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【サザンの楽曲「勝手に小説化」シリーズ(6)】『そんなヒロシに騙されて』(原案:桑田佳祐)  作者: 「頑張れ!法政野球部」管理人


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【サザンの楽曲「勝手に小説化」シリーズ(6)】『そんなヒロシに騙されて』(原案:桑田佳祐)

私は、アメブロの、

「頑張れ!法政野球部」

で、私が大好きなサザンオールスターズや、桑田佳祐の楽曲の歌詞を元にして、私が「短編小説」を書くという、

「サザンの楽曲・勝手に小説化シリーズ」

を、断続的に連載している。


そして、私が以前、アメブロで書いた「サザン小説」の中からチョイスした物を、「note」にも転載しているが、前回は、

「サザンをモデルとした架空の学生バンド=『ベターデイズ』」

の物語を掲載した。


その小説は、

『Ya Ya(あの時代ときを忘れない』『私はピアノ』

というサザンの楽曲の歌詞を元にした小説であり、それぞれが関連している「姉妹編」である。


そして、今回は、1983(昭和58)年にリリースされたサザンのアルバム、

『綺麗』

に収録されている、

『そんなヒロシに騙されて』

という楽曲の歌詞に基づいた小説を掲載させて頂く。


ちなみに、

『そんなヒロシに騙されて』

という曲は、

『私はピアノ』

と同様に、桑田佳祐が作詞・作曲を行ない、原由子がリード・ボーカルを務めている曲だが、

『私はピアノ』

と同じく、

『そんなヒロシに騙されて』

も、後に高田みづえが歌い、大ヒットさせている曲でもある。


つまり、

『私はピアノ』『そんなヒロシに騙されて』

は、非常に似通った経緯で世に出た曲である。


…という事であるが、

それを踏まえて(?)、私が書いた、

『そんなヒロシに騙されて』(原案:桑田佳祐)

の小説を、ご覧頂こう。




<序章・『あるライブハウスにて』>


「やっぱり、あいつだ…」


私の目は、「あいつ」に釘付けになっていた。

ある年の暮れ、私は都内某所の、有名なライブハウスに来ていた。


そして私は、そのライブハウスのステージに立つ、あるバンドのライブを見に来ていた。


そのバンドは、とてもカッコイイ女の子がボーカルとして歌っており、他のバンドのメンバー達は男の子だったが、私が、そのバンドを見に来たのは、「あいつ」を見てみたかったからだ。


その「あいつ」というのは、今、ライブハウスのステージに立っているバンドで、ドラムを叩いている「ヒロシ」という男の子である。


去年の夏、「ヒロシ」は突然、私の目の前から居なくなった。

そして今、その「ヒロシ」は、そのバンドで、ドラムを叩いていた。


私は、何とも言えない複雑な気持ちで、「ヒロシ」の事を見ていた…。




<第1章・『横須賀の劣等生』>


私は、横須賀で生まれ育ち、今も横須賀に住んでいるが、子供の頃から、私は何か嫌な事が有ったりすると、独りで海を見に行っていた。

広く雄大な海を見ていると、その時だけは、嫌な事は全て忘れられた。


何で、私が独りで海を見に行っていたのかって?

それは、私は、どういうわけだが、周りと上手くやって行くのが苦手な子供だったからだ。


周りから浮いてしまいがちだった私は、「現実逃避」をするために、よく海を見に来ていたのである。


「ヨーコ、ちゃんと勉強しなさい」

私は、親からいつも、そんな「お小言」を頂戴していたけど、勉強もあまり好きではなかった私は、中学生の頃になると、すっかり「劣等生」になってしまった。


そんなわけで、私は高校は地元の横須賀の女子高に入ったが、ハッキリ言って、その女子高はあまりレベルは高くなかった。

もっとハッキリ言えば、その女子高は、「不良の溜まり場」のような所で、地元の人達からは、


「吹き溜まり」

という悪口を言われていた。

でも、勉強が苦手だった私は、そんな高校にしか入る事が出来なかった。




<第2章・『不良少女とよばれて』>


こうして「吹き溜まり」の女子高に入った私は、あっという間に、その学校の雰囲気に染まってしまった。


こう言っては何だか、その女子高は本当に荒れた雰囲気で、毎晩、夜遊びを繰り返すような子達ばかりだったが、私も、物の見事に、その子達と「同類」になってしまった。


私は、立派な「不良少女」になってしまったが、周りの「悪い仲間」達と一緒に、毎晩、遊び歩いていた私は、ますます自堕落な生活を続けていた。


でも、だからと言って、そんな毎日が楽しかったのかと言われれば、そんな事はなく、本当に、ただ毎日ダラダラと、何の目的も無く、私は毎日を「不良仲間」と共に過ごしていた。

