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あなたはずっと私の心の中にいる  作者: 田鶴


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75.母国帰還

ユージェニーが無事に国境を越えられるかどうか、ソヌス王国では国王ルイが気をもんでいた。


「まだ国境を越えた報告はないのか・・・」


「はい。ですが、革命軍の蜂起がルクス王国でここ数日中に起きるという情報を得ました」


「革命軍は最初に王都を落とす気だろう。国境地帯に展開している部隊から精鋭隊員を派遣してユージェニー達を救出しろ!」


ルイは救出部隊を派遣するだけでなく、革命が自国に波及しないようにルクス王国に派兵することを決めた。それ以前からソヌス王国は、革命軍の侵入を防ぐという名目でルクス王国との国境沿いに兵を既に配置してあったので、救援部隊はすぐにルクス王国に侵入できた。その後すぐに、ソヌス王国の主力が国境を越えてルクス王国の国境警備隊と衝突したが、ルクス王国側は士気低下と脱走に悩んでおり、すぐに白旗を揚げた。国中に展開されているルクス王国騎士団も同じ問題に悩まされており、ソヌス王国騎士団はルクス王国王都への進軍中も大して反撃を受けなかった。


血気盛んな革新志向の人々は、革命軍合流のために既に王都へ発っていた。残った人々は、ソヌス王国騎士団が略奪や虐殺をしないように願いながら、息をひそんでカーテンの隙間からソヌス側の行軍を眺めたが、その心配は幸運なことに杞憂に終わった。ソヌス王国騎士団は、人々が思ったよりも統率がとれており、攻撃されない限り誰にも暴力を振るわなかったし、何も奪わなかった。


ソヌス王国騎士団が去った後、人々が恐る恐る通りに出ると、そこかしこにビラが貼られてたり、置かれたりしていた。地方では識字率は高くなかったが、人々はビラを持って字の読める人のところへ殺到した。


『我々は君達の味方だ!悪辣領主、異常に高い税、食糧危機、婿一族の家乗っ取り-ソヌス王国では全て解決している。私達には問題解決のノウハウがある』


『我々は君達の味方だ!私達ソヌス王国は略奪も虐殺もしない。何よりユージェニー王妃がそんなことを許さない』


ユージェニーの名前が書かれたビラは、彼女が生活環境改善に協力していた村や孤児院、救護院や修道院、利益向上に協力していた商業ギルドの近辺で撒かれた。ユージェニーの名前をビラに見つけた人々は、彼女がしてくれたことを思い出すと同時に、彼女の身の安全を案じた。


ソヌス王国騎士団が王都へ向かって進軍している頃、ユージェニー達はソヌス王国との国境に近い街まで来ていた。


人気(ひとけ)がなくてなんだか死んだような街ね」


「困りましたね、店が全然開いていない。そろそろ食料を調達しないと国境越えができないのですが」


ここ数日間に通った街道沿いの街は荒れ果てていて宿は営業しておらず、持参の食料はそろそろ尽きつつあった。


「どこかの店の扉を叩いてみましょうか?」


「危ないから止めた方がいい。泥棒か敵と間違えられて攻撃されるのが落ちだ」

「それではどうすれば?」


「このまま街道を行けば国境です。急いでいけば、国境を超えるまで食料は足りるでしょう。国境を越えたら砦がありますから、そこで一休みして陛下に連絡を入れてもらいましょう」


「でもルクス側にも砦があります。砦を通らずに国境は超えられないのでは?」


「砦は迂回します。少し険しい山道になりますので、馬車は捨てることになります」

突然、一行に緊張が走った。


「遠くから騎馬の音がします!」


5人は馬車と馬を街道脇の林に隠し、身を潜めた。しばらく待つと10人ほどの小隊が騎馬でやって来るのが見えた。着用している制服はソヌス王国のでもルクス王国のでもない。だが、鞍から下がっている印を見てルイがユージェニー救出のために送った部隊だとわかった。すぐにソヌス王国に戻れない場合にルクス王国内で隠密活動ができるように彼らは制服を着て来なかったのだが、あらかじめ鞍に付けておく印をユージェニーと申し合せてあった。


「ユージェニー様!よくご無事で!」


救出部隊の騎士達は皆、感極まっていた。


ユージェニー一行は救出部隊と共に国境を越え、王都へ向かった。王都では兄ルイとその家族が今か今かと待ち構えていた。


「ユージェニー!無事に帰れてよかった!」


「お兄様、お義姉様、ただいま戻りました。救援隊の派遣、ありがとうございました」


ユージェニーは、兄家族と抱き合って再会を喜んだ。謁見の間での再会は、公式の謁見というよりも、長い間離れ離れになっていた家族の感動の再会といった感じだった。ルクス王国の王宮から共に脱出したソヌス王国の影達もユージェニー達に遅れること数日で王宮に到着し、ユージェニーは彼らとの再会も喜んだ。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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