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あなたはずっと私の心の中にいる  作者: 田鶴


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16.縁談

ステファニーはあの事件の日から2ヶ月以上経って初めてエスタス公爵家のタウンハウスに戻ってきた。だが、そこも心地よい安住の地とはならなかった。ステファニーの父ケネスが、未婚で子供を産む娘をそのまま家に置いておくことをよしとしなかったからだ。しかも自殺・自傷防止のため、侍女と女性騎士が24時間体勢でステファニーの部屋に控えており、許可なしに自室から出ることが禁止されていた。

修道院から戻ってきた翌日、ステファニーは父ケネスの執務室に呼ばれた。


「お父様、お呼びでしょうか」


「来週、お前はエイダン・アンヌス子爵に嫁ぐことになった。お前の専属侍女2人と護衛3人も付いていってそのまま子爵家でお前に仕えることになる」


「・・・はい、お父様・・・」


ステファニーは、修道院から実家に戻された時点で身重でも後妻として嫁がされることを予想していたので驚かなかった。本音では嫌であっても、貴族令嬢として政略結婚を受け入れなければならないということが常識として頭の中に叩き込まれていたからだ。エドワードと愛し合う婚約者でいられたこと自体が幸福で珍しいことだったのだ。でももうその幸福はなくなった。そう考えると胸が痛くなるので、なるべく前の婚約のことを考えないようにしてステファニーは無の境地になるように努めた。もっともステファニーは俯いていたので、ケネスには彼女の表情がよく見えなかった。

ステファニーの婿候補は、身重の娘を妻として押し付けても援助と陞爵をエサにすれば文句を言わない下級貴族から急遽探した。その中で白羽の矢が立ったのが、ステファニーより20歳上のエイダン・アンヌス子爵だった。エスタス公爵家は贅沢なほどの持参金をステファニーにつけ、ウィリアム国王は新しい領地は下賜しなかったものの、伯爵への陞爵を結婚の褒美としてエイダンに与えた。


エイダンには結婚歴はなかったが、長年の愛人エスターとステファニーより2歳下の息子ブライアンがいた。エスターは元々平民出身の娼婦であったため、貴族の養女先が見つからず、爵位継承のためにエイダンはエスターと結婚できなかった。庶子は認知してもそのままだと後継ぎとして認められないので、ブライアンは公式にはエイダンの養子ということになっていた。


エイダンと愛人の事情は、ケネスもウィリアムも知っていたが、些末な問題と捉えていた。ステファニーの結婚相手には、ステファニーのお腹にいる子供を実子として育てることを条件にしたため、後で後継ぎ問題が勃発しないように後継ぎが既にいる男性に候補を絞った。白い結婚にするかどうかは相手次第として候補を探していたが、エイダンは愛人に操を立ててステファニーとは白い結婚にするとケネスに伝えてきた。ステファニーはエイダンに愛人がいることはそれほど気にならず、白い結婚になることはむしろありがたかった。


ただ、お腹の子を実子として育てる以上、白い結婚は本人同士とエスタス公爵家だけが知る秘密としなければならなかった。このことがエスターの嫉妬を駆り立て、ステファニーとエスターの確執に繋がっていくのだが、ステファニーは結婚前にそこまで考えが及ばなかった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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