非凡なる師弟
お久しぶりです
それから数分後、お茶を入れに行ったアリーティアが戻ってきた。
「お待たせいたしましたわ。なんせわたくし王女ですから、慣れない作業に時間がかかってしまって。」
そう言って彼女は私たちの目の前にティーカップを置いた。久しく嗅いでいない高級な茶葉の香りが私の鼻腔をつく。
目の前に置かれた上品なティーカップからは湯気が立ち、その紅茶が入れたてであるということがすぐにわかった。
とてもおいしそうだ。
が、私には一つ気になることがあった。
…嫌な予感がする。
「・・・私の紅茶だけなんか色違くないか?」
「そんなことありませんわ。きっとリデア様の間違いですわ。」
「・・・。」
そういわれた私はもう一度三つの紅茶の中身を見比べてみる。
まずはアリーティアの紅茶。透明感のある茶色をしていて、紅茶と言われてまず思い浮かべるのはこの色だろう。異常なし。
次、アルの紅茶。
こちらも同様透明感のある茶色をしている。異常なし。
そして最後、私の紅茶。
透明感?ギリあるぜ!ハッ!みたいな感じのこげ茶色をしている。異常あり。
「いやいや、明らかに色おかしいだろう。」
「リデア様ったら細かいですわね。まぁ、仮に色が違うとして、それがなんですの?」
「何っていうか…」
「ふふ、なんせわたくし王女ですから、紅茶を入れていただくことはあっても入れる事は滅多にありませんの。多少ムラが出てしまっても仕方がありませんわ。」
ふふふ、と笑い彼女は自分の手元にある紅茶を啜った。
どうしても嫌な予感が拭い去れない。
私の予感は基本的に正しい。
つまり。
「アリーティア、私の紅茶に何か盛っただろう。何を盛った?」
「・・・。」
「・・・。」
一瞬の沈黙の末、アリーティアが口を開いた。
「…何のことでしょう?」
「とぼけるんじゃない。私の勘はよく当たるんだ。それに…」
私は話しながら全員のカップを並べて比べてみせた。
「さっきから言っているが色が全然違うじゃないか。通常、紅茶というのは同時に入れてここまでの色ムラが出るわけがない。…さぁ、ネタは上がってるぞ。正直になったほうが身のためだぞ。」
ここまで言って、ようやく彼女は本当のことを言い始めた。
「…やはりだめでしたか。白状いたしますわ。確かにわたくしはリデア様の紅茶に薬を盛りましたわ。」
「何を盛った?」
「メルセスですわ。」
「はぁ!?」
大型魔獣用の麻酔じゃないか!
「アリーティア、それはさすがにまずいだろう!?」
「だ、だって…」
「だってじゃない!」
「だって、リデア様がなかなか来てくださらないんですもの!!」
「…はぁ?」
この王女、いい年してなんか言い始めたぞ。




