おねえちゃん、だいすき。
今日もまた、来るのだろうか。寝室、ベッドで寝ている私は緊張しながら目を瞑る。
こんこん、とノック音。来た。どきり、と心臓が跳ねる。
「なに?」と私は訊ねる。相手は決まってる。何しに来たかも分かってる。でも訊ねる。
「お姉ちゃん、一緒に寝ていい?」ドアを開け、私の妹、みこが甘えた声で
「……今日は疲れてるの」少し震えた声で私は断ろうとする。
「くち……びる」一言だけ妹は言葉を告げる。
「わかった……いいわよ」その言葉を言われると、私はもう断れない。身体をずらして布団を開き、みこが入れるスペースを作る。
「おじゃまします」とみこは布団に潜り込んできた。今日のパジャマはピンクの桜柄だ。かわいいな、と思ってしまう。
「ただ一緒に寝るだけよ……」と私はせめての抵抗に妹に告げる。
「……わかった」とみこは返す。でもその約束は守られないことを知っている。守るならそもそも一緒に寝ないからだ。
私はみこに背中を向けるかたちで寝る。向かいあって寝ることなどできなかった。それこそ、姉妹ではなくなってしまう。
みこが私の腹に手を回す。びくっ、と思わず身体をはねさせてしまう。背中にみこの顔が触れる感触があった。
つい一週間前、私はみことの関係性を崩してしまった。ただの仲良い姉妹だったのに、みこの初めてを奪ってしまった。




