少女との出会いとメイドの悩み
更新遅れてほんとすいません!それなのにさらに短くてすいません!とりあえずいろいろと書きたいことがあってどれにするか考えていたら遅くなりました…
あ、あとブックマークしてくださった方、本当にありがとうございました!とても嬉しくてモチベーションがすごく上がりました。ぜひ今回も楽しんでいただけたらと思います!
バシャバシャキャッキャ
「だめだ…疲れた…」
海ってこんなに疲れるものだったのか。少しなめていたな…
自分たちのパラソルが置いてあるところへと戻り腰を下ろし、そんな1人をもろともせずずっと遊んでいる4人を眺める。
「どうしてあんなに元気なんだ?あいつら」
そんな疑問とともに1つの欲求がわいてくる。
「腹、減ったな…」
カバンの中の携帯を見るとそこには12:07の文字。
もう12時だったのか、そりゃ腹も減るな…よし、あいつらの分も買いに行ってやるか。俺、超いいやつだな
「おーい!今から昼ごはん買いに行くけど何がいい?」
「あ、私焼きそば!ありがとね、雪人くん!」
「私も!」
「俺は焼きそばにたこ焼きも!」
梨乃、皐月、悠斗と答える。
「琴湖とクノアはどうする??」
「ん〜…お兄ちゃんと同じのでいいよ!」
「わかった、で、クノアは?」
「そうですわね…私も同じものでお願いしますわ」
「りょうかい」
そう言って海の家へと向かう。
いやぁ、海の家って便利なもんだな…欠点らしい欠点は高いってことぐらいじゃないか?
そんなことを思っている間に海の家に着くわけで…
「いらっしゃい、ここで食べる?それとも持って………九条君?」
カウンターの上にあったメニューを見ながら何にしようかと考えていた俺に想定外の言葉がかけられた。
「へっ…??」
顔を下げると同時に間抜けな声が思わず出てしまった。それには二つの理由があるんだけど…
「九条君だよね?不知火高校1年3組の」
聞いているだけで幸せになれるような、そんな声で話しかけてくる。
一つ目の理由はこれだ。俺はこんな声を聞いたことが…ないはず。
「私のこと、知ってる?」
そしてもう一つは電車で2時間の場所に何故あの5人以外の知り合いがいるのかということだ。
「おーい、あれ、もしかして本当に九条君じゃない?」
俺は高1だぞ?しかも友達もそこまで多いわけではない…まだ高校も始まって4ヶ月ほどしか経ってない。それなのに俺のこと知ってるというのは…
「あの、さっきから無視しないでくれないかな?」
そのかわいい声に我を取り戻す。
「あぁ…すまない」
「で、私のこと、知らない?」
「………」
知らないはずたと思っていた。だが顔を見て、そして胸についているネームプレートを見てついに頭の中にある人物が浮かび上がってきた。
「…鶴海、緋音?」
「あ、知っててくれたんだ。知らないかなって思ってたのに」
「あぁ、まあな」
覚えていたのは…名前が、漢字がかっこいいと感じたからだ。クラス最初のホームルームで配られたクラス全員の名前が書いてあるプリントで俺が真っ先に目をつけたのがこの子だった。なのになぜここまで思い出すのに時間がかかったのかというとこの鶴海って子は………しかしなぜこの子がここにいる?そしてなんで1度も話したことのない俺のことを知っている?いや、それは同じクラスだからか…
「あ、注文は何にする?」
「え、あ、えっと…」
「へぇー、ならここには6人で来てるんだ」
「そーゆーこと、暇になったら遊びに来いよ!たぶん5時半くらいまではいると思うから」
「う〜ん…暇ができたら、ね」
「………」
「そういえばなんで鶴海はここにいるんだ?」
「あっ、それはね、親戚の家がこの海の家経営しててね。夏休みはこっちに来てることも多いからその手伝いってこと」
「なるほど、手伝いとは偉いな」
「まぁお金出るしね」
「鶴海の親戚いい人たちすぎるだろ!」
「え、普通出るもんじゃないの?」
「でねぇよ!少なくとも俺の家は!」
そう。俺の実家は小さな定食屋を営んでいる。なかなかに繁盛していて雑誌などにも取り上げられたこともある。しかし!それなのに!俺は給料を貰ったことがない!
