少年の春
胸に燻る想い
誰にも 悟られてはいけない想い
確かにここにある
年上のあなた
母に生き写しというあなた
あなたといると 世界に色がつく
初めてを僕にくれた
匂い立つように美しいあなた
まるで この世の者でないようで
手を握っていないと
天に昇ってしまいそう
いいえ
あなたと手を繋いだ日々は
僕を天に登らせた
1枚の布越しのあなた
こんな薄いものじゃ あなたの煌びやかさは隠せない
なのに
どこまでも 僕とあなたを隔たせる
もう 触れ合えないのだと冷たく知らされる
大人になどなりたくない
あなたと会えない日々は
散りゆく桜
色褪せない 儚い 遠い記憶
暗闇の中 灯るような淡い光
たくさんの人に あなたを探す日々
僕を許してくれないあなた
報われてはいけない想い
禁断の甘い果実
分け合ったのは ほんの一瞬で
僕の腕をすり抜ける
まるで幻想のような夢の一夜
僕とあなたの結晶
僕だけの罪の証
あなたは清廉で 僕だけで償いたい
裏切りの罰
この厳しさに心安らぐ
寂しさだけを残して逝くあなた
満たされぬ想いは形代に
満たされた想いは続かない
もっともっとと 欲張った
どこまでも届かないあなた
あなたを追いかけ続けた僕の腕には
たくさんの残骸
新しく芽吹いていた花
ただ 抱きしめた
失いたくない 身代わりなんかじゃない
捨てきれぬあなたへの想い
たくさんの想いを抱えて僕は逝く
俗世を捨てて 僕も逝く
あなたを追いかけ続けた少年の僕が逝く