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骸骨の夢  作者: 読歩人
第六章 人類反撃編
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驚異

間違いではありません。


驚異です。

「ヒュエガッ、ひゃめろ! ギゥエェェェーーー」


「誰が雑魚だ!? 誰が小物だ!?」


 ジフ様が懇切丁寧に尋ねているのに金ピカ男は答える様子が無い。ただ両手両足を振り回し首を絞めるジフ様に抵抗するだけだ。自慢の剣もジフ様の左手の中で明滅している。


「おげぇら! ただけろっ!」


 オゲイラタタケロ? なぜ蛙?


 金ピカ男が背後の人間三人(なかま)に手を伸ばして謎の言葉を放つが・・・・・・


「どうしましょう?」


「一応、助けといたほうがいいんじゃない? あんたはどう思うウドー?」


「しかし我が一撃は全てを打ち砕いてしまう。エタリキ、イーデス任せた」


 自称最強勇者一行は動かず何か相談している。


「アライさんがいなくなれば一人頭の取り分が増えますよ?」


「・・・・・・ウドー! 手加減するんじゃないよ! 全力で打ち砕きな!」


「了解した! エタリキ、イーデス! 確実に殺す(あてる)から安心しろ!」


 ・・・・・・どうやら助けることにしたようだ。ウドーと呼ばれる巨漢が指を鳴らしながら近づいてくる。しかしその前に私が・・・・・・ジフ様の最硬の盾にして最大の壁が立ち塞がる。


【ジフ様の邪魔はさせない!】


 大鉈を構え絶対死守を宣言した。


 ・・・・・・完璧である。


 ドッドォーーーーーーーーーー!!!


 死体獣踊子隊ゾンビビーストダンサーズ効果音(おうえん)をありがとう!


骸骨兵(スケルトン)・・・・・・人間に精気は感じ取れないぞ」


血塗れ骸骨騎士(ブラッド)ちゃ~ん、震骨話使わないと無理よ~ん」


 自分自身の格好良さに感動していたら、デニム様とアーネスト様の冷たい指摘が突き刺さった。


 せっかく格好良く決めたのに! 聞こえないんですか!? おのれ人間め!


「ウドーちょっと待って。その死に損ない(アンデッド)が『邪魔させない』とか息巻いてるわ」


「イーデス、それがどうかしたのか?」


「さっき言ったじゃない! 頭蓋骨は壊すなって! その死に損ない(アンデッド)はあたしがやるわ」


 私が罵っていると女魔術師が髑髏の杖を振り回しながら大男と話して始めた。


 ? デニム様、アーネスト様・・・・・・あの女魔術師には私の意志が伝わっているようですが?


「まさか・・・・・・」「あら~ん?」


 御二人も驚かれてる。その一瞬の間に女魔術師は、髑髏の杖を掲げて叫ぶ。


「さあ! 寝てるんじゃないよ! あたしの下僕となって蘇りな!」


 杖の先端で髑髏が輝き、青い煙が床に――血溜まりに沈む神聖騎士達に伸びた。青い煙は神聖騎士を包み込むとゆっくりと薄くなり・・・・・・消えた。


 何が?


 疑問の答えはすぐに出た。教えてくれたのは・・・・・・


「アァァァーーー」「イィーーー」「ウォォォーーー」


 唸り声を上げ立つ神聖騎士達だった。


 なるほど騎士達の治療を・・・・・・したにしては非常に顔色が悪い。顔は蒼白、目は虚ろ。


「ウゥゥゥーーー」「エーーー」「オォォォーーーン」


 声も苦しそうである。


「やはり」「死霊魔術(ネクロマンシー)ねえ~ん」


死霊魔術(ネクロマンシー)死霊魔術師(あんたたち)だけのものと思うんじゃないよ。このあたし、天才美人魔術師イーデス様はあらゆる死に損ない(アンデッド)を創造し操れるのさ。ホー--ホッホッホッホッホッホッホッホッ」


 な、なんと!


 私はあまりの出来事に衝撃を受けた。


 『ホーーーホッホッホッ』なんて笑う女の人が本当にいたのか!!!


「あの杖ですね」「髑髏杖(スカルワンド)・・・・・・生身で使うなんて・・・・・・」


 御二人も信じられないという思いが声に滲んでいる。


「我も準備をしておこう」


 私達が驚き固まっていると大男が動く。懐から小瓶を次々と取り出し飲み始めたのだ。赤、橙、黄、緑、青、紫・・・・・・色とりどりの液体がその口に消えていく。


「ふぅぅぅーーー! 美味い!! もう一本!!!」


 最後に金色の輝きが嚥下されると・・・・・・変体が始まった。そう変体である。男の体が赤、橙、黄と発光してから手、足、胸、腰、頭と皮膚が灰色――光沢があるから鋼色と言うべきか――になったのだ。


「高価なだけに効果は抜群!!! 魔薬戦士ウドー只今参上!!!」


 全身を金属的な輝きに包まれて腰に手を当てるその姿はやけに様になっている、


 ・・・・・・正直、なんか生きる世界が違う気がする。


「で? 誰が小物で! せこくて! 雑魚だと!?」


「ハ、ハビャクタジケテ」


 高笑い女と変体男(きょうい)を前にした私達の横でジフ様の尋問は続く。

脅威じゃありません。





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