94話 闇の料理
「――話なら、ここで聞いてやるよ。ついて行く必要はねぇだろ」
「えっ!? ……マ、マナヤ?」
テオの替わりに出てきたマナヤが、男たちに啖呵を切る。ぎょっとしたアシュリーがそれに気づき振り返った。シャラも驚いているような気配が伝わってくる。
「な、なんだコイツ、急に雰囲気が……」
と、三人組のうち向かって左にいた一人が急に狼狽している。
(こいつら、テオが弱気な奴と見て甘く見てやがったな)
マナヤから見れば、モンスターよりは可愛い連中だ。正面切って男たちを睨み返す。すると、中央に立った男が鼻を鳴らし、芝居がかった口調で言い放ってきた。
「人の女を盗っておいて、ずいぶんな言い草じゃねえか」
「はぁ? おいアシュリー、シャラ、こいつらお前らの知り合いか?」
「知らない奴よ」
「わ、私も知らない人です」
マナヤが問いかけると、アシュリーは堂々と、シャラもやや戸惑い気味に切り返す。舌打ちし、指をボキボキと鳴らしながら近寄ってきた男たち。
「女を脅迫してそこまで言わせるとはな。どうやら、痛い目を見ないとわからねえらしい」
そんな男の台詞を受けて、周囲がざわめき始める。
アシュリーが唇を噛み、腰に提げた剣の鞘に手を伸ばしかける。それをマナヤが小声で止めた。
「よせ、アシュリー。下手に手出ししたらまずい。衛兵に尋問されたら俺がローブつけてないのがバレちまう」
「っ……で、でも」
「……シャラ、十七」
マナヤの声が届いたシャラがはっと顔を上げ、さりげなく彼の背に隠れるように移動。こっそりと彼の右手首に錬金装飾を装着する。
――【安定の海錨】
それを感じ取ったマナヤは、近寄ってくる男たちに向かって一人で悠々と進み出た。
「マナヤ!?」
「マナヤさん!?」
アシュリーとシャラが止めようとするのを、両腕を広げて抑える。そうして正面の男に、挑発するような笑みを浮かべてみせた。
「てめえ!」
男がカッとなり、突然マナヤに右拳で殴りかかる。マナヤは全く動かず、それを左頬にモロに受けた。
「――な、にッ!?」
男が驚愕に目を見開く。殴られたはずのマナヤは後方に倒れ込むどころか、不動のままそこに立っていたからだ。そのまま、かかってこいと言わんばかりに両腕を広げ、周囲にはギリギリ聞こえないような声量で男たちに向かい言ってやる。
「……この程度か? 腑抜けども」
「ッ! こ、この野郎が!」
同じ男が、今度は左脚で回し蹴りを放つ。それを右脇腹に受けたマナヤだが、微動だにしない。逆に男の方がバランスを崩してたたらを踏んだ。
「お、おいっ! ぼさっとしてんじゃねぇ!」
その男が後ろにいる二人の仲間へと叫ぶ。茫然としていた二人は我に返ったように顔を上げ、二人してマナヤへと殴りかかった。
中央の男も含め、袋叩きにするかのようにマナヤを殴り、蹴る。しかし、それでもマナヤはバランスを崩しもせずに仁王立ちし続けていた。口元の笑みも全く崩れていない。
「な、なんだこいつっ……!」
まるで頑健な大木を殴っているかのような感覚に、今さらながら慄く三人の男たち。全く堪えていない相手の様相を見て、もはや彼らは惰性のまま殴り続けていた。
タコ殴りにされても、平気な顔で立ち尽くしているマナヤの姿。さすがに止めるべく動こうとした通行人たちも、我を忘れたように茫然と立ち尽くしている。
「――お前たち、そこで何をしている!?」
と、騒ぎを聞きつけたらしい衛兵が駆け付けてきた。胸当てと兜に紋様が彫られている。
「な、くそっ……」
それに気づいた男三人は、慌てて逃げ出そうとする。
しかし、通行人の数名かが男たちの行く先を阻もうと動いた。剣士か建築士であるらしい者達が数人、彼らの行く手を阻む。