今思えば、本当に暗い青春時代だったと思う。




<第3章・『ヒロシとの出逢い』>


こうして、毎晩、遅くまで夜の街をほっつき歩いて、遊び回っていた私だったが、その頃の横須賀の夜の街には、私達みたいな、殆んど社会からドロップアウトしかかっているような、「不良」の子達が沢山居た。


そして、そんな子達は、夜の街の「盛り場」で遊びまくっていたが、私達は、昔でいうところの「ディスコ」に集まっては、みんな踊りまくり、騒ぎまくっていた。


夜の街には、時々、何処かの学校の先生が「見回り」に来ていて、逃げ遅れた子は「補導」されていたりしたけど、私は、そんなドジは一度も踏んだ事は無かった。

私は、昔から「逃げ足」だけは早かったのだ(何の自慢にもならないけど…)。


そして、私が「ヒロシ」と出逢ったのは、その頃の事だった。


ある時、「ディスコ」で踊り疲れた私は、ソファに座り、少し休んでいたが、ふと近くを見ると、私と同年代ぐらいの男の子も、ソファに座り、店内の喧騒を眺めていた。


私は、その男の子の事が気になり、その男の子に話しかけてみた。


「ねえ、アンタ、見掛けない顔だね」

私が声を掛けると、その子はちょっとビックリした顔をしていたが、すぐに、人懐っこそうな笑顔を見せた。


「こういう所に来たのは、初めてだから」

その子は、そう答えたが、私から見ると、確かにその子は「不良」っぽくはなく、何処か良い所の「お坊ちゃん」風にも見えた。


「ふーん、そうなんだね。私は、ここにはよく来るのよ」


「そうなんだね…」


私達は、そんな会話を交わした。


その子は、騒がしい店内でも、ちょっと異質な感じがするというか、物静かな感じがした。

私は、普段、接している男の子達とは、ちょっと違う雰囲気を持っていた、その子の雰囲気に惹かれていた。


「私、ヨーコっていうの。アンタ、名前は?」

私が、自己紹介すると、


「僕は、ヒロシっていうんだ」

と、その男の子は答えてくれた。


「そう。ヒロシ君っていうんだね。ねえ、一緒に踊ろうよ!!」

私は、半ば強引に、「ヒロシ」を誘って、「ヒロシ」の手を取って、皆が踊っている、店の中央へと進み出て行った。


「え!?ちょっと待ってよ…」

「ヒロシ」は、何かゴニョゴニョと言っていたが、私はそんな事には構わず、「ヒロシ」の手を取り、彼をダンスの場に連れて行った。


そこで、私は「ヒロシ」に度肝を抜かれてしまったのである。




<第4章・『踊りが上手なヒロシ』>


最初は、正直言って、私も「ヒロシ」の事を、

「こういう場には、あんまり慣れていない、ウブな子なのかな?」

と、思っていた。


しかし、「ヒロシ」は、店内にかかる、大音量の音楽に合わせ、とても鮮やかな、キレッキレのエイト・ビートのダンスを披露してみせたのである。

私は、本当にビックリしてしまった。


「ヒロシ君、すっごいダンスが上手いじゃん!!」

私は、本当に感心していたが、「ヒロシ」の、あまりのダンスの上手さに、いつしか周りには人だかりが出来ており、歓声が上がっていた。


「本当に、人は見掛けによらないな…」

私は、一見、真面目な「お坊ちゃん」風(?)に見えた「ヒロシ」が、こんなにリズム感が抜群で、ダンスが上手いなんて、全く思っていなかったので、本当に驚いてしまった。


しかし、「ヒロシ」は、事もなげに、涼しい顔をして、ダンスを踊っていた。


やがて、音楽が終わると、周りからは大拍手が起こった。

「ヒロシ」は、私の方を見て、ニコっと笑っていた。

その笑顔を見て、私はコロっと、まいってしまった。


「ヒロシ君、カッコいいじゃん…」

私は思わず呟いていたが、私は「ヒロシ」のギャップに、すっかり心を惹かれてしまったのであった。


こうして、私は「ヒロシ」と衝撃的な「出逢い」を果たした。




<第5章・『忘れられない一言』>


その出来事をキッカケに、私と「ヒロシ」は親しくなった。


私も、それまでは、男の子達と「それなり」に遊んで来たけど、「ヒロシ」は、他の男の子達とは、全く違っていた。

何が一番違うのかといえば、さっきも書いたが、「ヒロシ」はとにかく「ギャップ」が凄い子だった。


一見すると、「ヒロシ」は本当に好青年のお坊ちゃんという感じなのだが、彼は突然、


「ヨーコ、今度バイクの後ろに乗せてやるよ」

などと言って来るのである。


「ヒロシ君、バイク持ってるの!?」


「ああ、持ってるよ」


