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骸骨の夢  作者: 読歩人
第六章 人類反撃編
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白い脇役

勇者とはなんでしょう?


勇気あるもの、偉業を成し遂げたもの、武勇に優れたものなどです。

「狙えっ! ・・・・・・放てっ!」


「「「「「聖なる光(ホーリーレイ)!!!」」」」」


 私が飛び込んだ戦場は、死に損ない(アンデッド)にとって地獄だった。


 背骨に響くかけ声と共に無数の白い光弾――私達死に損ない(アンデッド)を地に還す浄化の奇跡が放たれる。

 私は、柱の並ぶ回廊を埋め尽くすように放たれた聖なる光(ホーリーレイ)を身を屈め左手を盾にすることで逃れる。

 頭蓋骨の中で『神官多数、一時撤退』と船長ガデム様の命令が木霊している。しかし私はその命令を無視して柱伝いに前進を続けた。なぜなら死に損ない(アンデッド)の存在を許さないこの空間に偉大なる主がいるからだ。


 光舞う回廊の中央・・・・・・堂々と浮遊する棺――ジフ様である。


【ジフ様!! ジフ様!!】


 私はジフ様の御無事な姿に歓喜する。


「狙えっ! ・・・・・・放てっ!」


「「「「「聖なる息吹(ホーリーブレス)!!!」」」」」


 回廊の先・・・・・・不遜にもジフ様に相対するように陣取った白い集団が再び浄化の奇跡を行使した。その奇跡は先ほどのような光る玉ではなく白い炎である。

 白い炎は、回廊を埋め尽くし棺を飲み込み・・・・・・消えた・・・・・・ジフ様を残して。棺どころか衣にさえ傷一つ無い。むしろそれらは蒼く輝き浄化の奇跡を掻き消したようにも見える。


【ジフ様!! ジフ様!!】


 私の呼び掛けが届いたのかジフ様が動いた。しかしその方向は・・・・・・前方の人間達。


 ダッダ! ダッダ!! ダッダ!!! ダッダ!!!! ダッダ!!!!!


 ジフ様の動きに合わせるように緊迫感を煽る音楽が流れ始めた。


 ふむ?


 私は、たぶんあの子達(・・・・・)だろうと思いながら柱の影を覗き込んだ。案の定、死体獣踊子隊ゾンビビーストダンサーズが楽器片手に踊っている。


【危ないぞ】


「チュウ?」「ピョン?」「ニュア?」「スキュル?」「ワァフン?」「キュン?」


 人間達の攻撃に巻き込まれたら大変なので注意したが首を傾げられた。


 ・・・・・・可愛いのでもう少し眺めよう。心が癒される。


「狙えっ! ・・・・・・放てっ!」


「「「「「聖なる槍(ホーリーランス)!!!」」」」」


 おっと! ジフ様!


 三度響くかけ声に私は、戦場にいることを思い出した。慌ててジフ様を確認する。


「なぜだ!?」「本当に死に損ない(アンデッド)なのか!?」「信じられん!?」「死霊騎士(デスナイト)さえ倒したのに・・・・・・」


 そこには動揺する人間達と何本もの光る槍を片手で握るジフ様がいた。


 おおおぉぉぉ!!! ジフ様凄い!!!


 ジャジャジャーーーン!!!


 死体獣踊子隊ゾンビビーストダンサーズが派手な効果音を鳴らし、ジフ様も意識しているのか音に合わせて光る槍を握り折った。その姿に人間達の動揺が恐怖に変わる。


「ありえん!?」「棺の悪魔か!」「まさか・・・・・・死霊王!?」「馬鹿なこんな回廊でなぜ!!」


 しかし人間達の恐慌は止められる・・・・・・白い集団の中ただ一人紫の衣纏う男によって。


「冷静になれ! 神聖騎士は突撃用意! 神官は守りの加護だ!」


 指揮していたのと同じ声である。余計なことを!


「大神官様!」「りょ了解しました!」「神よ! 神風(ディヴァインウインド)」「死霊王をやれば!」


 白い鎧の騎士達がジフ様に銀の刃を向け、その後方から聖印を提げた神官達が奇跡を願う。


 私もジフ様の刃と盾になるべく人間達目掛けて走る。


 狙うは偉い奴・・・・・・紫衣の大神官!


 だが大鉈に右手を伸ばしたそのときジフ様が人間達に語りかけた。


「勇者はどこだ?」


 あれ?


 思わずジフ様の横に並んだところで凍ってしまった。ジフ様が狂ったように笑いつつ人間を薙ぎ倒すと思っていたからだ。


 いつものジフ様じゃない?


「喋れるのか! 貴様何者だ!?」


「・・・・・・勇者はどこダ?」


 頭蓋骨を回転させる私の眼窩の前でジフ様と大神官が御互いに何者かと問う。


「我々こそが真の勇者! 聖なる唯一つの神の代行者として世界に平和をもたらすものだ!」


 先に答えたのは紫の大神官だった。しかしその言葉は偽りに満ちていた。


 おまえ達はあの勇者(・・・・・)じゃない。


「違う! 勇者ハどこダ?」

 

 ジフ様も当然、理解されていた。そして寛大にも再度、人間達に答える機会を与える。


「・・・・・・狂っているようだな・・・・・・突撃!」


 返事は刃だった。





 なんと非紳士的な。

ほとんどは他人が決めます。


自称勇者は偽者多し!

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