たたらを踏んだ三人の男たちは、追いついた衛兵たちに取り押さえられた。
「……説明をしてもらおうか。お前たち、そこの少年をなぜ一方的に寄ってたかって殴っていた?」
「い、一方的じゃない! この小僧が先に俺達に――」
「嘘つけ! そこの男の子は一度も手を出してなかったぞ! ただ為すがまま殴られ続けてたじゃないか!」
尋問に言い訳しようとした男に対し、周囲の野次馬から反論が飛んだ。それを皮切りに、周囲の者達が口々に同様の証言を叫び出す。
そんな通行人を一通り見渡した衛兵が、最後にじろりと地面に抑え込まれた男を睨みつけた。
「お前たちが一方的に少年を殴りつけていた。その点に疑う余地は無いようだが?」
「ぐっ……」
「少年、怪我はないか?」
口をつぐんだ男から視線を外し、衛兵はマナヤへと話しかける。
「ええ、ちょっと口の端が切れただけです」
あえて少し痛そうに唇の端を押さえてみせる。最初に頬を殴られた時であろう、そこに少しだけ血が滲んでいた。
そこへ、抑え込まれていた男の一人が言い訳をするように声を絞り出す。
「そ、その小僧が悪いんだ! 女二人を侍らせて!」
「……何を勘違いしてるのか知りませんがね、俺のツレはこいつだけです」
それを冷ややかに見下ろしたマナヤが、ぐっとアシュリーを傍らに引き寄せる。
あまりに突然、かつ自然にそうされて「えっ」とアシュリーが硬直してしまった。だがマナヤは意に介さずにすぐさま言葉を続ける。
「シャラは、アシュリーの知り合いですよ。さっきそこで偶然ばったり出会ったから、アシュリーに合わせてしばらく一緒にいたってだけです。だろ?」
「――ええ、そうよ」
「は、はい、その通りですっ」
マナヤの振りに、アシュリーがすぐさま我に返って自信たっぷりに返した。シャラも慌てて口を合わせる。
それを聞いた群衆が、嘆息しながら苦笑い。衛兵も男たちを見下ろし呆れている。
「こんな少年に、八つ当たりをしたということか」
「ぐっ、こ、このバカッ……!」
恨みがましい目で、先ほど口を開いた男を睨む他の二人。
マナヤは”関係ない”といった様子で彼らから視線を外した。アシュリーが持っている金を狙ってきたことを指摘しても良かったが、これ以上の面倒もごめんだ。
「少年、災難だったな。どれ、怪我を治療しよう」
先ほどから話を進めていた衛兵が、背後の者に目くばせする。すっ、と後方から白魔導師と思しき衛兵が進み出て、マナヤに手をかざし白い燐光を放った。
「あ、どうも」
「いえ。三人がかりで殴られて、よくこの程度で済んでいますね。お若いようですが、優秀な戦士であるようだ」
マナヤが礼を言うと、衛兵の白魔導師が苦笑しながらそう語る。
まさか、これほど堂々とした表情をしているマナヤが召喚師である、などとは思っていないようだ。
「お勤めご苦労様です」
「ああ。この男たちは連行していく。君達も良い一日を」
すぐに治療も終わり、マナヤが衛兵たち一同に礼を告げた。それに手を上げて返した衛兵たちが、男三人を連行して爽やかに去っていく。騒動は終わったかと、人だかりが解散し始めた。
「マナヤ、あんた無茶するわね……」
すぐさまマナヤに向いてくる、心配そうな表情をしたアシュリー。そんな彼女にニッと笑ってみせた。
「俺の……いや、あっちの世界で学んだことでな。『非暴力不服従』ってヤツさ。おかげで、衛兵に事情聴取されることもなかったしな」
こういう時は、こちらが一方的な被害者というのが明らかにわかるように見せた方が良い。日本でネットサーフィンしていた時に見かけた情報だ。
もっともマナヤも、『非暴力不服従』の正確な意味まで深く理解しているわけではないが。
