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デュラハン、伝承はまだ続いている

作者: Aprツツジ

①ここは、昭和の戦時中の時代

②平成の時代

③令和の時代

④現代...まだ進行中...



 敗戦の状況が濃くなってきた、太平洋戦争の最中に、学生時代の友人が訪ねてきた。


 家族は、実家へ疎開して、誰もいなかった。


 彼は、土塁どるいそう、大学を卒業して、外務省に入り、そのあとなぜかアイルランドに渡り、駐在員みたいなことしてた。


 戦況は、僕は他にも外務省の職員の友人がいて、遠の昔にバトルオブブリテンの戦いは終了して、ガダルカナルの敗戦、...グアム島の玉砕も伝わっていた。


 その間にも、彼は6年近くもアイルランドにいたようだった。


 彼の帰国は突然だった、外務省の友人とつい数日前に会って話が出たのだった。


 彼から外務省に連絡が入って、なぜかリトアニアにいて、ユダヤ人の家族と行動を共にしていたようだった。


 そして今日突然、訪ねて来ていた。数日前に会った外務省の友人に貰った一升瓶があった。



◇◇学友の話01


 「いやー、日本は暑いねー、まだ初夏だというのに、この暑さには負いるねー」


 「いや、いや、まだ日本の夏はこんなものじゃないだろー。もっと、暑くなるゾー!」


 「今は、家族は疎開して誰もいないし、ひとり者みたいなものだから、家のなかは散らかっているけど、気にせずに上がれよー」


 風通しのいい、縁側のある部屋に案内した。


 「いやー、大学を卒業して以来かー、田荘でんしょう君」


 「そうだなー、土塁もアイルランドに渡ってから、一度も日本に帰って来てないんじゃないのか?」


 そうして、彼は北欧神話の物語を語り始めた。ああ! そうだったー、彼はその手の話が好きで、僕はいつも聞き役だった。


 そんな話を聞いてる奴は、僕ぐらいしかいなかったんだよ。まー、でも僕も嫌いではないので、いつも聞き役になっていたっけなー


 そこから、アイルランドの物語の話になってきた。


 いやー、デュラハンは日本にいる時は騎士だとばかり思っていたんがねー。色々とバリエーションがあるんだよねー。


 やはり、現地にいて聞く話は、面白いものがあるよー。


 でも、僕もデュラハンの持つ首は自分の首だと思っていたが、あれは『首級の首』らしい。


 それから、騎士だけではなく、御者だったりしてねー、これが訪れると『死者が出る前触れ』だと言う話もあるねー。


 更にだー、男だけではなく、女性もいるんだよねー、これがー。でも、全てが首から上がないんだよねー。


 あと、僕が6年ほど住んでいたところは、海辺の日本と同じように、リアス式海岸だっけかな? そんなところだったよー


 その環境のせいなのか、あの辺りは異色な物語になっているんだよー。


 奥まった入り江があるところなんだ。だから、風の強い日は、波が荒くなるから海岸の港ではなく、入り江に逃げて避けるんだよー


 でも、外国や国内のそんな事情を知らない大型の船などは、入り江が浅いので、入れないんだー


 だから、風が強い時期などは、近くの港に逃げるんだけどねー


 なぜか、入り江でも、風の強い日は、沈没したり、転覆したりするんだそうだー


 そこに物語が入っているんだよー。いわく、ヨットに乗る女性がこちらに向かって来るそうなんだー


 そして、デュラハンと似たところは、それを見た船は沈むそうなんだー。他の話にもある、『死者が出る前触れ』なんだねー


 その上、船で『首級の首』なら船長と、相場が決まっていて、沈んだ船の船長の首が無くなっているそうなんだー



◇◇学友の話02


 土塁は、割と酒に酔って来たのか、色々と向こうでの深い話になってきたみたいだな。


 それとは別にしたい話なんだけど...


 向こうで釣りの友人たちがいて、いつも、知り合いの漁師さんに頼んで船を出してもらうんだ。


 向こうに渡ってからできた友人で、釣り友達なんだ。もう6年の間に7人の釣り友達になったね。


 寒い時期は、風が強くて波も粗いけど、いいタラが釣れるんだよー。日本のタラの何倍も大きいんだよ。


 向こうでは牛の舌、ベロを食べるんだ。『ビーフタン』と言うんだよ。でねー、その大きなタラもベロがデカいから食べるんだよー


 驚いただろー! 


