序章
ここは、帝が治める国、大和。
大和には、帝を頂点として、特権を持つ貴族達によって治められていた。
貴族にも階級があり、大まかに分けて、大貴族、
上級貴族、中級貴族、下級貴族とある。
そんな帝のお側近くに使える貴族の中には、人知を越えた能力を持つ者達が存在する。彼は、帝の護衛はもちろん、普通の者では対処できない怪異に、対処する為に『お役目』と呼ばれる特別な任務があり、人知れず大和の平穏に尽くしていた。
そんな能力者を輩出する家は、古から存在し帝に重用されてきた。その為、表の世でも名門貴族としての地位も確立していた。
大和の都ー平城京。
ここは、宮城。
帝の住まう城である。
大広間の奥には御簾があり、中には帝がお座りになっていた。
そこへ、束帯を着た、貴族らしき若者が現れた。
御簾の前に座ると
「お上には、ご機嫌麗しく、坂神利成お召しにより参上いたしました」
と帝に挨拶をし頭を垂れた。
坂神利成は、名門で大貴族の、坂神家の嫡男である。
現在、帝の近衛を務め、近衛中将の地位にあった。
年齢は、二十歳で、貴公子と言う言葉がよく似合う気品、背が高く、ひきしまったしなやか姿、顔立ちは、大変な美形で凛々しく男性的な美しい容姿の青年ある。
「利成、早速ではあるが『お役目』だ」
「かしこまりました」
こうして、『お役目』が命じられるのである。