やってしまったものは仕方がない
よろしくお願いします。
アルと二人、王宮の廊下を歩く。
「それにしても、あっさりと入れましたね。こういうのってもっと複雑な手順を踏まなくてはいけないのかと思っていました。」
「あぁ、普通はそうだぞ。まぁ私は特殊な例なんだよ。なんせ私はこの国を建国した大賢者…の子孫ってことになってるからな。」
「建国時から存在する由緒正しきリィングロース家でしたっけ?…もしかしてこの国の王族の人たちも師匠が生きてること知らなかったりします?」
「あぁ、いや、王族たちは知っているよ。そもそも、私がリデア・リィングロースの名乗り、大賢者が亡き者になっているのも彼らが裏で暗躍したからなんだよ。」
「暗躍?…もしかして、建国の恩を忘れて師匠を亡き者にして権力を握ったってことですか?」
少し声が低くなり不機嫌そうなアル。どうやらちょっと怒っているようだな。
「まぁそう不機嫌になるな。私がそうしろと言ったんだ。むしろ、当時の王族たちは私の提案に大反対していたよ。」
「どうしてそうするように言ったんです?」
「まぁ、もっともな疑問だな。単純に私が王族よりも権力を持つのを防ぐためだよ。私は王族たちを中心にこの国をまとめたかったんだ。」
「師匠が中心じゃダメなんですか?」
「あぁ。そんなことは私の目的ではなかったんだよ。」
「でも、この国を作ったのは師匠なのに…」
不満げな顔をするアル。よっぽど納得がいかないみたいだな。
「そんなことはないよ。私は少し手伝っただけだ。この国を作ったのは私ではないよ。…さぁ!つまらない話はこれでおしまいだ。せっかく王宮に来たんだ、しっかりと中を見ておくといい。」
そういうとアルは周囲を見回し始めた。
よしよし、それでよし。
…アルにはあぁ言ったがこの国を作ったのは紛れもなく私だ。
…ここ、ロデリア王国は私の目的のために作られた。この国は楔だ。この世界を安定させるため、穢れを封印するため、私が設置した七つの国の一つ。その中心。かつて穢れにあふれ、植物も人も枯れていた土地。何者も住まうことのできなかった土地。最も重要な楔であるこの国は私が直接守ることにしたのだ。だからこの国に結界を張った。この国に住まう民たちに、永遠の安全を約束したのだ。
だが…少し過保護過ぎただろうか。
私が緑の結界を張り、三千年の平和を実現させてしまったことで、この国は随分と弱くなった。平和ボケしてしまった。
その分文化や魔法が発達したのは心から喜ばしいことだが…
うーん…まぁ、やってしまったことは仕方ないし、現状私がいる限り安全だし、まぁいっか。
いやー…でもなぁ…私に何あったときとか、結界が破られた時とか、大丈夫なんだろうか。心配だなぁ…もういっそ結界なくしてみる?思い切ってやっちゃう?私はできるぞ?いつでもやれるぞ?
「…それにしても、この王宮はやけに蔦や植物の装飾が多いですね。思えば、白の外壁にも蔦の装飾がありましたね。やっぱり師匠の影響でしょうか。」
は!ついつい思考の波に溺れてしまっていた。今は王宮、ここは王宮。しっかりと切り替えねば。
「それはだな、アル…」
「それについては私からご説明いたしますわ!」
背後から突然、声をかけられた。
この声は…まさか…
ゆっくりと振り返る。
眩い金髪に可愛らしい声。
「お久しぶりですわ、リデア様。今日は王宮へ何の御用かしら?」
美しく整った顔に優雅な佇まい。
「久しぶりですね。アリーティア様。お元気そうで何よりです。」
そして、王族のみが受け継ぐ独特な模様の瞳。
アリーティア・フォン・リザベル・ロデリア。
我がロデリア王国の第一王女。
その人がいた。
(`・ω・´)




