そうだん
「姉妹で恋愛って、わるいことなのかなぁ」私はつぶやく。
「えっ唐突に何……」
学校の昼休み、私は幼なじみのみゆりとご飯を食べていた。
「ああ、いやごめんつい思っていたことがね」
「ふーん、まあいいけど。姉妹で恋愛ね……」みゆりは少し考え込む。「べつにいいんじゃない?」
「なるほど」
「大人がいうじょーしき、ってのに照らし合われば悪いんだろうけどさ……てか私も姉とキスしたことあるし?」
「えっ、くわしく」
「んー、そういやこの話したことなかったか」とみゆりは目線を上にやり、思い出すようにして話し始める。
「中学の、2年生のときかな?思春期の私が1度キスしたいってずっーとさわいでてさ、おねえちゃんが変な男や女と勢いでするぐらいなら、ってキスしてくれたんよね」
「へー!」
「んで、そのまま色々しちゃったよね」みゆりは頬を赤らめながら言う。
「それでそれで?」私は身を乗り出しかける。
「めっちゃ聞くじゃん……それから何度かしたけど姉に彼氏ができちゃって、それっきり普通の姉妹に戻ったたよ。それきり」
「へえぇ。……色々ってどんなこと?」
「やっぱ気になる? まあその……胸とかもみ合ったり裸で抱き合ったり……気持ちいいとこなめあったりね」恥ずかしいからか口元を抑えてこそこそと小声で伝えてくる。
「すご……」
「引いた?」みゆりは少し悲しそうな表情をする。
「いや全然。そんな恋愛してたなんてうらやま……あっ」私は言いかけやめる。
「うらやま……?」みゆりは少しくびをかしげる。「てかそんなこと聞いてくるって、もしかして」なにかを勘付いた様だ。
「え、いや、あはは」私は笑ってごまかそうとする。
「妹いたよね……たしか、みこちゃんだっけ?」
「うん」何度か妹とみゆりは遊んだことがある。
「恋しちゃった?」
「えっと、いや……うん」私は素直に答える。隠し事は得意じゃない。
「ふぅ〜ん」にやにやとみゆりは笑う。「どこまでしたの?」
「一昨日、唇を……奪っちゃって」
「君から?」
「うん……みこを押し倒したいのを抑えたらつい……」
「思いとどまって、キスしたのかぁ。びみょーに一線越えてる気もするけど」
「うん、なんとかおやすみのキスってごまかしたけど」
「なるほどね。おととい……ってことは昨日はさらに色々したの?」更にニヤついてみゆりは聞いてくる。
「ううん、みこが寝たいっていうから一緒に寝たけれど、私からは何もしてない。しないって決めてた」
「私からは……ってことはじゃあみこちゃんからなにかしてきたの?」
「えーっと……キスしたいとか恋人になりたいって言われた」
「両想いじゃん!」ひゅーひゅーとみゆりは煽る。
「うーん、でも……」
「でも?」
「みこはまだ恋人とか恋愛の意味をちゃんとわかってないと思うの……だから真に受けちゃうのもよくないよねって」
「あーたしかに みこちゃんまだ小学生だもんね……私のときは一応理解してたからぎりセーフかなって感じだけど」
「そう……だからだめ……かな」私は弱気になって目を伏せてしまう。
「だめではないでしょ。ただ……」少し
「ただ?」
「あんまり、君のほうからぐいぐいいかないほうがいいかもね〜普通にお姉ちゃんLOVEで言ってるかもだし?」
「そうだよね……こわい思いさせたくないもの」
「泣かせちゃだめだよ。ま、でもみこちゃんが求めてくるなら、よろこんで受けちゃいなよ〜!」
「うん……ありがと」私は少し笑顔になる。
ぎゅっと、とみゆりは手を伸ばし私の手を握る。「どういう結果になろうとも、私は君の恋を応援してるから! がんばって!」笑顔でそう告げてくる。
みゆりが親友で良かったなぁ。口に出すのは恥ずかしいけれど、心の中でこっそり、そう思った。
「だめだったらさ、私が慰めてあげるよ〜」みゆりはニヤつきながらわきわきと手を動かす。「もみごたえ抜群だし?」
……少し、感謝したことを後悔した。




