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恋人のちゅー

 みこが口を離したあとも私は多幸感でぼんやりしてしまっていた。


「ねよーよー」みこは先に布団に潜り込み、私の手を引っ張ってきた。


「あ、うん」私は正気にもどり、誘われるように布団に入る。


「えへヘ」みこは私の腕にくっついてきた。


みこはぽかぽかしていてあたたかい。今日はすこし肌寒い、けれどエアコンをつけるか迷う程度だったのでちょうどいい感じだった。


 ふにゅ。肘のあたりにちょっぴり柔らかい感触が伝わってくる。お腹……が触れているのだろうか、それとも……。


(触って、確かめてみたら?)いつのまにか欲望が

囁きかけてきていた。私はガン無視する。


「おねーちゃん、いいにおいする〜」すりすり。みこは二の腕に顔をこすりつけてくる。


(君もみこの匂いかいだら?)うるさいだまれ。


 なんか……みこはすこし変わった気がする。前はこんなにわかりやすく甘えてこなかった。自然に甘えてくることはよくあったけれど。


 この甘え方は……そう、恋人に対してにするような。

私自身、まだ恋はしたことないからわからないけど、アニメや漫画だとそんな風に甘えてる描写があったはずだ。


 もしかして、キスをしたせい……いやいやそんなわけない、と言い聞かせる。みこは恋心なんてまだ理解してないだろうし、ましてや《《姉の》》私に対して湧くわけがない。


 昨日のキスも、ただなんとなく気持ちよかった、というだけだろう……と言い聞かせる。


「ね、おねえちゃん」みこは話しかけてくる。


「なに?」みこに目線を向ける。目が合う。


「昨日したキスさ、恋人のキスだよね」


 私の希望は打ち砕かれた。

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