これは俺の世界、モブにはなりたくない5
「こえれはこれはあルービッヒ様。お呼び立てして申し訳ございませんんん!!!!!!。お怒りでしたら詰っていただいても構いません!」
ええ、ええ、来ましたとも学園長室。
白髪をオールバックにセットしながらも垂れ下がる一束は艶麗でどこかなまめかしい雰囲気を漂わせている。俺と同じ青眼よりも深みのある藍色の瞳はキョロキョロと視線を揺らしている。
こいつ距離の詰め方異常なんだよな。
コミュ障か。どんまい。
「学園長お久しぶりです。詰るなんてとんでもない。足の裏でも舐めてくださるんですか?」
冗談を言いながら勝手にソファに腰を下ろす。
「え、えええ、ああ、あ…」
なんかミカエル様に似てるな。
「な、舐めさせていただけるのですか!ぜ、是非」
瞬間移動かと思うほどに早く俺の前で膝まついて脹脛に手を添えられる。
こいつ冗談通じないな。
「冗談ですよ。立ってください」
しれっと学園長の手をどかして立ち上がれるよう手助けする。
「え、ええあてて申し訳ございません!!手は使いませんから!御身に触れませんからどうか舌の先だけでもどうか」
うん、きtttっつ
なんでこんな奴が学園長なんだろうか。
マジ向いてない。
こいつを人格者だとかほざくやつに見せてやりたい。
ああ、これがミカエル様だったら少し思うとことがあるのになー
「冗談はそこまでにして、なんで俺を呼んだんですか」
さっきまで引きつっていた口角を元に戻し問う。
すると学園長もスンとした顔で対面の席に座る。
出来るなら始めからしとけや。
「うん、実はねルービッヒ様はミカエル殿下の教師になったじゃないか。それがエルネスト殿下の教師になったと噂されていることに王妃様がお怒りでね。かといってミカエル様を周知させたくないらしくて、どうにかしろって手紙が来てるんだ。」
王妃様バカなのか?エルネスト殿下を王様にしたい、俺がエルネスト殿下を教えるとなると役不足なのは分かるが。
「どうにかって、どうにもならないのでは?王宮に通うことにもなりますし。」
「そう、そこ。君は王室魔術師と懇意にしてるから王妃様に利用されるか、ミカエル殿下の教師役をそのまま名前だけにするか選べってことだと思う。」
なるほど。
王室魔術師は特に平民達から慕われている。何せ生活の道具に魔術式が組み込まれてるのがほとんどだ。その魔術式を組み込むのも素人には難しい。インフラを支えている機関とでも言うべきなのが王室魔術師だ。
そこに俺を入れて王妃優位な土台、名声が上がるような道具を作らせるぞってことか。
ミカエル殿下と会わないのは簡単だがもう会ってしまったんだよな。
もう俺の懐の中に入れてしまったんだよな。
あーあ、普通だったら会わないことを選ぶのに。
まったく損な役回りだ。
「分かりました。王室魔術師になります。資格も持ってますし。
何より我がルービッヒ家を馬鹿にされたようで不快なので」
今日一番のの不遜な顔で言い放つ。
「あっははは!そうだね!ルービッヒ様はそうじゃなくっちゃ!早速手続きしようか。」
何枚かの書面にサインするだけの早10分。
魔法で生み出した鳥に運ばせればもう終了。
今日から王宮魔術師だ!