 「いや、それは、牛もそれこそタラもベロを食べるってー、僕は知らなかったなー。初めて聞いたよ」


 「そうーだろ、日本じゃ牛も簡単には食べないよなー。向こうは、肉を良く食べるからなー。


 「僕も日本いる時は、すき焼きくらいしか、食べたことがなかったんだー」


 「それで、そのタラのベロも新鮮でなければ、いけないから、そんないいタラをワザワザ、危ない思いをしてでも釣りに行くんだよ」


 「それで、最近、...とうとう、漁船が荒波で転覆してなー、...助かったのは、ぼくだけだったんだー」


 「僕以外の人の遺体は、...奇跡的にあがったんだけども、みんな首から上が、...見つからないんだよー」


 「えー、そうなんだー。それは幸運といっていいよなー。最近って、いつのことになるのかな?」


 「まー、...3月頃かな。...そこから、英国の占領下だから、色々と迂回しながら、やっと昨日帰って来たんだよーーー!!」


 「そうかー、そりゃあー、大変だったなー。辛かった。...よなー!。でも無事に帰れて良かったなー」と二人はいつしか泣いていた。


 少し落ち着いて来た頃に「まだ話は残って...、いてなー」


 「うん、そうかー、...話してみれよー」


 「いやー、さっきの話のヨットの女性がなー、...」


 「ああ、女性のデュラハンかー! うん、それが?」


 「実はみんなと釣りをしている時に、...見ちゃったんだよなー。服のチェック柄や色までも...クッキリと見えていたんだよなー」


 「えー、今度は...実話なのかーーー!! それって、ウワサ話程度じゃあー、ないのかー!」


 「いや、これは、あの町だけの...伝承...なんだなーーー!!」


 「ほー...、じゃあー、それも...あわさって...日本に帰りたくなったのかー?」


 「ああ、そうだー...それもあるんだが...」


 「さっきの首無しの、...遺体なー...みんな...退役軍人だったようなんだー。...尉官や佐官※だったんだ...」


 「それってー! あれ...なのかー、お前は...『首級の首』だと...思ったのかー!」


 「ああ、...そうだー!」


※尉官や佐官:尉官{少尉、中尉、大尉}、佐官{少佐、中佐、大佐}


◇◇平成の時代


 いまは、なぜか昔話を、思い出した。ひ孫が、アイルランドの海の特集をTVで見ているからかなー


 あれから、土塁と、空襲にあって一緒に、防空壕に入ったんだ。


 それが、高台にあった池が破壊されて、水が僕たちの防空壕に、一気に流れ込んできたんだー。


 気がつくと、僕は防空壕から出されていた。水没しないで助かたんだよなー


 でも、土塁は水没した防空壕から掘り出したら、首から上が見つからなかったんだよなー


 あれは、伝承と言っていたなー。それは、語り継ぐものだったかなー



 気が付くと、ひ孫が珍しく、じいじの話を聞いている。


 まーそうかー。あれから、TVゲームとか孫のときも、『デュラハン』なんて、良くアニメだったかーで、見かけたなー


 気付かない内に、語り出してしまったかー


 「うん、それで、ヨットに乗った女性のデュラハンって、聞いたことがないねー」


 そうだー、ひ孫は、いま投稿をしてるんだよなー、異世界物だっけかー


 「ねー、それで、じいじ、ヨットに乗った女性のデュラハンを見るとどーなの?」


 ああー! ついに土塁から聞いた、アイルランの小さな町の、伝承を語り継いで、しまったのかな?


 「ああー、これは、友人から聞いた実話になるけど...」と語っていたが...


 ひ孫娘が突然に「ああー、大変だー、じいじー、こっちにヨットに乗った女の人が向かっているわー。首から上が黒くなっているわよー」


 えー、ここは山奥だぞー!


 その時に、鉄砲水を知らせる、半鐘はんしょうが鳴っているー! 大変だー早く逃げろー!


 「じいじはもう登れないから、おまえだけで、押し入れから天井裏へ上がれば、助かるからなー」


 ひ孫娘が逃げるのを、見送ったー!