「だからって、あんなにタコ殴りにされて、よくまああんな余裕の顔でいられたわね?」
「なあに。モンスターの攻撃に比べりゃ、人間の素手殴りなんてそよ風みたいなもんだぞ」
彼の戦い方の都合上、自らの身でわざとモンスターの攻撃を受けることには慣れていた。
実際、ミノタウロスのように筋骨隆々の牛頭のモンスターが、巨大な斧を振り下ろして来たりするのだ。それに比べれば、衝撃もプレッシャーも天と地ほどの差があっただろう。
「マナヤ、さん……?」
一方、シャラがいつになく低い声でゆっくりとマナヤへ話しかけてきた。なぜか、黒いオーラを放っているようにすら見える。
「お、おう……その、なんだ。コレありがとな」
そちらにぎこちなく目を向けたマナヤは、自分の左手首を掲げてシャラに礼を言った。その手首には、錨のようなチャームがついたブレスレットが装着されている。
戦闘用錬金装飾、『安定の海錨』。
攻撃を受けた際、衝撃で押し戻されたり吹き飛ばされたりするのを防ぐことができる効果を持つ。ゲーム上では、ノックバックや引き寄せ等の効果を無効化できるアイテム、という仕様になっていた。
これのおかげで、袋叩きにされてもマナヤは微動だにせずにいられた。周囲からすれば、何度殴られても全く堪えない、とてつもない強者のようにも見えていたかもしれない。
もっとも、衝撃で押されたり倒れこんだりしなくなるだけであって、ダメージを緩和できるわけではない。マナヤが表情を崩さずにいられたのは、召喚師という『クラス』由来の頑丈さゆえだ。
「無茶しないでって、私いつも言ってますよね……?」
黒いオーラを纏ったままのシャラが、若干涙目になってマナヤを睨んでくる。
「わ、わかってるって。テオの体で無茶すんな、だろ?」
「テオとマナヤさんの体、です。だから、マナヤさん自身のためにもあんまり無茶しないでください」
「……お、おう。その、なんだ。悪かった」
テオの体だけの心配ではなかったようだ。シャラのその気遣いに戸惑い、マナヤは少し視線を外しながら素直に謝る。
「まあまあシャラ、とりあえず場所変えましょ? あんまりここに長居して、また変なのに絡まれても困るでしょ」
二人を取りなすようにアシュリーが言った。
「ああ、そうだった。じゃ、俺はこの辺でテオに替わるから――」
「あ、待って下さいマナヤさん」
替わろうとするマナヤを止めたのは、シャラだ。
「シャラ?」
「寝る前まで、マナヤさんのままでいて下さい」
シャラはしんみりとした表情をしている。まだ説教し足りないのか、と一瞬思ったが、そういうわけでもないらしい。
「シャラ、いいの?」
「はい。お休みはまだ明日も丸一日あります。それに……マナヤさんには、助けてもらったお礼もしたいですし」
こてんと首を傾げたアシュリーの問いかけに、少し恥ずかしそうにはにかみむシャラ。
マナヤはその様子に内心安堵のため息をつきながらも、頬を掻きながらシャラを見やった。
「お、おい、お礼っつったって……」
「マナヤさんが好きそうな料理に、ちょっと心当たりがあるんです。出してくれるお店、探してみませんか?」
***
「うまい! なんだこれ、刺身じゃねーよな?」
そうして入った食事処で、マナヤは出された料理に舌鼓を打っていた。さすがに店内で大声は出さなかったが、それでも迷惑にならなそうなギリギリの声でつい声が出る。いつになく嬉しそうな顔で料理を口に運ぶそんな彼の様子を、シャラとアシュリーもにこやかに眺めながら同じ料理を食べていた。
三人の前に出されている料理は、パッと見はカツオのたたきのような料理だ。火が通っているわけでもなさそうなのに、しっかりと調理されているその魚料理を頬張る。
