みこのおねだり
「おねーちゃん、こっち向いてよぅ」みこは甘えた声をだす。ふにふにとお腹をもみながら。
「……だめ。」また、奪っちゃうから。
「えー。いじわる〜」ぐにーとお腹を少し強くもんでくる。ぎりぎり痛くない。「じゃあそのかわりに〜」みこの指がゆっくりとお腹を目指して歩いていく。人差し指と中指でとことこ、と。
「な、なにしてるの」
「おなかよりもっとやわらかいとこさわりたいなあって」
「えっ、やっ、やめ」私は慌てる。それはきっと、おっぱいのことだろう。
「だめー？ ときどきさわってるのに？」たしかにみこはときたま私の胸に触れる時はあった。こないだみたいに頭を寄りかからせたり、甘えてくる時、ふざけてもんだりするときはあった。
「きっ、きょうはちょっと」さわられたら理性が飛んでしまうかもしれない。
「そっかぁ」みこはすなおにみぞおちあたりで指の歩みを止める。
「じゃあ、こっち向いてよう」また甘えた声でねだってくる。ぎゅ、と私の背中に抱きつくおまけ付きで。
「それも……だめ」私はわがままかもしれない。みこのおねだりをどっちも断るなんて。
「じゃあおっぱいさわろーっと」みこは指の歩みを再開させる。とこ、とこ、とさっきよりゆっくり歩き始める。
つん、と指の先で私の下乳をつついた。びくっ、と私の身体が反応しかける。危ない……声まで出してしまうところだった。
「ね、こっちむいてよぅ。ほんとにもんじゃうよ〜？」つんつんと下乳を突きつつねだってくる。
「わかった！ わかったから……」わたしは折れる。
すぅ、と息を吸う。はぁ、と吐く。私からは絶対に、襲わない。そう決心を固める。
ゆっくりと寝返りをうち、みこのほうを向く。
「ありがと〜！」ぱああっ、とみこの表情が明るくなる。その笑顔は無邪気な子供のそれだった。
「わがままいってごめんね」申し訳なさそうにみこは言う。「でも今日は、おねえちゃんの顔、見たかったの」
「……どうして？」
「うーん、よくわからないけれど………大好きだからかなぁ？」にこにこと私を見つめながら言われるとさっき固めた決心が溶けていきそうになる。まるで水に溶かしたわたあめのように。
きゅっと、みこは指を絡めて「えへへ」と目をゆっくりと見つめてくる。
……その表情はキスを奪った時と同じだった。甘く笑い、蕩けていた。
