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あなたはずっと私の心の中にいる  作者: 田鶴


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64.逃亡

宰相リチャードが先触れなしにユージェニーを秘密裡に訪れた。リチャードとはほとんど個人的な接触がなく、ユージェニーはこの訪問に戸惑った。ユージェニーが何の用かと尋ねると、リチャードは言いにくそうに口を開いた。


「その・・・不快なことを申し上げてしまうかもしれませんが・・・『王妃の話し相手』のアンヌス伯爵夫人とアウトムヌス公爵夫人が国王陛下と噂になっていることはお耳に入っているでしょうか?」


「ええ」


「でもアウトムヌス公爵夫人の噂はデマですよね?王妃陛下の()()()であられる公爵夫人が国王陛下と倫理に反する関係になるわけがございません」


「さあ、どうでしょう。私にはわかりません。ですがアンヌス伯爵夫人のほうはおそらく本当ですね?陛下に監禁されていて誰も会えないと聞きました。()()()()()()()()()()、そのようなことになるとは困ったことです」


「大変申し訳ございません。ですが最近、陛下は私の言葉を全く聞き入れて下さいません。それで今日は伺ったのです」


「こんな醜聞は許されません。私達にはまだ子供がありませんから、側妃を娶ることを了承しました。でもそれはもちろん臣下の妻を寝取れという話ではありません」


「至極当然でございます」


「エドワード様の子供を産む側妃が誰であろうと私は構いません。ただし、側妃として資格がある方に限ります。臣下の妻など問題外です。エドワード様はステファニー様とまだ肉体関係は結んでいないようですが、彼女を寝室に監禁しています。そういう関係になるのも最早時間の問題でしょう。監禁の話は既に王宮の官僚や使用人達の中に出回っていますが、国王が臣下の妻を寝取った話が市井でも広まれば、民衆に国王への失望が広がります」


「アンヌス伯爵夫人は監禁される前に『王妃の話し相手』を辞めたいと侍従に話したそうです。彼女の意思を尊重して王宮から逃します。お任せ下さい」


ユージェニーはこれで醜聞がこれ以上広まらないで済むと安堵したが、それが早すぎたことにはまだ気付いていなかった。彼女は既にエドワードを見放していたが、このような醜聞が民に拡がれば、暴力を伴う革命が起きかねないと危惧していた。


リチャードはエドワードの謁見が長引きそうな日を選び、自分の子飼いの影をステファニーの部屋に送った。リチャード自身はエドワードの謁見の場にいないとならないため、ステファニーの所には行けなかった。


ステファニーはノックが聞こえてすぐに扉の所へ行った。鍵を開けて素早く入って来た女性は侍女のお仕着せを着ていたが、侍女ではなくリチャードの子飼いの影だった。背後でパタンと扉を閉めたその女性はステファニーに伝えた。


「貴女が望むようでしたら、ここから逃がして差し上げろと宰相閣下が命令しました。それともここにとどまりますか?」


「とんでもない!家に帰ります!」


「ご自宅にはしばらく帰れません。帰宅されたらすぐに王宮に逆戻りでしょう。しばらく宰相閣下の用意された屋敷に身を隠していただきます。さあ急いで!陛下が謁見中に逃げなければなりません」


ステファニーは侍女のお仕着せに着替えさせられ、影と2人で王宮の使用人口から外に出た。使用人口の門の外で待つ辻馬車を拾い、しばらく乗った後、平民街で降りた。数分歩いた後、影は何の変哲もない普通の民家の前で立ち止まり、扉を2回ノックしてから3回ノック、それを2回繰り返すと、人のよさそうな小太りの中年の婦人が2人を家の中へ招き入れた。そこで2人は平民の着る服に着替え、辻馬車を拾ってリチャードの用意した王都郊外の屋敷に向かった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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