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骸骨の夢  作者: 読歩人
第二章 幽霊船編
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未知なる恐怖

この世界大陸ドーマンには、虎馬と言う魔物がいます。

【ジフ様!】


 私は、突然あの世から戻ってきた。頭蓋骨を左右に振る。死に損ない(アンデッド)は眠ることが無いのに夢を見ていたようだ。それにあの世とはどこのことだ?思わず自分自身に突っ込む。

 目の前に船長ガデム様がいる。危ないところだった。居眠りなんてしてたら昨日のよう(・・・・・)にド素人と罵られ海に投げ落とされる。なあコメディ?


「シャー」


 どうしたんだコメディ?どうしてそんな哀れむような濁った眼球で私を見るんだ?


 おや?なぜか右手に幽霊船免状と書かれた紙を握っている。これは、先ほど死霊魔術師(ネクロマンサー)ケルゲレン様に教えていただいた出世の証だろうか?不思議だ。いつの間に貰ったのだろうか?

 他にも全身の骨が傷だらけだし、蛇骨兵が二人に減っている。極めつけは、幽霊船の周囲の船が一隻から四隻に増えていることだ。一体全体何があったんだ?

 私が理由の分からない謎の怪現象(・・・・・)なぜか(・・・)怯えていると船長ガデム様が声を掛けてくる。


「おまえ達の働きで十分な死体水兵(シーゾンビ)が確保できた。一週間の教育を生き残ったおまえ達を手放すのは惜しいが。明日にでも、おまえ達を拾った海岸にでも降ろしてやる」


「シャッ!」「シャッ!」【感謝します!】


 あれ?なぜ私は蛇骨兵と一緒に最敬礼しながら返事をしているんだ。

 まるで私が私でないようだ・・・恐ろしい!?恐怖が、自分自身が分からないという恐怖が指を、手を、体を震わす。


「シャー」【哀れ】


 コメディ!?今、今はっきりと哀れ、と発したよな?何か知っているのか?教えてくれ!

 私は同情の視線を送ってくるコメディに縋りつくが、無常にも相棒(コメディ)はその体を肋骨の中に沈めていった。


【コメディーーー】


 私の声無き絶叫が(むな)しく響く。




 恐怖に囚われ、相棒に見捨てられた私は、甲板を掃除していた。

 なぜか(・・・)自然と体が動き心が癒されていく。本来疲れを感じない体の、存在しないはずの疲れが抜けていくようだ。いつの間にか船底のフジツボまで取ってしまった。私はこんなに泳ぎが上手だったろうか?考えると頭蓋骨の中心に痛みが走る。

 隣で同じように作業していた蛇骨兵達は、自分の行動にも、いつの間にか減った仲間のことにも疑問が無いようだ。疑問が無いどころか、鳴きもせず目すら逸らさず作業を続けるその姿は、不気味ですらある。


「掃除は終わったか玄人(プロ)!」


「シャ」「シャ」【終わりました!】


 まただ!船長ガデム様の問いには、最敬礼で答えてしまう。それに私達の呼び方が先ほどから見習いやド素人から玄人(プロ)に変化している。

 これが船長ガデム様が仰っていた正体の分からない恐怖なのか!?恐ろしい、恐ろしいです。ジフ様、この哀れな血塗れ骸骨兵(ブラッドスケルトン)を御助けください。


「キャプテン・ガデム。こんにちは」


 私が、恐怖に震えジフ様に縋っていると死霊魔術師(ネクロマンサー)ケルゲレン様が声を掛けてきた。


「マダム・ケルゲレン。こんにちは。今日も御美しい」


「ありがとうございます。明日、血塗れ骸骨兵と蛇骨兵(かれら)が船を降りられると聞いたのですが?」


「そのとおりですが。何か?」


「いえ。確認しておきたかっただけです。・・・ただ降りるとき少しだけ時間をいただけますか?」


「それぐらいでしたらいくらでも。明日一日海岸にいても大丈夫です」


「ありがとうございます」


 死霊魔術師(ネクロマンサー)ケルゲレン様は私をチラッと見てから船内に戻られた。


ドテテテッ


 階段を落ちるドジッ娘(マダム)の音がする。

虎馬の攻撃を受けると記憶障害、不眠、欝、頭痛などに襲われるようになります。

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