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骸骨の夢  作者: 読歩人
第一章 骸骨洞窟編
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諦めない心

絶体絶命のジフ様の出世はいかに。

「・・・・・・・・・」


 死霊騎士は、沈黙を続けるジフ様に再び問いかけようと顎骨を動かす。


「襲撃の報告につ・・・・・・」


「申シ訳ゴザイマセン」


 突然、死霊騎士の言葉に被せるように顎割れ死体騎士が謝罪した。いやそれどころか地に膝をつき、頭蓋骨を下げる。顎割れ死体騎士の行動にジフ様も振り向く。


「ジフ様、死霊騎士様、誠ニ申シ訳アリマセン。襲撃ノ際ニ紛失シタ水晶玉ノ発見ガ遅レタノハ、私ノ責任デス」


 顎割れ死体騎士よ。何を言っているんだ?おまえは、創造直後に・・・・・・


「ジフ様ガ洞窟ヲ留守ニサレテイル間、水晶玉ノコトヲ命令サレナガラ、先ホドマデ見ツケラレズ申シ訳アリマセン」


 顎割れ死体騎士よ。何を言っているんだ?水晶玉なら新兵教育のころから机の・・・・・・


「そのとおりです!人間の襲撃が洞窟の最深部にまで及びまして。その際、水晶玉は行方不明になり、予備も破損。私は、戦力回復のため水晶玉の捜索を部下に任せるしかなく。報告が遅れてしまいました。誠に申し訳ありません!」


 ジフ様も、怒涛の勢いで死霊騎士に謝罪をされる。


 なぜ謝られるのですか? 水晶玉でしたらずっと・・・・・・


「なるほど。人間の襲撃はそこまで・・・・・・ああ、私に謝罪は不要だ。死体騎士殿も立ってくれ。後ほど死霊魔術師首席殿に報告してもらえれば問題ない。それより水晶玉に破損は? 私の予備で良ければ譲るが?」


「了解いたしました! 水晶玉にもまったく問題はありません!! 御配慮に感謝致します!!!」


「そうか。それでは私達は、本来の任務に戻るとしよう」


「本来の任務?」


「うむ、中央で人間達が反攻作戦を企てていると情報があってな。私は、”絶望の岬”からの増援としてちょうどこの近くを進軍していたのだ。その途中、死霊魔術師首席殿より相談を受たというわけだ」


「中央での?それでしたら転移呪文を御使いになれば?」


「転移呪文? あれは便利だが一度に数名しか運べない。それに私達は、回収部隊も兼ねているのだ」


「回収部隊ですか? ・・・・・・では! デニムのやっ、いえ、デニム様もどこかに?」


「・・・・・・デニム? 死霊魔術師のジョウ・デニム殿か? デニム殿なら先日、大陸中央の最前線に栄転したと耳にしたが?」


「デニムが! 中央に!?」


 ジフ様が、大声を上げる。

 デニムって誰だ? 最近耳にしたような?


「先ほどの反攻作戦の情報を入手したのがデニム殿らしい。首席殿が、デニム殿は幽霊の使い方がうまいと褒めていた。それで回収部隊には惜しいから最前線に引き行かれたとか」


「デニムが栄転・・・・・・褒められた・・・・・・惜しい・・・・・・最前線・・・・・・出世・・・・・・席順・・・・・・私の夢・・・・・・」


 ジフ様が呟き始める。声が小さくて全てを聞き取れない。


「まだだ・・・・・・蛇骨兵・・・・・・見返す・・・・・・出世・・・・・・諦めちゃだめだ! 諦めちゃだめだ!! 諦めちゃだめだ!!!」


 ジフ様の呟きは、徐々に大きくなる。最後には、劇の主役ような台詞になった。


「死霊騎士様! 回収部隊を兼ねているのでしたら、どうぞ中央へ援軍として私が創造した新しい骸骨兵をお加えください」


「いや。確かに回収部隊も兼ねているが、”骸骨洞窟”には来たのは、状況確認のためで・・・・・・」


「”骸骨洞窟”は無事です! 最初は、ここにも回収に訪れる予定ではなかったのですか?」


「ああ。”絶望の岬”を出発した時は、確かにここも・・・・・・」


「でしたら何も問題ありません。どうぞ私の創造した骸骨兵を」


「しかし、襲撃を受けた拠点から回収するのは・・・・・・」


「大丈夫です。”骸骨洞窟”の戦力は回復しています」


「そこまでの判断は、首席殿で無いと・・・・・・」


「遠話で許可を頂きます」


「あまり時間が・・・・・・」


「今!すぐに・・・・・・」


「そも・・・・・・」


 ジフ様と死霊騎士の問答が続く。

顎割れ死体騎士は、生前より優秀です。

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