-プロローグ- どうしてこうなった?
初投稿です。
茨城を舞台にしたラノベを書きたいと思い、投稿しました。
まだ拙い部分とかもあるかと思いますが、1人でも多くの方に読んで頂けるよう頑張っていきたいと思います。
諺というのは人生の指針を成す言葉と聞くが、俺は果たしてそうは思わない。
諺の意味を知って何になるというのか。
日常的にも使用頻度は少ないし、現に意味を知っても別にそうは思わないなんて人もざらだ。
いつもの会話に諺ばっか入れてくる人とか見てどうよ? 単純に残念な人として見られるのがオチだ。
それに、早起きは三文の徳や三人寄れば文殊の知恵、三つ子の魂百まで。
これらは、人生論について全くもってそうは思わない人がいること間違いなしだ。
そして、一寸先は闇。将来のことは何が起きるか分からないことの例えだが、大抵ある程度のことは予想はつくのではないか。
その根拠として、何らかの原因には必ず未来において何らかの結果が結びついてくる、という意味の因果応報。
このように、数ある諺の中には別の諺が対立するのも存在する。
他の例にも、蒔かぬ種は生えぬと棚から牡丹餅。
本当に、諺だけでは自分の人生にとって、何が正解なのか分からない。
さて、そんな前置きはともかく、俺こと結城征一郎は御曹司である。
世界を股にかける大手総合商社、結城商事の創業者である結城五朗左衛門の子孫だ。その創業者が茨城県日立市出身もあってか、県内には結城商事の支社が多く建てられている。
中でも祖父の結城嶄造は、全国いや世界でも有数のカリスマ社長としても名高い。
祖父のおかげで結城商事の売り上げが、莫大に黒字へ上ったのも事実だ。
そんな恵まれた環境もあってか俺は文武両道を目指すべく、勉学にとことん励み、スポーツにも惜しみなく情熱を注ぎこんできた。学業ではたまに学年トップを獲得したり、部活ではエースに大抜擢されたり、上手く波に乗ることが出来ていた。
1年後には主将としてチームの皆を引き抜いていく、そんな姿を朧げながらも思い描いていた。
だがな、今この現状は予想の斜め上を行き過ぎている。全く想像できなかった。
上の諺を借りると、まさしく一寸先は闇だ。
何故なら放課後の時間、俺は今、料理をしているからだ。
時刻は午後5時頃。
俺が今、所属している部は料理部。
エースとして活躍している自分の姿は、どっかへ消えてしまった。
チームの主将になるという将来像は、塵となって無くなってしまった。
ひらっひらの赤いギンガムチェックのエプロンをつけて俺は何をやっているのだろうか?
と、時折そんなことを、ふと感じるときもある。
「あなたねえ、そんな使い方したら手切るわよ」
「は、はい」
俺に向かって痛切な言葉を吐き出しているのは、藤島才華。料理部の部長で和食において天賦の才能を誇る美少女。正直彼女には頭が上がらない。
「ユーキ…あたしゃこれから心配でたまらないよ」
「ご最もです」
反対に、優しく言ってくれるが今後において漠然と不安を抱いているのは、千歳恋奈。水泳部と両立する元気溢れる美少女。学校でも仲が良いので"恋奈"て愛称で呼んでいる。
俺がおぼつかない様子で包丁を持ち、具材を切っているのを見て、見事に呆れる女性陣。
その二人の姿を見て平身低頭する俺。
家庭科室で今日も俺は、二人に扱かれていた。
更に女子二人の落胆した言葉が続く。
「あなた、よくそんなんで大会に挑戦すると言ったわね」
「ま…これから頑張ろ」
「そ、そうですね」
藤島さんは深くため息をつき、恋奈は慰めようとするも、苦笑が漏れていた。
端から見れば両手に花といえる状況なのだろうが、当人の俺は全くもってそんな気分にもならなかった。
「せ、精一杯頑張ります…」
「ええ、頼んだわよ。けど無理は禁物よ」
「そーそー、あまり思いつめすぎないでね」
ムチと飴のように、最後に優しく二人が肩に手を乗せてきたが、その声も今の俺には届かなかった。
御曹司であるが故、自分の身の回りのことは全て専属メイドに任せっきりだった。
そのため俺は料理だけでなく、家事全般のスキルがゼロなのである。
そんな俺が、高校生主体の料理大会に挑もうとしているのだ。
流石に俺も最初は無謀だと思った。
だが俺が苦手な分野にまで打ち込んで実績を取ろうと決心したのには、確固たる理由があった。
何故俺が、こんなわざわざ嫌いなことに挑もうと決めたのか。
それは、新学期が始まる始業式の1週間前のことから始まる。
あと、俺のこの奇妙な人生を皮肉ったような新しい諺、誰か生み出してくれませんか?
現在仕事をしている身ですので、毎日投稿は難しいですが、
できるだけ投稿頻度を多くしていきたいと思っています。
とりあえず週2~3の頻度で投稿していく予定です。