新たな同胞
再び彼らの出番です。
「・・・・・・・・・」
ジフ様が最後の幽霊船免状を読み終えたようだ。強く幽霊船免状を握り締め喜んでいる。
「・・・・・・・・・ぉ」
お?
「おまえらが!出世してどうするんじゃー!?」
ジフ様、言葉使いが変わってま・・・あれ?左手が引かれて頭上から床が迫ってっ・・・
ゴワッ
頭蓋骨が大地に叩きつけられたような衝撃に歪む。いや叩きつけられている!?逆さまになった視界の中でジフ様が蛇骨兵達の首を纏めて掴みブンブンと振り回している。
「シャー?」「シャーー?」
「何が!シャーだ!おうりゃーーー!」
二体の蛇骨兵が私に向かって飛んで・・・
ゴギャンヅドムゴロゲキゴロベキ・・・パタ
天地が何回転かした後。再び天が天、地が地になった。一体何なのだろうか?ジフ様の喜びの表現は、少々過激なような気がしてきた。
というかジフ様、いま竜骨毒手を掴んでましたけど大丈夫ですか!?
「私が欲しいのは、私の出世だ!おまらが船長になってどうする!?」
御元気なようだ良かった!
・・・・・・・・・えっ!そうだったのですか?てっきり出世なら何でもいいのかと、なあ?
「シャー!」「シャー!」
蛇骨兵達も同意する。
「だからジャーじゃねえーーーー!こんなもん・・・」
ジフ様が三枚の幽霊船免状を纏めて引き千切ろうとした。
「御待チクダサイジフ様!幽霊船三隻ノ指揮権ハ出世ノ役ニ立チマス!」
それを顎割れ死体騎士が止めた。ジフ様の動きが石像のように固まる。指揮権がどうしたのだろうか?
ピリッ
幽霊船免状が少し裂ける音がした。
~~~~~~~~~
「とりあえず良くやった。褒めてやる」
しばし固まった後、ジフ様は幽霊船免状を丁寧に伸ばしてから魔術師の外套の内側にしまうと私達を褒めて下さった。褒められているのに若干ジフ様が怒られているような気がする。不思議だ?
「ところでそれは何だ?」
ジフ様は、私達が持って帰ってきた人間の死体を顎骨で示しつつ問われる。
「ソノモノ達ハ、昨晩ノ火事ヲ起コシタ人間達デス。火ノ元ハ女ノ魔術デシタ」
「ふむ?この女が魔術師なのか・・・死んだ直後、魔術師、若い女か・・・面白い。フフフ・・・」
顎割れ死体騎士の報告にジフ様が女魔術師を覗き込み笑った。
「この女を超蛇骨兵と一緒に並べろ。私自ら死の世界に招待してやろう。残りの死体は、超蛇骨兵の材料にしとけ」
死の世界に招待?ジフ様、その女魔術師もう死んでますが。
私がそのことをお教えする前にジフ様は久しぶりに怪しい踊りを踊られ始めた。なるほど死体兵になさるのか。・・・仲間にすることを『死の世界に招待する』か・・・格好いい台詞だ。いずれ私も使ってみよう。
ジフ様の怪しい踊りは長いので死体獣踊子隊を眺めることにする。
以前の死体兎&死体栗鼠達に比べて連携技に凝っているようだ。
死体狐が並んで寝そべる。
死体兎がその上に並ぶ。
死体栗鼠がさらにその上に並ぶ。
死体鼠が頂上に上がる。
死体狐から順に足を伸ばしていき死体鼠が立ち上がる。
見事な立体三角形である。拍手!
死体兎&死体栗鼠達は今度は上から順に前転しながらコロコロ転がってくる。
あざとい!あざとすぎる!!可愛い茶色や白のモコモコがこちらに向かってきた。そして少し離れたところで止まり決め姿!?おまえ達なら世界を狙える!先ずは・・・・・・・・何処に出場申し込みすればいいのだろうか?
ジフ様にお尋ねするため振り返るとジフ様もいつもの決め姿を取っていた。・・・少しずれていますよジフ様。
青い光が満ちる中、新たな女魔術師が目を覚ます。
彼らの先輩は現在中央軍にいます。