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あなたはずっと私の心の中にいる  作者: 田鶴


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44/79

44.騒乱の後

離宮の暴動から1ヶ月後――荒らされた離宮は、王家が莫大な修繕費用を捻出できないため、簡易的な柵を設置した上で警備兵を配置して不法侵入をなるべく防ごうとするぐらいのことしかできていなかった。だが王都とその近郊に雨風をしのげる場所を求める浮浪者が増えていた。暴動で荒れ果てて使用人が引き上げられた離宮は、そんな人々には格好の住み場所だった。蟻の子も漏らさないような警備費用を王家が出せない以上、侵入者を見つけても氷山の一角、それともいたちごっこなだけだった。


無理に費用を捻出して離宮を修復したら、貧困に苦しむ民衆の怒りを買うだろう。かと言ってこのまま放置すると、今の王家が荒れた離宮の修繕管理すらできない末期状況にあると宣伝するようなものではないだろうか。この暴動の後始末は、新国王エドワードが最初に抱える悩みの種の一つとなった。


「リチャード・・・離宮をどうしようか。元の状態に戻すのは莫大な費用がかかるけど、このまま荒廃するにまかせるのは王家に金も力がないと思われる原因になる・・・いったいどうすればいいだろう?」


「いっそのこと、全壊状態の部分は取り壊したらどうかな?それとも全部取り壊すとか」


「残った部分だけ修復可能なのだろうか?技術的なことや費用について調べさせよう」


「犠牲者の無縁墓地になっている敷地部分は、ある程度の広さで区切って慰霊公園にして市民が自由に出入りできるようにしたらどうだろう?そうしたら、民衆の怒りも多少は鎮められるかもしれない」


暴動直後、身元不明の犠牲者の遺体が多く発見されたが、折しも夏であったので、急いで埋葬しなければならなかった。臨時雇用の地元民が、遺族の問い合わせのない遺体を離宮の正門と反対側の敷地の境界近くに移動させて埋葬し、一帯が無縁墓地となった。ただ、名前がわからない以上、墓標など設置できるわけもなく芝生が剥げた黄土色の地面に土饅頭がぼこぼことできているだけだった。


エドワードは離宮の庭園の半分を区切って慰霊公園を整備することにした。誰でも出入り自由だが、夜間は門を閉めて立ち入り禁止にした。半焼した離宮は、破損が酷い部分をとりあえず解体し、残りは費用の都合でそのままにせざるを得なかった。


ウィリアム毒殺事件の黒幕探しも新国王が解決しなければならない問題だったが、王家の影を使っても捜査はうまくいかなかった。割れたグラスを片付けた偽の給仕担当侍女は見つかったが、既に死んでいることがわかった。捜査は打ち切りとなり、犯人の偽侍女が自殺したという公式発表で幕を閉じた。それ以降、王宮で働く使用人の身元確認を以前に増して強化した。

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