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第22話:成績爆上げ特訓の秘策とは

たくさんアクセスしていただいているので、

明日は3回更新です。

一人で姫香(ひめか)さんのところに相談に行くつもりが、二見(ふたみ)さんも天乃(あまの)さんも着いてきてしまい、なぜか3人で勉強することになってしまった。彼女と姉とはいっても、姫香さんも合わせて3スターズなので、こっそり一緒に勉強しているなんて知られてしまったら、精神的に抹殺されてしまうだろう。


場所は読書部の部室なので、こっそり行けば問題ないはず。トラブルの予感しかしないけれど、何もないことを祈りつつ僕たちは四人だけの勉強会をスタートした。


そんなに広くない部室に長机が2つ。それぞれに2人座り、合計4人。もうこれでこの部屋は定員オーバーに見えた。



■ テスト勉強1日目


「それじゃあ、過去問をコピーきた。当然答えは消してある。通常60分のテストだけど、今日はこれを15分で8教科解きます」



姫香さんがA3のコピー用紙を配りながら言った。15分て!



「姫香さん、それはあまりにも時間が少なくないですか?」


「テストまでは時間が無いの。まずは、3人の実力を見たいからちゃっちゃと解いて。見て30秒で解けないと思ったら、もう解かない。15分で解けると思った問題だけ解いて」



実に斬新な方法だ。ちなみに、実力を図る時は天乃さんも一緒に過去問のテストを受けている。



「五十嵐ちゃんは、逆にもう解けると思ったら、最後まで解かなくてもOK」


「あ、はい」


「はい、じゃ、早速はじめー」


「え、もう!?」



実際のテストとは違って緩いスタート。時間は15分。通常の四分の一しか時間がない。先に解ける問題を探し、それだけ解く。解けない問題はどんどん飛ばす。



「はーい。15分だよ。次の準備してー」



スパルタだった。トイレ休憩も無しか。

この15分というのが実に微妙な時間。問題を解こうとしたら全然足りない。1問でも多く解けるようにするためには、見て1分くらいで考えて、解けないと思ったら思い切って飛ばす。そんな感じ。


8教科終わった時は、僕たち3人は机の上に突っ伏した。



「疲れたー、これで何が分かるんですか?」


「ん?普通に今の実力が分かるよ?」



ホントかなぁ。



「五十嵐ちゃん、現時点で全教科70点は行くね。テスト勉強したら、全教科80点以上ってとこかな」


「あ、いつもそんな感じです」



当たってるんだ。まだテスト勉強前だから、点数は低めに出る感じで、テスト勉強後の予想の点数まで算出している辺り、各問題が解けるかどうかを吟味してある。



「次、二見ちゃん」


「はい」


「現時点で平均50点くらい?全教科60点から80点くらいかな。教科で言ったら、数学が弱い」


「あ、そうです。数学はちょっと……」



こちらも概ね合ってるらしい。



「最後、流星くん。現時点で40点ちょい。最終的に50点とか60点くらいじゃない?」


「あ、そうかも」



僕の結果だけ半眼でジト見してくる姫香さん。しょうがないじゃない。そんなもんなのだから。



「今回に限っては、問題がある程度わかっているので、明日からは今日解けなかった問題を重点的に解いていきます」


「「「はい」」」



1日目は解散だった。膨大な量があると思ったけれど、ざっくり半分やれば良いことが分かり、少し気が楽になったかな。



帰りは自然と四人で帰ることになった。3スターズがまとまって帰っているので、目立たない訳がない。部活帰りなどの生徒の目を引いているようだった。ただ、この場合は3人が目立つので、僕はあまり目立たないみたいだった。カバン持ち程度には思われていたかもしれないけれど。



■ テスト勉強2日目


二日目は、貴行に声をかけられた程度だった。「もう帰るの?一緒帰ろうぜ」みたいに。二見さんを連れて「ちょっとね」というだけで、勝手にデートか何かだと思われたみたいで、あまりそれ以上聞かれなかった。お前は日葵と一緒に帰ってくれ。


僕らが図書部に着く頃には、姫香さんは既に部室にいた。逆に、天乃さんはまだだった。一緒に連れてくればよかった気もするけど、校内を3スターズの二人を連れて歩くのは目立ちすぎる。もうしばらくは肩身が狭いのだ。