「ヒロシ」は平然として答えていたが、彼が持っているというバイクの後ろに乗せてもらい、「ヒロシ」と私は、バイクの2人乗りで「デート」などをするようになった。


「本当に、不思議な人…」

私は、「ヒロシ」という、何とも掴みどころが無い、不思議な存在に、ますます惹かれて行った。


ある時、「ヒロシ」は、私を乗せて、バイクの2人乗りで、横浜の方まで足を延ばし、私達は、2人で横浜の夜景を見ていた。


私と「ヒロシ」は、一緒に横浜の夜景を見ていたが、その時、「ヒロシ」は本当に不意打ちで、私の耳元で、こんな事を囁いたのである。


「お前が好きだ…」


私の胸は、早鐘を打ったようにドキドキしていた。


今思えば、それは本当に絶妙のタイミングというしかなかったが、私も思わず、


「うん、私も…」

と、答えてしまっていた。


こうして、私達は付き合う事になったが、私はますます、「ヒロシ」に夢中になって行った。

それにしても、「ヒロシ」が私にくれた一言は、私が今まで生きてきた中で、一番、嬉しい一言だった。




<第6章・『ジュークボックス』>


こうして、私と「ヒロシ」は恋人同士になったが、「ヒロシ」は、歳の割には大人びていて、私達みたいな「ガキんちょ」が知らないような、大人な雰囲気のお店なんかも、よく知っていた。


「ヒロシ」は、昔ながらのジュークボックスが置いてあるようなお店に、私を連れて行ってくれたりしたが、そこで「ヒロシ」は、私が知らないような、昔の音楽を、沢山教えてくれた。


「僕は、音楽が本当に好きなんだよ」

「ヒロシ」は、音楽の話をする時が、一番、表情が輝いていた。

私も、音楽の話をしている時の「ヒロシ」を見るのが、一番好きだった。


しかし、「ヒロシ」は、自分の事を、あまり多くは語りたがらなかった。

だから、実は私は、「ヒロシ」については、あまり詳しく知っているとは言えなかった。


「ねえ、ヒロシ君って、何処の学校に行ってるの?」

ある時、私は「ヒロシ」にそんな事を聞いてみたけど、「ヒロシ」は、


「横須賀の学校だよ」

と答えたきり、後は何も教えてくれなかった。


「ふーん…」

私は、「ヒロシ」はあまり自分の事を聞かれるのは好きじゃないのかなと思い、それ以上は何も聞かなかった。


私も、人からあれこれ聞かれるのは好きじゃなかったし、それはお互い様だと思っていた。




<第7章・『ヒロシが消えた夏』>


そんな風に、「ヒロシ」は謎が多い男だったが、私と「ヒロシ」は、ますます親密になって行った。


私と「ヒロシ」は、毎日のように逢い、デートをしていたが、「ヒロシ」という人は、本当にいつも絶妙のタイミングで、私の心を揺さぶって来た。


「キスしてくれないかな…」

私がそんな風に思っていると、「ヒロシ」は私の心の中が見えるように、私にキスをする。


「この人は、私の心が見えるんじゃないかしら?」

私は、いつもドキドキしてしまったが、「ヒロシ」と私は、お似合いのカップルだと、私は思っていた。


しかし、本当にある日突然、「ヒロシ」は私の目の前から、姿を消してしまったのである。


「君は本当に素敵だよ…」


「ヒロシ」は、サラっと、私に対して「歯の浮くような」事を言っていたけど、遊び慣れていた(?)私も、


「またまた、そんな事を言って…」

と、苦笑いしながらも、心の何処かで、


「私達の愛は、永遠だもの…」

と、思ってしまっていた。


それぐらい、私は「ヒロシ」に夢中だった。


しかし、その年の夏、そんな楽しい日々は、突然、終わりを迎えてしまった。

私は、「ヒロシ」と全く連絡が取れなくなってしまったのである。


「ヒロシ」の携帯電話にかけても、全く繋がらなくなり、そして遂には、


「この電話番号は、現在使われておりません…」

という機械の音声になってしまった。


私は、呆然としてしまった。


「何で?どうしてなの…?」


私は、幸せの絶頂から、一気に絶望のどん底に叩き落とされてしまった。

私はそれから何ヶ月も、枕を濡らし、泣いて過ごしていた。

気が付くと、私は夏の横須賀の渚に独り佇み、涙を流していた。


私は、「ヒロシ」の事が頭から離れず、


「何で、私の前から、ヒロシ君は居なくなってしまったの…?」

という事ばかりを思っていた。


だが、そんなある時、思わぬ所から、私の元に凄い情報が舞い込んで来た。




<第8章・『ヨコハマの夜の女』>


「ヒロシ」が、私の前から忽然と姿を消した後、私は何とか、通っていた女子高を卒業する事が出来たが、高校を出た後、私は横浜のキャバクラで、アルバイトをするようになった。