「なんだ、マナヤって魚料理が好きだったの?」
「好きっつーか、あっちじゃこういう郷土料理があったんだよ! でもコレ、生じゃあないみたいだな。一体どういう調理がされてるんだ?」
アシュリーの問いかけに、やや興奮気味に答える。
一応生ではないようなのだが、それでも口当たりはしっとりとしていてジューシーだ。そしてマナヤの知る刺身よりも弾力がある。何かの汁に漬けられていたのか、中までちゃんと塩味が染みていた。魚の生臭さも全く感じない。
「あっちの世界で魚料理があったって聞いてましたから。マナヤさんなら気に入ると思ってました、クコ魚の闇煮」
「へー、闇煮……闇煮!?」
シャラが答えたその料理名に、思わず彼女を二度見してしまうマナヤ。何やら怪しげな雰囲気を醸し出すその料理名に、思わずそれを口に運ぶ手が止まる。
アシュリーがふと気づいたように改めてマナヤに顔を向ける。
「あれ? もしかしてマナヤの世界じゃ、闇煮は無かったの?」
「無ぇよ! なんなんだこの料理!?」
闇鍋という料理ならばあちらの世界にあったが、おそらくそれとは全くの別物であろう。
「ほら、黒魔導師とかが使う『闇撃』の魔法があるでしょ? ああいうのを使って食材を調理するのよ。火を通さないから瑞々しさも噛み応えも残ってるし、でも調理はできてるし食材の臭みも消える。結構便利な料理なのよ?」
苦笑しながら、そうアシュリーが解説した。
闇撃というのは、電撃の逆属性にあたる属性攻撃だ。
この世界には、その闇撃を使った調理器具の魔道具があるという。それを使って闇撃で調理するのが『闇煮』という調理法。もっとも闇撃の調理は繊細で、出力調節や調理時間を誤ると食材が丸々消し飛んでしまうこともある。その魔道具自体がそこそこ高価ということもあって、一般の村には普及していないそうだ。
――『クラス』の力を、戦い以外にもこういう所で役立ててるってワケか。
そうマナヤは感心して、もう一切れクコの闇煮を口に入れる。
「! そっか、闇煮……」
と、シャラがフォークに刺した切り身を眺めながら、真剣な表情で小さく呟いていた。
「どうした? シャラ」
「えっ? あ、いえ、すみません何でもないです」
マナヤが声をかけると、慌てて苦笑いしながら誤魔化し切り身を口に入れるシャラ。少し訝しんだものの、それほど追及することでも無かったのでマナヤはそのまま食事を続けた。
「そういや、王都だと普通に魚が食べられるんだな」
ふと思い出して、ぽろりと呟く。セメイト村でもスレシス村でも、なんならマーカス駐屯地でさえ魚が食卓に出てきたことは無かった。
その呟きを聞いたアシュリーが、フォークで窓の外を指す。
「この王都は、東に港があるからね。そこで捕れた魚介類が出されてるのよ」
その窓へと目を向ける。そういえば、建物の隙間から船影が覗いていた。
「時期によっては、他の町や村からの食材が出されることもあるそうです。成人の儀を受ける子達が、換金のために特産品なんかを持ち込んでくるからですね」
「あぁ、そういうのもあったわね。今の時期は、うーん……ちょーっとだけ遅かったかしら」
続くシャラの補足に、アシュリーが思い出したように同調した。
今年分の成人の儀が執り行われたのは、四カ月ほど前だ。おそらく持ち込まれた数々の食材がちょうど切れる頃なのだろう。
そんな他愛のない話を続けながら、和やかに食事は進んだ。
***
夕食を終え、支払を済ませて食事処から出てきた時。
「あれ、ディロンさん? テナイアさんも」
「む? アシュリー、それにシャラとテオか。君達はそちらで食事をしていたのだな」