あっ、実家と親戚は違うとかいうツッコミは受け付けません。
「ふぅーん、そんなもんなんだ」
「あぁ、だから金の分働けよ」
「そうだね。それじゃ頑張るよ。また学校で、だね」
そう言って注文の品が入った袋を渡してくれる。
「あぁ、話す機会があればな」
「話そうと思えばいつでも話せるけどね」
「そうだな、じゃ」
「ばいばい、雪人君」
そしてみんなのところへと戻…ろうとした。だがみんなが元いたところにいなかった。
どこにいたのかって?俺の後ろだよ。
「おい雪人、ナンパか?やれやれ、雪人も隅に置けないな」
肩に腕を回してくる。
「なっ、違う!ってかお前は知ってるだろ!」
「何が?」
「鶴海緋音だよ!同じクラスの!」
「鶴海…鶴海………鶴海?」
悠斗が本当にわからないようなので俺が、この親切な俺が懇切丁寧に教えてやる。
「鶴海は同じクラスの奴だ。鶴海緋音、緋色の緋に音と書いて緋音、だったはずだ。」
「あ、その名前なら知ってるぞ!かっこいいから少し気にはなっていた時期があったな」
「……そいつだよ」
俺が思い出すのに時間がかかったのにもそろそろ納得してもらえたんじゃないだろうか?そう、鶴海緋音は、名前とは全然違い、影がすごく薄い。男子では知ってる人がほとんどいないんじゃないかってくらいに…
「その鶴海がどうしてここに?」
「それが……」
「…という訳らしいんだ」
「なるほど、親戚の…」
「だからここに来ていたらしい。俺も声をかけられるまで全然気づかなかったよ。てかあっちもよく俺なんかのこと覚えていたな」
「あぁ…それはいろいろあるんじゃね?」
「ん??」
「いや、何でもない」
「そうか?ならいいや…」
俺は元いた場所へと戻る。後ろにいた他の女子4人をスルーして。
「………雪人ってそろそろ自覚するべきだよな…顔良くて普段はクールな奴が同じ新入生の女子に話題にされない訳ないだろ。ま、本性を知ったらどうかは置いといて…皐月は本性を知ってなおだしな…」
独り言のつもりで悠斗は呟く…
「え、お兄ちゃんってモテるの?」
「うわぁ!!ってなんだ…琴湖ちゃんか」
「なんだって、そんなに驚きました?」
「いや、ごめんごめん」
「で、お兄ちゃんはモテるんですか?」
「…まぁ、顔が良いし外では趣味……」
あっぶねええええ、今思えば琴湖ちゃんも雪人の趣味知らねぇじゃん!もう少しで俺は親友を終わらせるところだった…
「趣味ってあの…その…あれ、ですか?」
「えっ…?」
「その…あのエッチなやつですか?」
「えっ……、なんで…?」
「私、お兄ちゃんの家こういう長い休みの時以外は2日に1回行ってるんですよ?さすがに毎回きちんと隠し切るのは無理だっただと思います…少し出っ張っていた机があって、片付けようとしたら…」
「……それで、そのこと雪人には?」
「お兄ちゃんには言ってませんけど…」
「そっか…まぁ、言わない方が良いような気がするな」
「うん。言ったらお兄ちゃんがすごく落ち込んじゃうような気もするし…」
「そうだな…このことは琴湖ちゃんと俺だけの秘密にしておいてくれるかな?」
「はい、お兄ちゃんのためにも!じゃ、私もお兄ちゃんの所に行きますね!」
そう言って雪人のところに戻ろうとする琴湖を見ているとやっぱり俺にも一つの思いが…
琴湖ちゃんって絶対モテるよな。性格よくて顔もいい、出るところが出ていて引っ込むところも引っ込んでいる。なのに彼氏がいたことがないなんて……なんでだ?なんでいないんだ?告白されることは多いって聞くけど、その中には琴湖ちゃんに釣り合う奴の1人や2人くらいいても良いだ…もしかして…!