 家は流されたけども、あたしだけは、助かったんだよねー


 じいじも、遺体は見つかったけど、頭が潰れたのかなー。首から上が見つからなかったー


◇◇令和の時代【元年過ぎた頃】


 私達は、南の国に来ています。20代OL4人で、上司が一人いるけどね。会社の海外研修になります。


 ナイスミドルの先輩から聞くと、令和の時代になってから、セクハラやパワハラなどの認知が進んで、かなり改善されてはいるようです。


 海外研修で、来ているけど、観光もして、スペインの統治時代の建物なんかもありますよー


 上司は『遊びに来たんじゃないゾー!』と怒っていますが、なぜ観光コースのツアー参加が組み込まれてるか、考えていますかねー?」


 「私達は、その意味を『よく遊び、良く学べ』だと思っていますよー!」


 私達は二人部屋にそれぞれが泊まっていますよー


 一番上の俊子先輩(入社5年)と由紀奈先輩(入社4年)がペアです。


 私は、優子先輩(入社3年)と一緒の部屋です。優子先輩は一つ上で、としが近いので、特に親しくしています。


 今日は初日なので、何か修学旅行的な気分で、免税店で買ってきたワインを、ここで優子先輩と飲んじゃっています。


 たぶん、明日は朝から、コンベンション・センターで、本部の人の研修が入っています。


 あさっての、観光ツアーがとても楽しみです。



 いやー、一日じゅう研修で疲れたー。これから、路線バスに乗って、ホテルへ帰ります。シャワーを浴びてブッフェ形式の夕食だねー


 ところが、うちの上司が、路線バスの列が長いので、乗合タクシー? 割りわりかんで乗ればバスと同じ金額だから、早く着けばいいだろうと言っている。


 俊子先輩が「海外旅行では、それって危険です。今回も注意されてるでしょう。詐欺さぎが多いんですよ。誘拐までは少ないですが」


 ところが、他の支店の人がバンに乗って行く。


 上司は「運転手も日本人だし、大丈夫だろう」と言いだして、バンに乗って行くことになっちゃったわ。


◇◇◇◇◇◇


 はー! 俊子先輩の言うことが正しかったよねー。日本人だらけの誘拐グループだなんて、ほーんと、信じられない。


 いまは上司がさんざん、殴られ蹴られて、誘拐犯の身代金要求の文書を書かされているわねー


 ここは、どこかの入り江? 船に乗せられて、縛られて床に座らせられている。パンツスーツで正解だった。他の支店の人でミニスカートや、キャミソールの人など、個人でどこかへ連れて行かれているわー


 夕飯は、安っぽいパンと缶詰そのままのスープ。あげくに、ベッド数が少ないから1グループは船底。おまけに、それを決めるのに怪談で面白くなかったグループで、決めるなんて、ヒマをもてあましてるんだねーーー!!


 上司のくじ運の悪さも、モー耐えられない。最終グループだなんて、たぶん、私は14人目。そこまでには怪談のネタが尽きているよー!


 夜の暗い海を、じーっとながめている。もうすぐ、私の番。みんな妖怪の話なんて詳しいね、ネタが尽きちゃって、もうない...


 ダメだーーー!!


 もうあの話しか残っていないよー。あれって、あの事故の跡、曾祖父の日記が出て来て、カタカナの日記で詳しく呼んだんだよねー


 私は、あれって、単なる伝承じゃなくて、呪いの伝承だと思っているんだよねー


◇◇現代01【俊子先輩】


 そして、私の怪談の語りになった。話の序盤から...実話まで...みんなから、オモイッキリに笑われ、ののしられている。


 「えー、女のデュラハン!」、「えー、自分の首じゃない!」、「えー、ヨットに乗ってくる!」、「バカヤロー、騎士だろう!」


 でもいま、私の目には、暗い海なのに、あの時に見たままの女性が見えているのー


 その後、私達のグループは、船底に連れて行かれて、ブルーシートの上で寝る? 無理だからー! 壁によりかかっていたわー


 そして突然、船が上下の大きなうねりかと思ったら、船に横の衝撃を感じて、床に投げ出されて、...気がつけば上下が逆になっていたわー


 みんな、気がついて、転覆したんじゃないか? 私もそう思ったわー


 それから、数日後に、私達は、救出された。船は転覆していたわー。助かったのは私達だけだったのーーー!!


