27.タブー*
前半にちょっぴりR15な表現があります。苦手な方はご注意ください。
結婚式から1週間後、早くもエドワードとユージェニーは2人だけの時は敬語を止めてお互いに名前を呼ぶようになっていた。
初夜の翌週、次の閨でもエドワードとユージェニーは媚薬と潤滑剤を使い、2人とも夜着を脱がずに事に及ぼうとした。初夜と違ってエドワードはユージェニーを四つん這いにさせた。ユージェニーは閨の授業で聞いたことのない体勢を不思議に思ったが、エドワードの言うとおりにした。だが新たな試みも空しく、今度もエドワードはユージェニーと身体を繋げられなかった。
「ごめん。まただめだった・・・」
エドワードがしょんぼりして自分の寝室に去ると、ユージェニーは初夜の時と同じように媚薬による昂ぶりを自ら収めた。また隣の寝室からステファニーを呼びながら自慰している夫の声が聞こえ、ユージェニーは情けなくて悔しくて涙が出てきた。
結婚当初、閨は毎週1回と決めていたが、何度か失敗して2人とも徐々に辛くなり、医師の指定する妊娠しやすい日に月に1度閨を行うことになった。それも決まっていつも媚薬と潤滑剤を使い、着衣で後背位だった。
エドワードによる自分の扱いに不満を感じるようになったユージェニーは、母国から連れてきた専属侍女のミッシェルと護衛騎士ジャンに精神的に依存するようになった。主の不満を敏感に察した忠実な配下2人は、他に人がいない時、ユージェニーを妃殿下と呼ばず、姫様と呼んだ。
ユージェニーは流石に男性のジャンに閨のことは言えなかったが、ミッシェルにはぽつぽつと不満を漏らしていた。ユージェニーは閨の具体的なことは言わなかったものの、初夜が実は失敗したことだけはミッシェルも知っていた。そのことでますますミッシェルはエドワードに悪い印象を持つようになり、ユージェニーを気の毒に思う彼女の気持ちに拍車をかけた。ユージェニーがある時ミッシェルにした問いは、その気持ちをますます強化させた。
「ねえ、ミッシェル、人間も獣みたいに、その、う、後ろからするなんてことはあるの?」
「えっ、姫様、どうされたのですか?!」
「いえ、ちょっと猫の交尾を見てふと思いついたのよ」
「あらそうですか。てっきり・・・いえ、何でもございません」
「で、答えはどうなの?」
「そうですわね。ソヌス王国ではそんな体位をするのは娼婦ぐらいのようですけど、この国では違うのかもしれませんね」
ユージェニーもミッシェルも知らなかったのだが、ルクス王国でもソヌス王国と同様に王侯貴族向けの閨の教本には正常位しか載っておらず、王侯貴族の妻にその他の体位を求めるのはほぼタブーに等しい。後でその事実を知ったユージェニーは、夫の仕打ちにますます憤慨し、夫婦の亀裂が深まっていった。
ミッシェルはミッシェルでこの会話の裏の意味を嗅ぎ取り、もし懸念が本当であれば自国の姫が侮辱されていると不満を徐々に溜めていった。ミッシェルがルクス王国でも後背位は王侯貴族の妻に求めるものではないと知ってからは、ミッシェルのエドワードに対する感情はほとんど憎悪と言ってよくなった。それでも優秀な影として、建前上の王宮の侍女として、その感情を表に出すことはなかった。
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