ちっちゃいってことはたいへんだね! そのいち。
ちっちゃいってことは~篇はもそっと短い予定です、たいへんだね!の部分は本人が気付いてないからこそ安穏としていられる感じでorz
「あら…あなた日本人?」
右も左もわからずにうろつき、大きな虫に驚いて逃げ回っているあたしに声を掛けた人がいた
助かった! と声のぬしを探してきょろきょろ見回してもその姿は見えなくて
「なんだ、空耳……」
がっかりとした時だった
「ここ、ここ、上向いてみて」
「え?…ひゃ?!」
声につられて上を見上げると、それこそ山のように大きな女性が……!!
うちのお母さんよりはちょっと若そうなその女性は
こりゃ危ないわ、とぶつぶつ言いながら手を差し出してくれた
地面の上は巨大な虫とかがいて危険だったので、あたしはありがたく彼女の好意に甘えた
「あなた日本人ね」
「え、はいそうです…えっと…あなたはどなたですか? というかここは一体……」
「ここはね、巨人の国なの」
「……え?」
「あたしの名前は小早川鈴子よ、あなたと同じ日本人」
「え?!、で、でも!!」
日本人ってこんな大きかったっけ?!
あたしももしかしたらこのくらいの歳になると…いやいやいや、そんなことあるわけないよ、うん
小早川さんは、あたしの動揺が分かっているらしく、虚しそうにぽつりと呟いた
下手するとこの子も明日は我が身よね、って……え?
「小早川さん?」
「ん? うぅん、なんでもないから気にしないで
それよりもあなたの名前は?」
「あ! ごめんなさい、宮田晴香です!」
「そう、いい名前ね、じゃあ行きましょう」
「え? ど、どこへです??」
「安全なところだから安心して」
「安全?」
「すぐさま送り返してあげたいところだけど、
ゲートはあたし達の血にしか反応しないから、
気付かれないようにとなると時間が掛かるし」
……え…っと、…なんの話しなのかな……??
「あれ? お母さん?」
「なに持ってるの??」
「美幸、幸恵、ちょうどいいわ、あんた達も手伝いなさい」
「え? なになに??」
「あ! ちょ、これはまずいわよお母さん!!」
「あたし他の四人も呼んでくるっ」
「待ちなさい幸恵! 下手に集まると感づかれるわよ!!」
「あ、それもそうね……!!」
「兄さんはあたし達が引き付けておくから
その間にお母さんが彼女を隠した方がいいわ」
「そうね」
「でもどこに?」
「それが問題よね」
突然黒髪赤眼の美女が二人も現れたかと思うと、小早川さんをお母さんと呼び
あたしを囲んで深刻な顔で話し始める彼女たち
「あのー…? 一体どうしたんですか??」
「あなたの将来を決めてしまうような大事な話しよ」
「え? ど、どど、どういうことですか?!」
「兎に角、兄さんに見つかったら大変だってば」
「何せあたし達と違って中身までお父さんそっくりだもんね」
「そうよ、だから……ひ!!」
「「「ひ?」」」
「お、おか、おかぁさ、う、うし、」
牛?
突然小さく悲鳴を上げて牛とは、一体何のことなのか
みゆ…き…さん?、それとも幸恵さんかどっちかわからないけど
片方の女の人のうろたえっぷりに、あたしも小早川さんももう片方の娘さんも首を傾げながら彼女を見る
と、その時。
「おやおや、この歳でもうお祖父ちゃんになってしまうとは」
「え?」
あたしの身体がふわっと持ち上がったかと思うと、
次の瞬間には、小早川さんの手の上から、娘さんの手の上に移動させられていた
小早川さんの方を見ると、その後ろには……
えぇぇえええー!! すごいナイスミドルっ生きててごめんなさい!!
その辺の醤油顔でごめんなさい!!!
せめてソースだったら良かったのに、でもそれはそれで濃いから醤油で良かった
醤油顔でごめんなさいとか言ってごめんなさいお父さんお母さん!!
「あ、あのお父さんっ」
「はい? なんですか幸恵」
「あの、お母さんは、」
「鈴子さんはこれからわたしと一緒に午後のお茶ですよ」
「午後って、さっきお昼だったばっかり…っていうか、
お母さんは五日ぶりにベッドからでたばっかりで…」
「はい」
「お父さんってば、」
「はい」
「……せめて夕飯は一緒に食べれるようにしてね」
「善処しましょう」
有無を言わさぬ凄まじい笑顔で娘さんたちに受け答えをすると
小早川さんの旦那さん(……でいいんだよね? 多分)は、石のように固まっている小早川さんを優雅にお姫様のように抱き上げて、颯爽とあたし達の前から去っていってしまった
娘さんたちは、ごめんお母さん、非力なあたし達を許して、と言いながらも顔は全然心配そうじゃなかった
懺悔が必要な午後のお茶って一体……
ナイスミドルって古い…
でも他の表現知らない……
鈴子と殿下の子供は息子一人に娘六人です、娘達は派手な外見にそぐわず中身は超普通のある意味可哀想なお嬢さん達です<HAHAHA