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骸骨の夢  作者: 読歩人
第一章 骸骨洞窟編
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成果報告

解決編です。

 私は、コメディの正体と熊の運び方を後回しにし、自分の状態を確認することにした。


 現在視界の下半分は草で占められ、少し離れてコメディを肋骨から伸ばしている頭無し骸骨兵と倒れた熊がいることを確認できる。そして私は、体を動かそうとしても顎骨しか動かせない。


 間違いない。現在私は、あの熊に頭蓋骨を外され転がっている状態なのだ!? なんということだ! これでは何もできないではないか!?


 混乱する私は、なんとか頭蓋骨を動かそうと顎骨に力を入れるが、歯軋りにしかならない。自力で動くことを早々に諦めると私は、コメディに視線を向けた。コメディは熊を倒した後、周囲を警戒するように頭を四方にめぐらせている。


 コメディ! コメディ! こっちにおいで!


 私は、コメディに向かって近づくように意識を伝える。コメディに頼んで”骸骨洞窟”まで運んでもらうためだ。私の意識に反応したのか、コメディの頭がこちらを向き頭無し骸骨兵が近づいてくる。


 いい子だぞコメディ。そのままそのまま、そうそこで止まっ・・・・・・


 踏まれた。おもっいっきり力強く踏まれた。熊にくわえられて歪んでいた頭蓋骨が地面にめり込んでいく。


 やめろ!? 割れる! 砕ける!


 必死で意識を伝えると骸骨兵の動きが止まる。危なかった。もう少しで割れるところだった。コメディは、骸骨兵の体を動かすのがうまくないようだ。

 骸骨兵の体に直接触れているせいか、先ほどまで感じられなかった全身の感覚を感じることができる。当然自分の頭蓋骨を踏みつけるいう奇妙な感覚もある。


 自分の頭蓋骨を踏みつける趣味も踏みつけられる趣味も無い私は、頭蓋骨を持ち上げてみる。頭蓋骨の無い自分の体を正面から眺めるという貴重な体験をしながら、体を持ってきてくれたコメディに御礼を伝えておく。


「チッ!」


 コメディは、僅かに残った舌を鋭く鳴らし首を背けて肋骨の中に戻っていく。


 恥ずかしがり屋な恩人(恩蛇?)にもう一度感謝を伝え、頭蓋骨を回転させ首に取り付ける。なんとか自分の体を動かせるようになった私は、すわりの悪い頭蓋骨を若干気にしつつ次の問題に取り掛かる。


 私は、肋骨の中に腕を突っ込みコメディを引きずり出した。


「シャー!!!」


 大きく開いているコメディの口をよく観察する。その口から鋭く伸びた牙には溝があり、健康に悪そうな液体が滴っている。やはりコメディは、毒蛇だったのだ。


 二つ目の問題を一瞬の内に解決した私は、激しくじゃれついてくるコメディをあやしながら最後の問題について考える。

 私とコメディの華麗なる連携技で倒したこの熊の運び方である。試しに運べないかと持ち上げようとしたが転がすこともできない。いろいろと試行錯誤をする内に日が落ちてくる。

 諦めて一度”骸骨洞窟”に帰ろうかと考え始めたころ、青く光る骸骨兵が近づいてきた。その両手には蛇を何匹も抱えており大成果であることがうかがえる。


 大きさなら私が倒した熊のほうが勝っている!羨ましくは無い!


 私は、熊を運ぶのを手伝ってくださいと彼に頭蓋骨を下げた。彼は、何も聞かずに手伝ってくれた。・・・・・・いい骸骨兵である。


 なんとか熊を”骸骨洞窟”に運び込みジフ様の部屋に向かう。階段を蹴り落として運んだせいか若干傷ついた熊をジフ様に見せる。


「蛇に熊?」


 ジフ様は、私達骸骨兵の成果を確認されながら頭蓋骨を回転させる。


「この熊を仕留めたのどちらだ」


「シャー」


 私が答える前に、コメディが返事をしてくれる。


「ふむ。どうやって倒した。お前達では熊を仕留めるのは不可能なはずだ」


「シャー」


 再びコメディが先に返事をする。私も熊との死闘を思い浮かべ伝える。


「蛇一号は、毒蛇だったのか。なるほど、そうか毒か。それに蛇でも骸骨兵を動かせるのか・・・これは使えるな」


 ジフ様は、死体兎と死体栗鼠が踊る机を背にして考え込まれる。


「・・・・・・頭蓋骨の変わり・・・・・・蛇の・・・・・・ノルマを・・・・・・水増し・・・・・・むしろ新型兵・・・・・・これだ!!!」


 死体兎達の踊りを眺めていた私は、ジフ様の声に背骨を伸ばす。


「よくやったぞ蛇一号。ノルマ達成と出世の糸口が見つかった。いや、たったこれだけの情報から全てを思いつく我が頭脳の冴えがすばらしいのか」


 ジフ様は、楽しげに話されると新たな命令を下された。


「頭蓋骨の無い人骨を組み立てろ。蛇の肉を剥ぎ取れ。世界を変える新しい創造の始まりだ!」


 両手を天上に向かって伸ばすジフ様からは、かつて無いほどの勢いで青い光が溢れ出ていた。


 ジフ様、コメディの名前は蛇一号ではなくコメディです。 

意図しないことが成果として認められることは多々あります。

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