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骸骨の夢  作者: 読歩人
第二章 幽霊船編
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死にそうになる戦い

まともな戦いが始まります。

 船内に入るとすぐ通路がT字に分かれている。


【左】【右】【三】


 三つ首の蛇骨兵が、精気で伝えてくる。


 別々の首で伝えるとは、芸が細かい奴だ。


 私はその提案に頷き、右側の通路に進んだ。背後には二体の蛇骨兵がついてくる。

 右に曲がると通路はすぐ左に曲がっている。その角には、ランプが吊り下げられていた。私は、ランプを確認すると音を出さないよう注意しつつも素早く近づき火を握り潰す。火が消えると再び周囲を緑の光が包む。


 左に曲がる通路に意識を向けると、緑の光越しに赤い光が上下に並んで一定間隔で奥の方に続いているのが確認できた。


 人間が整列している?


 一番近くの赤い光に近づくと膝の高さと肩の高さで赤い人影が横になっている。


 部屋で上下に寝ているのか? 兵舎に入れられたとき見た二段ベッドを思い出す。あれはいつのことだったろう?


 久しぶりに生前への追憶を始めようかと思ったが、今は目の前の成果(にんげん)を優先する。


 ジフ様褒めてください。


『よくやったぞ大鉈』


 頭蓋骨内でジフ様のことを妄想していたら、背後の蛇骨兵が噛み付いてきた。せっかくのジフ様が消えてしまう。


 ええぃ! 邪魔するな!?


「セラ必ず帰るぞ・・・・・・」


 人間の声がする。


 いかん!? 起きているのか? 


 ・・・・・・しばらくすると寝息が聞こえてくる。


 寝言か? 気づかれる前にさっさと()ろう!!!


 私は、迅速に成果を得るべく勢いよく部屋の扉を開けた。


 キキキキキィーーーーーバン!


 思ったより派手な音がする。背後の蛇骨兵の視線が痛い。


【静か】【開け】【脳無し】【鼠食】【殺】


 ・・・・・・視線どころか精気が圧力と共に罵倒してくる。


「んん・・・・・・なんだぁ・・・・・・もう交代か?」


 不味い! 人間が起きた!


 私はベッドに走りより身を起こす前に大鉈を振り下ろす。


「ゴァ!」


 続いて一人も!? 血の雨を浴びながら大鉈を再度振りかぶると・・・・・・


「シャ」


 コメディが私より前に毒牙を打ち込んでいた。喉を噛み潰しているのか、まったく音を出さない。


 流石だコメディ! 


 私は、頼もしい相棒を讃えると背後と胸元からの視線を気にしないようにしつつ隣の部屋に向かった。


 反省を踏まえて蛇骨兵が静かに扉を開ける。部屋には三つ首の蛇骨兵だけが入り、二人まとめて人間の喉を噛み潰す。私は通路で人間がこないか警戒を担当する。


 ・・・・・・一回の失敗でのけ者にすることはないのに。


 残念ながら、いや嬉しいことにこの役割分担は効果的で瞬く間に十個の部屋を制圧した。


 見張りも含めて二十四人の大成果だ! ジフ様、私はがんばっていま・・・・・・


「敵襲だ! 起きろぎゃ!?」


 ジフ様への妄想を今度は、人間の声が遮る。


 え? なぜに?


  私が周囲を見渡すと変化はない。


【こちら】【失敗】【失敗】【起きてた】【人間】


 壁の向こう側から、精気が連続で送られてくる。T字路で分かれた蛇骨兵達が失敗したらしい。


 あの蛇達め! 寝ている人間を殺すことさえできないのか!


 私は、自分のことを頭蓋骨からきれいさっぱい忘れて罵る。


 ・・・・・・とそんな場合ではない。隣の部屋の赤い光が部屋から飛び出してくる!?


「敵はどこどわぁ!?」


 出てきたそいつに大鉈を叩き込むが避けられてしまう。


 光が無く、精気も見えないのに避けるとは!


 扉の影に隠れて距離をとられてしまう。


「何かいるぞ! 暗い! ランプをつけろ!」


 余計な事を喋るな! 扉に近寄り斬りかかろうとし・・・・・・


「オラァ!!!」


 左肩に衝撃を受ける。


 なにが!? 左手の感覚がなくなっている?


「大丈夫か!」


「ああ! 助かった! 船長に知らせてくる!」


 隣の部屋にもう一人いたのを忘れていた!?


 ・・・・・・一人目の人影は奥のほうに扉を叩きながら走り。二人目の赤い人影は何かを振りかぶるような姿勢をとる。


「シャー」


 コメディがその赤い人影に首を伸ばすが距離をとられ避けられてしまう。人間がランプに火を入れたのか、通路の奥に明かりが灯った。

 明るくなる中、赤い人影が禿頭の水兵に変わる。私の左腕を砕いたであろう斧を手にその水兵が緊迫した声を漏らす。


骸骨兵(スケルトン)!?」

不意討ち。闇討ち。手加減なし。これができないと戦いになりません。

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