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(6)雨音の提案

【前回】

ランドリールームで濡れた雨音に迫られ、たじたじの晴太だった。

「本日の体育祭は中止となります。生徒の皆さんはそれぞれ怪我の無いよう帰宅してください」


グラウンドの方から放送部による連絡放送が聞こえる。


晴太は窓の外を見た。先程よりも少しは落ち着いただろうか。それでもまだ、体育祭が中止になるには十分な量の雨が降っていた。


誰もいない教室で、晴太は誰もいないグラウンドを見ていた。先程まで生徒達で溢れていたが、ほとんどが帰宅した今では閑散とした一面の水溜まりになっている。晴太は何をするでもなく、本を開いたり外を眺めたりして暇を潰していた。


「晴太君」


晴太が振り返ると、そこには体操服姿の雨音がいた。先程は濡れていた髪もすっかり乾き、体操服も本来の白さを取り戻している。


「もしかして私のことを待っていてくれたのかしら?」


少し首をかしげながら雨音はそう言った。


「まあ、そんなところかな」


晴太は正直に答えた。晴太は特にすることがなくても放課後の教室に残っていたりするが、今日に関しては確実に雨音を意識しての居残りだった。


「なんにせよ、ちょうど良かったわ。早速だけど、さっきの話の続きをしましょうか。どうすれば可愛い彼女に許してもらえるのかについて」


雨音はにっこりと笑った。その笑顔に思わず晴太は「はは…」と目をそらす。


「えーと、それで、どうすれば許してもらえるのでしょうか?」


すると雨音はピッと人差し指を立てた。


「晴太君、あなたには明日、私とデートしてもらいます」

「デート!?」


晴太は驚いて声を上げる。もちろん晴太はデートなんてしたことがない。雨音は……どうだろうか?この容姿なら言い寄ってくる男がいてもおかしくはない。ツンとして見えても一度くらいはしたことがあるのではないだろうか。そんな晴太の気持ちを読み取ってか、あるいは童貞臭をかぎ取ってのことか、雨音ははっきりと言った。


「安心して、私も初めてよ」


雨音も初めて……。晴太はその事に少しほっとする自分がいる事に気付き、何だか急に恥ずかしくなったので慌てて話題を変えた。


「あ、でも……明日は雨じゃない?」

「天気予報ではね。でもあなたが私とのデートを心の底から楽しみにしてくれていれば、明日は晴れるはずでしょう?」

「それはまぁ……」


晴太は言葉を濁す。確かに晴太がそれだけ楽しみにしていれば明日は必ず晴れるが、それは純粋に楽しみにしていればの話だ。つきあい始めてまだ2日しか経っていない現状では緊張の方が勝ってしまうのではないだろうか。


「もし晴れたら、許してあげるわ」


雨音がにやりと笑う。


「もし……晴れなかったら?」

「それは、お楽しみ」


雨音の言葉に晴太は苦笑いで応えた。


短いですが今日はここまで。

筆者は初心者なので、特に雨音のキャラなどがブレることもあるかと思いますが、どうか大目に見てやって下さい。

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