「なぁ琴湖ちゃん!」
「はい?」
振り向く女の子のふくよかなものがふるりと揺れる。
「琴湖ちゃんってどういう男子が好みなんだ?」
「え?なんですか突然?」
「いや、ちょっと気になってね」
「ん〜、まぁ悠斗さんなら大丈夫かな。うん。あのね悠斗さん、私はお兄ちゃんみたいな人が好きだよ!」
「……っ!!」
そしてまた、ふふふーんという鼻歌が似合いそうな感じで雪人の方へ向かっていく。
おい雪人…お前ってやつは…
「ごちそうさま」
皐月、梨乃、悠斗、クノア、琴湖と次々とご飯を食べ終わっていく。そして次々と遊びに戻ろうとする。そこに聞きなれない声が聞こえるまでは…
「や、雪人君。おじゃましに来たよ」
その声はとても可愛い声で…
はたまたついさっき海の家で聞いた声で…
「おぉ、暇ができたのか」
「うん。さっき雪人君と話しているのをおばさんが見ててね、それで遊んできたらって」
「なるほど、それでか」
「ちょっと、この子は?」
皐月が少し不機嫌そうに聞いてくる。どうして不機嫌なのかはわからないが後ろにいる梨乃も少しふくれっ面をしている。
「さっき言ってた鶴海だよ」
「へぇ〜、この子が」
「鶴海緋音です。今後ともよろしく」
「よろしくね!緋音ちゃんって呼んでいい?」
「いいよ!えぇーと…」
「梨乃だよ、柏崎梨乃!梨乃って呼んでよ!」
「わかったよ梨乃、よろしくね」
「私は如月クノアですわ、よろしくお願いしますわ緋音さん。是非とも私のことはクノアとお呼びください」
「うん。よろしくねクノア。それに皐月さんも」
「え、私のこと知ってるの?」
皐月が不思議そうに問いかける。
「うん。てかここにいる3人は知ってたよ。この子だけは知らなかったけど」
そう言って俺の後ろに隠れていた女の子を見る。
「あぁ、こいつは琴湖。俺の妹だ」
えっ、雪人君妹いたんだ!?みたいに思っているんだろうか…
「えっ、雪人君妹いたんだ!?」
完全に一致した。
「……あの、お兄ちゃんの妹の琴湖って言います」
「よろしくね、琴湖ちゃん」
「は、はい、よろしくお願いします…」
「すまんな、琴湖は初対面の人には恥ずかしがるんだ」
後ろに隠れている琴湖の頭をぽんぽんと叩き振り返る。
クノアの時は衝撃的だったからあんまりだったけど、やっぱり恥ずかしがるのは変わってないんだな…
「あっ、そうなんだ。で、私も混ぜてもらっていいかな?」
「もちろんだよ!海行こうよ!」
梨乃が相変わらずの元気よさで緋音の手を引き海へと向かっていく。
「あっ、ちょっ、待って!!」
手を引かれる緋音は準備が出来ていなかったようでつまずきながらなんとか梨乃へとついていく。
「なぁ雪人…俺、紹介できてないんだけど…」
「あっ、いや、お前は同じクラスだから大丈夫っ!って思ったんじゃね?」
「……そういうことにしとくか」
「さて、俺らも行こうぜ」
「あ、あぁ」
この時は知らなかった…これが悠斗との最後の会話だということに。
なんてことがあったらここからバトルものや謎解きものになったんだけど普通の男子高校生の日常にそんなことはなく今は夜。旅館に戻り明日は帰るだけだから最後に、ということで花火の最中。さっきからずっと1人で線香花火を眺めている俺。
いや、仲間はずれ、とかじゃなくてだな。
昼間の遊びを思わせないレベルで花火を持ちながらはしゃいでいる梨乃や悠斗、それにクノアと琴湖。緋音は既に親戚の家に戻っていてここにはいない。
「…あれ、皐月は?」
「呼んだ?」
