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骸骨の夢  作者: 読歩人
第五章 死霊軍団編
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魔王軍の死霊軍団

聖都戦線の説明回です。

「・・・・・・その左腕は、マダム・ケルゲレン製か・・・・・・聖女、死んだな」


 現在、床にへばりついている首席様に代わり厚着の死霊魔術師(ネクロマンサー)バトゥーリア様が会議を進めている。今も私の左腕について質問されたので答えたところだ。

 しかし、ドジッ娘(マダム)も有名人なのだろうか? いきなり聖女が死んだとか言われている。


「・・・・・・死亡確定」


蠱毒夫人(マダム・ポイズン)の毒手・・・・・・クロノちゃん、あれには近づいたら駄目よ~」


「ケルゲレンちゃん、幽霊船なんかに左遷されてたんだ・・・・・・あのドジが無ければね~・・・・・・」


 ドジッ娘(マダム)、あなたは何者ですか?

 私は小指の欠けた左手を見ながら思う。


「聖女の死亡が確認されりゃ、その死霊魔術師(ネクロマンサー)・・・・・・ジフだったか? 二桁昇進だな。まあ倒されてんだからどうしようもねえが・・・・・・」


 ジフ様が二桁? ・・・・・・どういう意味だろう?


「とにかく勇者一行は、聖女が死んだか重症で動けないだろうな」


「・・・・・・同意」


「のんびりお散歩できるわ。ね~クロノちゃん」


「新しい神官を聖都から引き抜くかもしれないわよ? ・・・・・・でも聖都攻略が楽になるからいいかな」


 他の幹部も厚着の死霊魔術師(ネクロマンサー)の意見にそれぞれの表現で同意を示した。


「勇者の件はこれぐらいでいいだろう。次は聖都攻略についてだ・・・・・・おい! 首席、起きろ!」


 厚着死霊魔術師(ネクロマンサー)の言葉に黒い蛞蝓(なめくじ)人間が起き上がる。


「私は蛞蝓(なめくじ)でも(ヒル)でもない」


 復活の第一声は、抗議だった。


「さっさと聖都攻略の話を進めろ。次の作戦はなんだ? 穴掘りか? 空中輸送か? 転移もこの前しくじったし・・・・・・賄賂でも贈るか?」


「・・・・・・前々回賄賂失敗」


「裏切りそうな人間ももういないしね~。クロノちゃん、困ったわね~?」


「スチナ王国を滅ぼすまでは、簡単に裏切ってくれたんだけどね・・・・・・皆殺しが不味かったのかしら?」


 幹部達の意見に首席様が答える。


「次の聖都攻略作戦は、死霊軍団だけでなく他の魔王軍も参加する」


「・・・・・・!」「あんだと!」「あら!」「まあ!」


 その言葉に他の幹部達が驚いている。

 てっきりこのまま死霊軍団だけで話が進むと私も思っていたのですが。


「大陸の北半分を手に入れてから戦おうとしなかった他の魔王軍が動くってか? 何でだ?」


「西のザペン王国は降伏ではなく講和だ・・・・・・降伏したタリア王国の戦後処理が終了したのと損耗した戦力が回復したからだ」


「戦後処理に戦力の回復か・・・・・・生きている奴らは大変だな。他の魔王軍も死に損ない(アンデッド)になれば楽なのに・・・・・・それでどの軍団が参加するんだ? 鬼か? 虫か?」


「他の魔王軍は、生きるために戦っている。私達のように滅ぼして終わりではない・・・・・・参加するのは妖鬼軍団二万、怪蟲軍団二万、邪竜軍団五百そして魔人軍団が百人だ」


「少ねぇな!? 死霊軍団(おれたち)の何分の一だよ! ヤル気あんのか!?」


「大陸中央の死霊軍団兵力は、百万を超えている・・・・・・二十分の一以下だな。それと彼らは必死だ。負ければまた人間達に狩られる(・・・・・・・・)からな」


「そういえばそうだな。竜なんて角の先から尻尾の先まで貴重素材だからな・・・・・・奴らも必死か・・・・・・」


「そして死霊軍団だけでは、聖都攻略は不可能だ。数だけではどうにもならないのは過去二年、計二十四回の攻略作戦失敗が証明している。神官の浄化とは相性が悪すぎる」


「無視して南部王国攻めりゃあ良かったんだ。他にも農地を焼くなり、毒を流すなり手段はあったのによ」


「スチナ王国でやり過ぎた・・・・・他の軍団から『食物が無くなる!』『巻き込まれる!』とクレームがあったのだ」


「信用無いな死霊軍団(おれたち)・・・・・・それで具体的にはどんな作戦なんだ?」


「大まかな作戦は、骸骨兵(スケルトン)死体兵(ゾンビ)を盾にして今までのように聖都に接近する。このとき他の魔王軍は、死に損ない(アンデッド)に偽装して第二陣に待機しておく」


「それで?」


「これまでの戦訓から、神聖騎士団と神官が出撃して大規模な浄化を仕掛けてくる。骸骨兵(スケルトン)死体兵(ゾンビ)は浄化されるだろうが他の魔王軍には効果が無い。後は神聖騎士団を鬼と蟲が数で足止めして、神官どもを竜と魔人が殺す」


「騙まし討ちだな・・・・・・これまで何十万のもの死に損ない(アンデッド)を浄化してきた油断を突くってわけか」


「そうだ」


「竜の偽装はどうすんだ?」


死体竜(ゾンビドラゴン)を何体か用意している。並べれば・・・・・・」


「神官が逃げたらどうすん・・・・・・」


「竜と魔人の速さを考えれば・・・・・・」


「雨の日、選んだほうが・・・・・・」


「精気で・・・・・・」


「・・・・・・・」


 難しい話になってよく分からない。ついでに話しているのは、首席様と厚着骸骨様だけである。他の幹部の方々は聞いているのかいないのか・・・・・・


「これこそが正しい姿だ!」


 隣では死霊魔術師(ネクロマンサー)デニム様が喜んでいた。


 ちなみに死体獣踊子隊ゾンビビーストダンサーズはまだ踊っている。

死霊軍団幹部による魔王軍中級講座でした。


講師 第三席エレッソ・ライ・パトゥーリア


副講師 首席


生徒 大鉈と死体獣踊子隊

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