 サメに喰われた傷もなく、首から上がない遺体が幾つかあがったと、現場検証の時に聞いたわー



 私は、あの時の伝荘でんしょう美玖みくの情景が浮かんできている。


 あれから私は、部長の紹介で、凄腕営業マンの主人と結婚するので、『寿』退職したの。


 タワマンに住み、幸福の絶頂だったわ。でも...そうなの、...あとは、坂を転がるってことを経験したの。


 夫は、まるで昭和時代の亭主関白で、今でいうと、パワハラ、セクハラ、最後にDVだったのよーーー!!


 私は、何年もガマンしてきたのー、でもそれも今日でお終いにするわーーー!!


 さっき、浮気相手が妊娠できた! お前は全く妊娠すらしないだろーーー!! だから離婚しろーーー!! そして、アヤマレーーー!!


 いまは湖の上で、ボートに乗っているわ。だから、いまは、あの実話を話しているのよ。


 あの時、私も見たのよ『暗い夜の海なのに、チェック柄の良い仕立てのドレスを着て、ヨットに乗った女のひとをーーー!! 首から上は黒かったから、顔は分からなかったのーーー!!』


 「えー、女のデュラハン!」、「えー、自分の首じゃない!」、「えー、ヨットに乗ってくる!」、「バカヤロー、騎士だろう!」


 あの時と同じような、ノノシリの言葉を受けているわーーー!!


 でもいまは、また見えてきたわーーー!! 待っていたのー、あなたが来るのをーーー!!



 突然がけ崩れがあって、その衝撃で湖に大波が押し寄せてきたのー。


 私は夫に、この暑いのにバカかと、笑われながら真面目に救命胴衣を着けてたのよ...。



 後輩の由紀奈が、夫の葬儀に来てくれたわー! スローライフのために山奥の田舎に嫁いでいたのに。ワザワザありがとうー!


 自宅に一緒に戻ったわー。へー、ここがウワサのタワマンなのねー、と言っているわ。今日は、泊まって言ってねー


 ねー、旦那様は、首から上が無くなっていたのよね...。この後、後輩の由紀奈と内緒の話をしていた...わー!



◇◇現代02【由紀奈先輩】


 後輩の由紀奈が、夫の葬儀に来てくれたわー! スローライフのために山奥の田舎に嫁いでいたのに。ワザワザありがとうー!


 自宅に一緒に戻ったわー。へー、ここがウワサのタワマンなのねー、と言っているわ。今日は、泊まって言ってねー


 ねー、旦那様は、首から上が無くなっていたのよね...。この後、後輩の由紀奈と内緒の話をしていた...わー!



 由紀奈は、翌日の朝に、俊子先輩のところを出ていた。


 色々とパンフレットを集めて、久しぶりの都心で、お昼をゆくりと食べていた。


 そこから、昼過ぎに新幹線に乗り。帰路へ着いた


 その帰りの電車では、昨夜に俊子先輩に聞いた話を思い出していた。


 葬儀の前に、浮気相手の女が現れて、お前の旦那は離婚すると言っていたと、騒いでいたこと。


 それに対して俊子先輩が、それなら、婚姻がある妻はあなたに損害賠償や慰謝料が請求できるから、正式に訴訟を起こせばいいでしょう。


 私は、その訴訟で、正式にあなたが行ったことを、認めることになるから、助かるわー。サッサと訴訟を起こしなさいと、追い払った。


 さすがは、俊子先輩ねー。今回の事故では、タワマンの支払いはローンに付随する保険で支払われるしね。生命保険も降りるわねー。



 私も、スローライフと二男であることを頼りに結婚したけど、田畑を分けてもらっても、主人は本家の農業の面倒もみさせられている。


 結局、自分の畑は、私がみてる。更に、しゅうとめは、他の用事を私に押し付けて。...更に、小姑こじゅうと、主人の姉もちゃっかり便乗した上で、人のことをイビリ回している。


 おまけに、最近は、姑はシングルマザーの従姉妹を連れて、主人のところへ、頻繁に来ている。


 同じ年の地元に出来た友達から、ウワサでは、あなたと離婚させて、その従姉妹と再婚をさせようとしていると。


 それも、その従姉妹とは同級生だから、早くから子供を作っちゃって、直ぐに離婚をされたらしい。


 そして、そのウワサも同級生で流れている。主人は人の言いなりになる性格だから、どうせなら、首都近郊に住んで私が采配さいはいしていたほうが、とってもマシだったわ!


