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契約
「かく、してない」
「そんなはずはないさ」
怯える少年を脅すようにテンポを崩さない。もっと、もっと怯えれば良いさ。じっと少年の目を見る。少年の左目は髪の毛で隠れていて見えない。
「言いなよ、そうすれば楽になる」
追い討ちを駆ければもっと怯え、口を閉じる。少し、言い過ぎたか、そう思って雛に目配せをする。
「縁さんは席をはずしてください」
「それはちょっと酷くない!?」
真顔で言われて私のガラスのハートにヒビが入ったよ。本日二度目だよ。
渋々部屋を出る。その時、こっそりと罠を仕掛けた。
部屋を出て隣の部屋に行き監視カメラのスイッチを押す。そうすれば少年たちの部屋の様子が写る。