この国で最も危険な場所
✌︎('ω'✌︎ )
朝食兼昼食を食べ終えてひと段落した頃。
いそいそと片付けをしていたアルフィスが口を開いた。
「あぁそうだ。コルトさんから伝言を預かっていたんでした。」
「伝言ー?」
「はい。王族の方からだそうです。…王宮に来るようにと。」
「王宮に?…一体どんな用事だ?」
「それはコルトさんもうかがっていないようで…」
「ふーん…じゃ、行くか。すぐに支度をしよう。」
私は寝転がっていたソファから起き上がり支度を始める。
髪を整え、服を整える。
イスにかけてあった外套を羽織る。
そこでふと思いつく。
「そうだ、アル。お前も私と来い。いい経験ができるぞ。」
するとアルは少し驚いたような顔をした。
「僕もですか?師匠の用事に僕は関係ないと思いますけど。」
「いいから来るんだ。…全く、いつもひきこもっていてはダメだぞ。お前はあまり王都にもいかないじゃないか。」
アルは基本的に人とあまり関わろうとしない。たまに私に来る依頼を手伝う時だけこの森の外に出る。
「いつまでもひきこもっていては見識も身に付かん。」
「いや、基本的に依頼のない日以外研究室にひきこもっている師匠に言われたくないんですけど。」
「私はいいんだ。なんせ長生きだからな。外出なんて今まで大量にしてきたからな。…ほら、文句言ってないでさっさと支度しろ。」
そうしてアルを急かす。お前に拒否権などないのだ。
「わかりましたよ。行きますよ。行けばいいんでしょう。…はぁ〜全くこの人はいつもいつも気まぐれに…」
なんかブツブツ言っているがテキパキと準備をし始めているから聞かなかったことにする。
ただ、私よりもずっと早く起きているアルだ。
さっさと支度を終わらせていた。
おかげであまり待たずに済んだので早く出ることができた。
家の玄関に魔法で鍵を閉める。
「さぁ、行こうか。」
「はいはい。じゃあしっかりと結界の鍵閉じといてくださいね。」
「あぁ、任せろ…ほれっ!」
瞬間、我が家を中心に森が変動していく。木々が移動して大地が揺れる。我が家を隠すように、包むように、大地が揺れる。完全に我が家が見えなくなると、森は静けさを取り戻し、まるで何事もなかったかのように木々を揺らしていた。
これはこの森に誰かを “入れないようにする” ための結界。この森には危険が多い。なんせこの森の魔力含有量が多いゆえ、魔力を持ち魔法を使う魔獣や魔物が大量に生息している。
さらに私の研究場所になっているので罠はもちろんわけのわからない魔法や結界、狭間などが多く点在する。
だが、最も危険なのは我が家だ。私は長いことたくさんのことを研究しているから、危険な知識や悪用できそうなものがこれまた膨大だ。
我が家への侵入を防ぐためにはってある結界や罠もある。
緑の結界によって守られている平和なこの国の最も危険な場所と言ったら間違いなくこの森なのである。
「忘れ物はないか?」
「ありませんよ。さっさと空間繋げてください。」
私はアルをじっと見つめる。
ちょっと冷たくないか?もしかしてまだ根に持ってる?やっぱり無理やり王宮に連れてかれるの嫌だった?もう行くしかないんだから受け入れたほうが楽だぞ。
そんな思いを込めて。
まだ少しアルはぶすっとしていたが私はアルから視線を外し自身の目の前に手を出した。
するとそこに黒い歪みが現れる。
この黒い歪みこそが空間の狭間。
空間魔法の一種だ。この空間の先に行き先を想像する。
王宮…王宮…王宮の正面玄関……よし、繋がった。
そのまま歪みを広げて人が二人入るほどの大きさまで広げる。
…十分な大きさに広がったのでアルに声をかける。
「さぁ、準備はできだぞ。アルも諦めてさっさと行こうか。」
「わかってますよ。ただ、僕は王宮初めてなので師匠が先行ってください。」
「あぁ、もちろんだとも。」
そうして私たちは空間の歪みに足を入れた。
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