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あやまち

 みこが帰ったあと。


 私は布団に潜り込み、頭を抱えていた。ああ、やってしまった……欲望をごまかすためとはいえ、みこに、

実の妹に手を出してしまった。なんで、なんでそんなことをしてしまったんだろう。


「ううぅ……」思わずうめき声が漏れる。みこのあの言葉を思い出す。


 ――はじめてだけど、いいかも。


 そう、みこのはじめてを私はうばってしまったのだ。


 いつかみこにも恋人ができるかもしれない。そしてキスをするかもしれない。でもそのキスははじめてではない。


「ごめんね、みこ」伝わるはずもない独り言を呟いてしまう。


 私は私に嘘を付く。あのキスはおやすみのキスだったのだと、言い聞かせる。そんな張りぼての嘘など理性に通じるわけもなく。後悔の念が押し寄せる。じたじた、じたじたと。私は布団の中で暴れながら眠れぬ夜をつづける。 


 一時間ほど、そうしていただろうか。きぃ。ドアが開く音がする。私はそちらを向く。


 そっと、みこが顔を覗かせる、半分だけ。「ねむれないの」と私にそう告げる。「いっしょにねていい?」


 昔、それこそお休みのキスをほっぺにしていた時。私とみこはちょこちょこ一緒に寝ていた。みこが眠れない時や、私が眠れない時もあった。でも不思議と二人で寄り添って寝ればぐっすりねむれた。でも最近はとんとやらなくなっていた。


 どきん、と心臓が跳ねる。どうしよう。いつもの私なら快く「いいよ」と言っていただろう。みこを甘やかすのは好きだから。


 ……でも今日は、今日だけは。私はかたまってしまう。


 みこはゆっくりと私の方へ近づいてきた。明かりを消した状況ではどんな表情をしているかはわからない。


 「いい、よね?」とみこは布団をちょっとめくりながら首を傾げる。その声は少しふるえてるようにも感じた。


 ……私は黙って布団を開く。拒否することなどできなかった。


「ありがとう」そう言ってみこは私の布団に身体を潜り込ませる。


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