ロクに勉強もして来なかった私は、進学も就職もせず、「夜の街」で働くようになったのであった。


そして、横浜のキャバクラで働くようになって暫く経った頃、私はそのキャバクラで働いている、先輩の女性と、とても仲良くなった。

私は、その先輩と色々な事を話すようになっていたが、ある時、その先輩が私に、こんな事を言った。


「ヨーコちゃん、音楽には興味有る?」

音楽という言葉を聞くと、私は「ヒロシ」の事を思い出してしまい、胸が痛んだけど、そんな事はおくびにも出さず、私は、


「音楽ですか?はい、結構好きですよ」

と、答えた。


「そう。実は今、私の友達が、バンドでボーカルをやってて、今度、ライブに出るんだって。それで、もし興味が有ったら、一緒に見に行かない?」

先輩は、私にそう言うと、そのバンドの写真が写っているチラシを、私にくれた。


「そのバンド、『ベターデイズ』っていう名前で、学生バンドなんだけど、そのバンドのボーカルが、ユウコって言って、私の友達なんだ!その子、すっごく歌が上手くてね…」


先輩は、私に熱心に、そのバンドについて説明してくれたが、私は、もはや先輩の言葉は耳に入っていなかった。

私は、そのバンドの写真に写っている、ドラムを叩いている人の姿に、釘付けになっていた。


そう、そのドラマーは、私の前から消えた男…あの「ヒロシ」であった。


「先輩、このドラムの人って、知ってますか!?」

私は、先輩に思わず聞いてしまったが、先輩は、


「ドラムの人?よく知らないんだけど、ユウコは確か、ドラムはヒロシ君っていう人だって言ってたかな…」

私は、あまりの偶然に、本当に驚いてしまった。


あの「ヒロシ」が、バンドでドラムを叩いていたとは…。


「先輩、一緒に行きましょう!!」

こうして、私はその先輩と一緒に、「ヒロシ」がドラムを務めるバンド…「ベターデイズ」のライブを見に行く事になった。



<終章・『そんなヒロシに騙されて』>


そして、私はその年の暮れ、「ベターデイズ」というバンドのライブを見に、ライブハウスへと足を運んだ。


ライブハウスは超満員だったが、どうやら、その「ベターデイズ」とやらは、青山学院大学の学生バンドらしい。


という事は、「ヒロシ」も青山学院の学生という事になるが、私はこの時、初めて、


「ヒロシ君って、本当にお坊ちゃんだったんだね…」

という事が、ハッキリとわかった。


「ヒロシ」が、私の前から居なくなってしまったのは、多分、大学受験に本腰を入れるため、遊んでいられなくなってしまったからではないかと、私は自分なりに解釈していた。


「だからと言って、一言、言ってくれれば良かったのに…」


私は、「ヒロシ」の事を恨めしく思っていたが、そのバンドでドラムを叩いている「ヒロシ」は、本当に楽しそうな様子で、生き生きと輝いていた。


「ヒロシ君、本当に音楽が好きなんだね…」

私は、彼の姿を見ていると、何だか本当に泣けて来た。


「もし、楽屋に訪ねて行ったら、ヒロシ君、何て言うかな…?」

私はそう思ったが、「ヒロシ」に会うかどうか、私は決めかねていた。

でも、もし「ヒロシ」に会ったとして、私は何と言えば良いのだろうか?


「ヒロシ君、私を騙して、酷いじゃないの!?」

私は、そう言ってやろうとも思っていたが、どうすれば良いかわからず、私はバンドのステージを見ていた…。




『そんなヒロシに騙されて』


作詞・作曲:桑田佳祐

唄:サザンオールスターズ(リードボーカル:原由子)



おまえが好きだと 耳元で言った


そんなヒロシに騙され


渚にたたずむ




踊りが上手で ウブなふりをした


そんなヒロシが得意な


エイト・ビートのダンス




泣いたりしたら いけないかもね


ディスコティークは 夜通し熱い



だから一言 下さい


恋の行方はメランコリー


だからお前はステキさ


愛が消えてく 横須賀に




小粋なリードで 私を誘った


あんな男が今さら


許せるでしょうか




二人の仲は永遠だもの


ジュークボックス鳴り続けてる




だから彼氏に伝えて


口づけだけを待っている


胸の鼓動が激しい


サイケな夏を 横須賀で

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