(ガラッ)「おまたせー。遅れましたー」



天乃さんが部室に入ってきた。



「ちょっと友達につかまっちゃって」


「大丈夫。始めるよ」



姫香さんが言葉少なに2日目の勉強会のスタートを宣言した。



「今日は、カンニングからスタートします」


「「「は!?」」」



意外過ぎた。カンニングとは!?まさか、本番もカンニングで乗り切れという……



「はーい、質問です!」


「はい、二見ちゃん!」


「そのカンニング、合法ですか?」


「違法です」


「ダメじゃん!」



ついツッコんでしまった。



「まあまあ、聞きなって。各問題の模範解答は作ってきました」



模範解答の紙を配る姫香さん。1日で8教科全部作ってくれたという事か。何気に優しいんだよなぁ。



「今日は、解けなかった問題の答えを見て、解き方を覚えます。覚え方は各自やりやすい方法で。紙に書いたり、見て覚えたり」



いきなり答え見て良いのか……そういう意味で「カンニング」かぁ。それなら……とりあえず、言われるがまま答えを見て写す。いつもは、問題を見て、考えて、どうしても分からない時解答を見ていた。いきなり解答を見て良いというのが僕にとっては割と斬新だった。


答えを見るので、引っかかるところは少なく、サクサク進んでいく。解答を見ても分からないところは、姫香さんと天乃さんが教えてくれる感じ。こんな感じなので、1時間もすれば1教科分終わった。



「はーい、次は、カンニングペーパーを作ります」


「「「は!?」」」



いよいよアウトだろ!いきなり答えを見る「カンニング」はアリだとしても、カンペ作ったらもうダメだろ。



「カンペ作った後、テストがあると思ってA4の紙1枚だけに解けないと思う問題の答えを自分が分かる程度に書いて」



完全にカンペだ。まあ、ちょっと紙のサイズが大きいかな。大きく書いて、あとで縮小コピーしていくという方法では……こちらも言われるがままにカンペを作る。僕はA4の紙いっぱいに書いた。二見さんは半分くらい?天乃さんはほんのちょっとだけだった。



「みんなカンペはできたかな?」


「「「はい」」」


「それが今、解くのに自信がないところだから、明日以降はその問題について今度は自分で解いてみて。1分考えて解けない場合は、もう解けないから答えを見る『カンニング』からやり直し」



なるほど。問題がある程度わかっているからこその勉強法だ。大体問題を解こうとしても分からないからすぐ集中が途切れるんだ。でも、この方法ならいきなり答えを見るから「考える時間」が大幅カットされる。


しかも、回答を見ても分からない問題は教えてもらえるから引っかからない。解答を紙に写すときは、「自分でもう一回やった時に解けるように」と思いながら写してたし。


極めつけとして、カンペだ。「これだけはテストに持ち込もう」と思って、自分が解けない問題、自信がない問題をカンペに書きだしている。しかも、自分が分かるように解き方をまとめて。


1日で1教科分がほぼ終わった。



「暗記物はこの方法だと覚える時間が無いから、暗記帳で覚えて」



その辺りは、普通なんだとちょっと肩透かしを喰らった。



「暗記物帳は作るのに時間がかかるから、アプリを使って。予めデータは作っておいたからシェアするね」



暗記帳ってアプリあんの!?知らなかった。しかも、データまで作ってくれて。

早速、ダウンロードして見てみると、英単語が表示されている。単語帳の表みたいに英単語のみ表示されている。画面をタップすると、単語帳の裏のように英単語の日本語訳が出る。単純で分かりやすい。


人によっては、表に英単語と意味を書いている人がいるらしい。これだと見ることは見ているけど、覚えているかの確認にはならない。英単語だけ見て、意味が思い出せるか、逆に意味だけ見て英単語が思い出せるかを繰り返し試せるのが暗記帳の良いところなのだ。


早速今日から電車の中とかで使ってみよう。それにしても、とても斬新な勉強法だ。「カンニング勉強法」とでも言うべきだろうか。誰にも言えない勉強方だろう。ノウハウ本みたいなものには書くのに適していないと思われる。字ずらからの印象が最悪だから。


ただ、「カンニングしている」という罪悪感から、不思議と覚えるのが早かった気がする。「考える時間」がほとんどないのは勉強時間の短縮になっているようだ。「考える」っていいことっぽいけど、分からないと結局時間だけ過ぎてるからなぁ。やった気にはなるけど、気付いたら覚えた量って少ないし。1教科終えるころには疲れ果てて、やらない教科とか手が回らない教科とかが出てくる。


姫香さんの「カンニング勉強法」はとにかく早い。まあ、その分疲れるけど、自分のため、二見さんとの付き合いのためだ。


僕は、学校だけじゃなくて、この方法で家でも勉強を進めた。

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