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番外編③

夏希の日記

最近お兄ちゃんの様子がおかしい。この前も、体育祭なのに何だか楽しそうだった。当日の天気が悪いのは相変わらずだけど……。でもまあ、辛そうにしてるよりはいいかな。


あ!あと今日も何か変だった!変……ってほどじゃないかもだけど。


お兄ちゃん、またあの海水処理場のとこに行ってたみたいなんだけど……天気が悪かったの。普通はそんなこといちいち気にしないんだけど、お兄ちゃんは違う。だってお兄ちゃんは例外無しの晴れ男だから。

だから今までもお兄ちゃんが楽しみにしてる日は必ず晴だった。


大好きなあの場所に行くときも……天気が悪かった事なんて一度もなかった。


もしかしていじめられてるとか!?いや、それはないかも……。ああ見えてお兄ちゃん、嫌われるようなタイプじゃないし。


偶然かな……?


どちらにしろ、お兄ちゃんに何かあったらあたしが絶対に守ってあげるんだ。大袈裟かも知れないけど、あたしがこうして元気に笑っていられるのはお兄ちゃんのおかげだから。




ペンを置くと夏希は『ふぅ』と一息ついた。今の今まで自分が書いていた日記を眺める。


「こんなのお兄ちゃんには絶対見せられないよ…」


そう言って夏希は一人苦笑いをする。そして日記帳を引き出しにしまうとベッドに寝転がった。


晴太と夏希、とても仲のいい兄妹だ。喧嘩もほとんどしたことがない。いや、むしろ喧嘩が出来なかったといった方がいいかもしれない。


晴太と夏希の両親は共働きだったので、二人は小さい頃から二人きりで過ごす時間が多かった。両親の帰りが遅くなるときなどは二人だけで夜ご飯を食べ、二人だけで眠らなければならない時もあった。そんな時、寂しいと泣いて寝付かない夏希を晴太は必死で慰め、寝かしつけてくれた。


また、まだ小さかった夏希はふいに悲しくなって泣いてしまうこともあった。親に、とりわけ母親に会えないもどかしさを晴太にぶつけてしまうこともあった。そんな時でも晴太は、夏希の頭をなで、背中をさすりいつまでも付き合ってくれた。


『大丈夫だよ、お兄ちゃんがずっとそばにいるから』


トクン


心臓がきゅうっと絞まる。


「お兄ちゃん…」


夏希は枕をぎゅっと抱きしめてそう呟いた。夏希が寂しいとき、ずっとそばで支えてくれた晴太に夏希はとても感謝していた。しかし、晴太のことを考えると、胸が苦しくなる事があった。『恋』かどうかは分からない。ただ、『好き』なのは確かだった。


「はあ……あたしってやっぱブラコンなのかな…」


ドライヤーをかける音が聞こえる。どうやら晴太が風呂から上がったらしい。


「いい加減……お兄ちゃん離れしなきゃ…」


夏希は枕を離すとキッチンへと向かった。今日の夕飯はハンバーグだ。


ここまで読んでいただきありがとうございます!


この作品は基本的に、人と人との関わり方を主軸に進めていきたいと思います。

今回は夏希の日記ということで、兄妹の関係を書いてみました。特に異性の組み合わせって難しいと思うんです。年齢と共に関わり方が分からなくなったり、あるいはより親密になったり。


夏希と晴太の場合は、お互いがお互いに関わり方を模索している状態ですね。好きだけど恋じゃなくて、家族だけど同じじゃない。


メインは雨音と晴太になりますが、この兄妹のことも少しずつ書いていこうかと思ってます。


長くなりましたが後書きはここまで、次回も是非見に来て下さい!

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