る訳もなく、彼女は爽やかに言う
「食事を持ってきますね!」
元気に扉を開けて宿屋のおばちゃんの元へ走り去るリザ
…お姉ちゃんもリザの歳に戻りたいわぁ
.
.
食事を済ませ、準備をして宿を出る
目的は真っ直ぐに、コロッセウムだ
「姉貴以外の今日の剣闘死合って何をやるんです?」
ふと、リザに訪ねられる
というのも、その日のコロッセウム予定が決められており、様々な剣闘方法があるからだ
種類は色々あるが、私が今日参加するのは
1vs1
総合戦
である
人数や戦闘方法も別れていて
1vs1
3vs3
5vs5
10vs10
20vs20
1vs3
人数がこんな感じだ
基本として組まれる人数がこのようになっているが、上記の数字以外にもなる事が多い
そして
技術戦
魔法戦
総合戦
状況戦
大将戦(状況戦と同じ気がするが…何故か別れている)
囚人戦
技術魔物戦
魔法魔物戦
総合魔物戦
状況魔物戦
このように戦闘方法が別れている
この中から剣闘方法を選び、剣闘死合を開催する
そこに集い、立候補するのが我々だからだ
「囚人戦、3vs1総合魔物戦、1vs1総合戦、10vs10大将戦の4つだったかな」
リザは聞いた途端に
「あのジジイ、姉御の剣闘死合が最後じゃないなんて!相変わらずのクソジジイですね!」
頬を膨らませてぷんぷんとしている
やだ…可愛い
まぁ、統治する側の人間に慕われる人が少ないのはいつの時代も同じなんだろう
そんなリザの文句を聞きながらコロッセウムへとゆっくり向かって行った
.
.
相変わらず…ボロい事務所である
コロッセウムに到着していつも思う事だ
このコロッセウムには客の出入りする場所とは別に我々剣闘士が入る入り口もある
そこから少し離れた場所に傭兵事務所、ギルドというやつがあるのだが…
扉がなく(扉が付いていた形跡はある)、腐り落ちたような部分が沢山あり(よく見ると燃えたような後)、山荘の掘っ立て小屋の方がマシなぐらいである
私は中に入…らずに入り口から
「私だ!ジュリアだ!マスターは居るか!」
と声を上げる
始めてこの場所に来た時は中に入ったのだが、その時に中に入る意味がない事を知ったからだ
「マスター、居ないのか!」
「煩いわ!」
突然後ろから野太い声が聞こえてきたので振り向く
でかい熊が居た…な、なんだぁ!?
「毎度そのリアクションはやめてくれ…気にしているんだ…」
その熊は、いや、人はそう答える
そう、この熊に見える人がギルドマスターのライアンさんだ
ちなみに結婚している
14歳も年下の美人と…
あの人、エロチックなスタイルしてたなぁ
「まぁいい、剣闘死合への参加だろう。話は聞いている。裏から入れ」
そう促し、一言言う暇もなく裏に向かう熊
ズンッ
そんな音が聞こえそうだ
あの熊にすら嫁さんがいるのだ
私は怒っていい…!
ギルドに入ると表の廃墟とは違い、綺麗だった
ライアンさんが手を出して顎で催促をする
私はリザの脇下にあるナイフを抜き、その手に渡す
「危ねえな!何するんだ!」
「危機を覚えてつい…すまない」
一連の流れを見てリザは隣でカラカラと笑っていた
避けなければそのまま串刺しにするつもりだったのに…
全く悪びれた様子もなく、私はギルドカードを取り出して渡す
「チッ、お前のファンにその性悪を見せてやりたいわ…」
愚痴を溢しながらもギルドカードを見ながら用紙に記入をしていく
ペンが見えない程に手もでかいのに字をスラスラ書くのは異様な姿だ
「ほらよ、カードと一緒に衛兵に渡せ。中に入るのは衛兵の指示後すぐにだ、それ以外は入る事ができん。中でのトラブルは全て自己責任だから注意しておけよ」
手渡そうとするのだが、無言でその手にナイフを突き立てようとする
「畜生!さっさと死んできやがれクソアマが!」
とんでもない暴言を吐かれているが私の気分はすっきりだ
カードと用紙を拾い、外に出る
「声援ありがとう」
そう一言言い残すと舌打ちが聞こえてきた
.
.
「やぁ、君がジュリアだね」
柔らかい声が聞こえた
顔を上げるとそこにはちょっと彫りが深すぎて濃~い人が経っていた
「貴方は…ひょっとして剣闘死合相手のお貴族様ですか?」
フリーの剣闘士と比べてもその装備には歴然とした差がある為、すぐに分かった
「僕の名前はタウロス、タウロス・ド・ミューゼルだ。タウロスと呼んでくれ」
ウザい顔で光が出そうな笑顔をしている
正直苦手だ
「私はジュリア・フォートレス。宜しく頼む」
さっさと行って欲しいのだがウザ顔は笑いながらこちらを見て
「噂に違わぬ美人だ。どうかな、今日の剣闘死合の後に食事でも。別荘がこの街にあるんだ、同じフリーの剣闘士同士、話さないか?」
私は思わず鳥肌が立ってしまった
臭い台詞を吐いてくる奴などこの世界には存在しないと思っていた…
リザがいればナイフで手を突き刺してやるのだが…
剣闘士控え室に彼女は入ってこれない為、観客席からの観戦をしている
リザは可愛いし、変な男に誘拐われないかお姉ちゃんは心配です
はっ!?
私は立ち上がり
「死合前だ、申し訳ないが終わってからにして頂きたい」
そう言って個人控え室に移動していく
……やだなぁ、あの顔、夢に出そうやん