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骸骨の夢  作者: 読歩人
第二章 幽霊船編
17/223

真・新人教育

態度と話し方は、基本です。

 海から釣上げられた私は、蛇骨兵達と共に船室の一つに連れて行かれた。頭蓋骨の穴に残った海水が気持ち悪い。


「整列! 注目!」


 全員が部屋に入り、扉が閉まると船長ガデム様が命令する。私達がノタノタ並ぶと言葉が続く。


「喜べ! 超ド素人の見習い骸骨水兵(シースケルトン)。このワシ自ら死に損ない(アンデッド)の戦い方を教えてやる。嬉しいだろ? 返事は!」


「シャー」「ジャー」「ジャジャー」「ジャジャジャジャーン」「チッチッチッ」「・・・・・・」(これ私)


 嬉しくない。


「ド素人が!!!」


 船長デニム様が怒鳴ると、その肋骨が左右に大きく開き青い光をまきちら・・・・・・衝撃が襲ってきた。私達は全員、壁に叩きつけられ崩れ落ちる。


 背骨が折れそうなほど痛い。なにした船長ガデム様?


「今のは、陰の精気を優しく(・・・)叩きつけただけだけだ。整列。注目」


 私達は慌てて整列する。


「喜べ! 超ド素人の見習い骸骨水兵(シースケルトン)。このワシ自ら死に損ない(アンデッド)の戦い方を教えてやる。嬉しいだろ? 返事は!」


「シャ」「シャ」「シャ」「シャ」「シャ」「・・・・・・」(これ私)


 それさっき言いましたよ?


「ド素人が!!!」


 今度は、私だけ頭蓋骨からブン投げられた。頭蓋骨が割れる!?


「嬉しいだろ? 返事は?」


「シャ」


 頭蓋骨が痛くて返事できない私に代わり、コメディが返事をしてくれた。コメディはいい子だ。



「まずは震骨話だ! これは一名を除きできているようだな。そいつも蛇が代わりをできるからまあいいだろう。次に精気による意識の伝達だ。まずはワシがやってやる」


 船長ガデム様は、声を出すの止め口を閉じた。薄暗い船室の中、青い光が棒のように私達に伸びてくる。


【・・・・・・これ陰の精気。心を伝える法。音無し。重要。細かい無理・・・・・・】


 頭蓋骨に何かが流れ込んでくる。なんか片言で分かりにくい。船長ガデム様、大丈夫か?


「ド素人が!!!」


 また頭蓋骨からブン投げられた。頭蓋骨が欠けた。激しく痛い!


「見習い! 陰の精気と一緒に考えが漏れているんだよ! 少しは抑えろ! そんなこともできないのか!」


 精気を抑える? そんな抽象的な説明で何をしろと?


「だから! 考えが漏れているんだよ! ・・・・・・腰骨の下に力を入れて引き締める感じだ」


 言われるまま腰骨の下に力を入れてみる。ついでに背骨も伸びたのか姿勢が良くなる。


「よし! それでいい! 気を抜くなよ? 抜けばまた精気が漏れるからな。その状態のまま、意識を伝えたい相手に精気を集中させるんだ!」


 ふむ?とりあえず船長ガデム様に向けてみ【・・・・・・たが何を伝えるのか考えていない。大体これ何の役に立つ?出世のため、成果が必要。ジフ様会いたい・・・・・・】


「五月蝿いーーー!? 一回で覚えたのはすごいが、意識を叩きつけるな! 重要なことを短く伝えるのがコツだ! 相手が混乱するぞ!」


【・・・・・・伝えろと命令したのは、船長ガデム様。理不尽だ!ああ優しいジフ様に・・・・・・】


「ド素人が!!!」


 三度、頭蓋骨からブン投げられた。飛散る破片が見える。意識が遠くなる・・・・・・




「陰の精気による意識の伝達は、音が出ないこと、正確なことが利点だ。これは戦場で大きな意味を持つ」


 私が、破片を頭蓋骨にはめた終えたら、すぐに話が再開された。


「逆に欠点もある。神殿などの陽の精気が強い場所で使えないし、神官や聖印の近くでも伝わりにくい。また精気を感じ取れる敵だと居場所がばれてしまう。状況に応じて、震骨話と使い分けられるようになれば玄人・・・・・・んっ?」


 船長ガデム様が、急に話すのをやめると眼帯を外した。その空虚であるはずの眼窩には、青い光を放つ水晶玉が埋まっている。


「獲物がきたようだな」


 表情のないはずの赤黒い頭蓋骨は、確かに笑みを浮かべていた。

派遣先で再教育を受けるのはつらいです。

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