だい、すき
「あり、がとう……」みこのせつない表情が、安堵に変わっていく……告白を受け入れてもらったかのように。
みこは手を離し、身体を近づけてきた。顔の距離も自然と近くなる。妹の頭をゆっくりなでる。髪はサラサラとして心地よい感触だ。
「だい、すき」上目遣いにみこは告げてくる。
「だい、すき」その目を見つめ返し、私も告げる。
じっ、と妹の……いや、彼女役のみこは真剣な眼差しで私の目を見つめてきた。こんな真面目な顔、宿題やってるしている時ぐらいしか見たことない。その瞳は透き通っていて、とても綺麗だった。私も負けじと真剣な眼差しで、真っ直ぐ見つめ返す。
「「ぷっ」」私とみこ、二人同時に吹き出してしまった。
「あははは。こいびとどうしってこんなこと毎日やるの?」みこは笑いながら聞いてくる。
「んー、毎日はやらないんじゃない? えっち……ごほん、愛を確かめ合うときにとかやるんじゃないかしら」
「そーなのかぁ。おねーちゃんこいびといた事あったっけ?」
「ないわよ……みこのためにとっておいてるから、なんてね」
「えへへ。てれちゃうよ」とみこは顔を赤らめ、もじもじしながら目線をそらす。もう、かわいいなぁ。
「ところで恋人ごっこってなにをするの?」私はたずねてみる。
「うーんと、いちゃいちゃしたり?」
「いちゃいちゃね……あれ、その言葉どこで……」
「え、おねえちゃんの持ってるマンガに……あ」みこはしまったという表情をする。
「読んだ……のね」
「うん。ごめんなさい……」みこはしょぼんと申し訳なさそうな表情をする。
「ううん、べつにおこってないわ。読んじゃだめとか言ってないもの」
「でもでも、勝手に読んじゃったし……おしおき、していいよ」瞳をうるませながらみこは告げてくる。
私とみこの間にはちょっとしたルールがある。相手を傷つけてしまった時、「ごめんなさい」してから、ちょっとした「おしおき」を受けることになっていた。
それは、姉の私が妹のみこに対して「おしおき」をするだけではなく、妹のみこが姉の私に対しても「おしおき」できるように。このルールは私がみこを傷つけてしまったときに決めたことだった。
ちなみに喧嘩したら、お父さんかお母さんに頼んで両成敗みたいに、二人とも「おしおき」してもらうことになってたり。
「……わかった」たしかに怒ることの事ではないにせよ、確かに読むとひと言ほしかったなぁ、とちょっぴり悲しくは感じていたので「おしおき」することにする。
みこの両方のほっぺをちょんとつまみ、横にひっぱる。痛くないようにやさしく、ぷにー、ぷにー、と。「ふみ〜、ふみ〜」引っ張られるたびにみこは鳴き声を上げていた。きゃわゆい。
十回ほどぷにぷにしてから私は手を離す。「……あれ、もう終わり?」ほっぺをさすりさすり、みこは言う。
「うん終わり。おしおきされるみこがかわいかったから、おねえちゃんはゆるしてあげます」