店を出てすぐ横を向いたアシュリーが、隣の食事処からちょうど出てきたディロンとテナイアに鉢合わせしていた。先刻、宿で別れた時のような豪奢な衣服ではなく、ややラフで一般の王都民に溶け込んだような服装をしている。
「ディロンさん達も、こういう所で食事するんスね。もっと豪華なレストランで食事してるもんかと」
「……ああ、マナヤに替わったのだな。我々もたまにはこういう場所で食事を摂りたくなる時がある」
「この辺りのお店は、独自の創作料理を出す食事処が多いですから」
マナヤの呟きに、ディロンとテナイアがそれぞれ応じた。ここは王都に入ってきた時に馬車で通った大通りに面している。つまりは王都に入ってすぐに目につく店が立ち並んでいるため、有名店が多いのだろう。
「……あ、そうだ。ディロンさん、テナイアさん」
「どうした、シャラ」
唐突にシャラが二人に声をかけた。
「その、お二人はこの後何かご予定は?」
「いや、我々はこのまま宿へと戻るつもりだ」
「では、私もご一緒させて頂いても良いでしょうか。お二人に相談したいことがあるんです」
ほっとしたような表情で、ディロンにそう提案するシャラ。それに首を傾げたマナヤが訊ねてみた。
「シャラ? 何なんだ、相談したいことって」
「いえ、ちょっと個人的なことで。マナヤさんとアシュリーさんはお二人でもうしばらく楽しんでて下さい」
そう返ってきた答えに、アシュリーともども顔を見合わせてしまう。
「え、あの、シャラ? どうして急に……」
「アシュリーさん、せっかくですので孤児院の皆さんのお土産、マナヤさんにも選んでもらってください」
「ちょ、ちょっと!?」
と、シャラがぐいっとアシュリーをマナヤの方へと押していく。
「お、おいシャラ、悪ふざけは――」
「お願いします、マナヤさん。……それに、内密でディロンさん達に相談したいことがあるのも、本当なんです」
慌てるマナヤだが、シャラは思った以上に真剣な表情でそう返してきた。余程重要なことなのだろう、そこまで言われてしまうとさすがに反対できなくなる。
テナイアもその様子を見て察したか、穏やかにほほ笑みながらシャラの肩に手を置いた。
「わかりました、シャラさんは責任を持って私達が宿へと送り届けます」
「そうだな。アシュリーとマナヤの二人ならば、何かあっても問題にはなるまい」
ディロンもそれに賛成し、ふっと微笑む。そうして有無を言わさず、三人はマナヤとアシュリーを置いてその場を立ち去っていった。
「アシュリーさん、マナヤさん、また宿で!」
そう言ってシャラが手を振って去っていく。
急な出来事で、ロクに反応ができなかった。ぽつんと店の前で二人きりになったマナヤとアシュリーが、お互いに顔を見合わせた後に目を逸らす。
微妙な雰囲気になりつつも、アシュリーが取りなすように明るい声で話しかけてきた。
「え、えっと。しょうがないからマナヤ、ちょっと孤児院のみんな用にお土産買うの付き合ってよ」
「そ、そうは言うけどよ。今から土産を買うのは早すぎねーか? 帰る時でいいんじゃねぇのか」
「帰る時だと慌ただしくて買えないかもしれないじゃない? せっかくだから、時間と気分に余裕のある時にやりたいのよ」
そう言ってアシュリーが、強引にマナヤの手首を掴んで引っ張る。
「お、おい引っ張るなって」
「いいから! ほら、通りのもうちょっと奥! 馬車で通った時、良い感じの雑貨屋が見えたのよ」
「俺にゃ土産の良し悪しなんてわかんねーぞ!?」
「男目線での意見が欲しいの! 孤児院には男の子だっていっぱい居るんだから。ほら、早く!」
アシュリーに腕を引かれ、戸惑いつつも彼女についていく。
ややぎこちないながら、思いのほか穏やかな気分になったマナヤは、苦笑しながら観念してアシュリーについていった。