「うわっ!!」
「ずっとぼっちじゃない。何してんの?」
「な、何って、線香花火だよ」
「いや、そうじゃなくて、なんでみんなのところに行かないの?」
「俺の方こそ疑問だよ。なんで昼前あれだけ騒いで今あれだけ騒げるんだ?」
そう言ってはしゃいでる4人を指さす。
「あぁ…確かにそれは思うわね」
そう言いながら雪人の隣に腰を下ろす。
「線香花火、もらえる?」
「ほい」
「ありがと」
線香花火に火をつける。丸い玉が出すパチパチという音だけが静寂の中聞こえてくる。
「なんか、夏って感じだね」
「…そうだな」
「……」
「……」
女の子と一緒にいるのに会話がないのは気まずい、でも今この時は少し心地よかった。
「……」
「…こういうのって、なかなか悪くないな」
「……そうだね」
「………」
「………」
「……ねぇ雪人」
「…なんだ?」
「…雪人にとってさ、私ってどう?」
「えっ…?」
皐月の思いもしなかった発言に少し驚く。
「いや、いきなりなのはわかってるんだけど…」
「私って、結構とんがった性格してるじゃない?だからいろいろと気になるところがあってね…」
「そうか…まぁ確かに皐月はとんがってるからな…てか自分で気付いていたのか」
「まぁ、ね。でも変えるべきかどうかがわからなかったから、だからこうして相談してるのよ」
「なるほどな…でも皐月は今のままでいいと思うぞ?」
「どうして?」
「だって、皐月は皐月じゃないか。どれだけとんがっていたって、それは皐月だし」
「でも、まだクラスの人たちとはそこまで話したこともないから嫌われてないけど…それでもこの先嫌われるようなことがあったら」
「大丈夫だよ。皐月なら大丈夫さ。こんなこと言われても自身を持てないかも知れないけど、それでも、皐月は皐月のままいるべきだと思う。もしそれで皐月が嫌われても、俺は皐月のことを嫌いにならないし、それに悠斗も、梨乃もクノアも琴湖も……それに鶴海も。それとも皐月には俺含めて6人がそんな奴に見えるのか?」
少し意地の悪い問いかけをする。
「いや…そうだね。うん、やっぱ雪人ならそう言うよね」
「なんだ、わかってたなら聞くなよ」
「それでも聞きたかったんだし、許してよこれくらい」
立ったあとみんなの方へと向かっていく。
「まぁ、いいけど」
俺もそろそろみんなのところに行こうかな…
そう思って重たい腰を上げると…
「ありがとね、雪人」
振り返りながら少し前屈みになりながら言ってくる。
長い、綺麗な黒髪が風にふわりと揺れていて、まるでアニメのメインヒロインみたいな、そんなシーンを思い浮かべるような、そんな光景だった。
そのままくるりと体を元に戻してみんなのところに走っていく。
「…………」
あれ、今俺ちょっとドキッとした?
そんなことないよな…皐月に限って……
そうして俺も皐月の後を追っていく。
俺も最後くらいは騒ぐか…
こうして俺らの小旅行の最後の思い出が作られた。
いかがでしたでしょうか?またまた新しいキャラかよ、みたいに思われるかもしれませんが次からは多分新キャラはない(と思う)ので安心?してください。一応学園ラブコメなのでそろそろ学園イベントを入れたいなぁと思ってます。(次が学園イベントとは言ってません。)
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました!
次は多分1週間以内には投稿出来ると思うのでよろしくお願いします!では。