 でも、いい清算方法を見つけたからね。ワザワザ俊子先輩のところへ行っても、正解だったわねー。



 家に戻ると、私が出かけたその日に、姑はシングルマザーの従姉妹を連れて、泊まっていたわー。これから、始まるわねー。


 それから、1週間、昼は小姑の姉も加わり、イビリ出しが始まったの。これも想定内、暇を作って色々と手続きに回って準備をしたの!


 そして、当日の夕方に例の、デュラハンの話を無理やり始めたの。でも、姑、小姑、例の従姉妹もイビリ出しのネタだと喜んでいたわー


 「えー、女のデュラハン!」、「えー、自分の首じゃない!」、「えー、ヨットに乗ってくる!」、「バカヤロー、騎士だろう!」


 あの時と同じような、ノノシリの言葉を受けているわーーー!!


 でも、窓の外を見るといまは、また見えてきたわーーー!! 待っていたのー、あなたが来るのをーーー!!


 その時に、山津波の警報が鳴ったわー。いきなり押し寄せてきたー。気が付くと、私だけが救急車に乗せられて出発するところだったわ。



◇◇現代03【優子先輩】


 私は、病院で知らされたの、私以外はみんなダメだったそうなのー。そして、姑と小姑は、頭が見つからなかったみたいねー!


 1カ月程の入院だった。東京から訪ねて来た人がいた。


 俊子先輩だった、先輩は私の顔を見て、大丈夫そうだねー、とお互いに、ニヤリと笑ったのー。


 先輩が帰ったあと、私は顔を隠して笑っていたわ「フフーーーフ」



 優子先輩が、ワザワザ私のところを訪ねてきたわ。気になる記事があるからと。


 あの事件のあと、お互いあの会社を辞めて、いまも独り身でいるわ。


 優子先輩と前に会ったのは1年前? かな。


 いまは、ツアーコンダクターの仕事をしている。


 何か資料を出してるね。どーしたんだろう、何か焦っているような...。


 優子先輩が「最近変わったニュースに気付いたのよ。遺体に頭がない事故なんだけどねー」何の話がしたいのか?


 これを見てと指差ししたのは、4カ月前の事故で、湖でがけ崩れによる大波で、ボートが転覆した事件だった。


 これの住所が、どうも俊子先輩のようなのー。でー、先日問い合わせたら、そうだったの、先輩の旦那さんがなくなったそうなのよね


 新聞社のデータベースで色々と見ると、頭が見つかっていないようなのよー。分かるでしょう、あの事件を思い出したのよ。


 あとねー、これなんだけどね、山奥の村でおきた山津波の事故なの、これも由紀奈先輩の嫁ぎ先だったのよ。


 それで、地元の新聞社に問い合わせたら、姑とお姉さんの頭が見つからなかったみたいなのよ。


 これって、あの事件で、あの先輩たちは呪われていたのかしらね。


 まーでも、昨年からそんな感じの水の事故があってね。頭が見つからなかったりすることがあるようね。


 あれ! 優子先輩って、あれ実話ですがと、初めに言ったはずなのに、何かおかしいな?


 それで、あの事件のあと、あの二人の先輩が、見たとか言っていたので、大丈夫かな? と思っていたのよ。


 「それで、あれって、どこかで読んだりした話なんでしょう? それを確認しにきたのよ」と真面目な顔をしていた。


 「優子先輩、あれって、私の曾祖父の実話です。戦友も頭が見つかっていないんですよ。そして、曾祖父はその話を私にしたんです」


 「だからそれは、私の実話です。曾祖父も頭が見つかっていないんですよ」とあらためて、真面目に答えたわー


 それを聞くと、優子先輩は、真っ青な顔をして、直ぐに帰っていってしまった。



まだ、平成の時代、令和の時代、現代と、続きます

◇◇現代02【由紀奈先輩】 8/13追加しました

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