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文化祭三日目その3

打ち上げは高校近くの鉄板焼き屋で開かれた。ある程度のことは悠斗がすべて行い悠斗の独断と偏見によって店も決められた。

打ち上げに来られる人が全員到着し広い部屋に座ると、悠斗が代表のようにみんなの前に立ち

「みんな文化祭お疲れ様!みんなのお陰で劇は…大成功だ!」

悠斗の声に男子達も女子達も乗っかって騒ぐ。雪人は左隣が悠斗の席という理由で左が空いているため右隣を向く。そこには口を丸くして、まるで「おぉ…」とでも言っているかのような女の子が。その少女が雪人の視線に気付き目を合わせる。

「お疲れ様」

そう言うと少女は相槌を打ちそれから優しく

「雪人君こそ、お疲れ様」

静かに2人で笑う。悠斗がまだ何かを言っているがあまり耳に入ってこずただ少女——緋音(あかね)の方を見つめている。そのうち少し恥ずかしくなり顔を逸らし水を飲む。

「そこ!王子と姫!いちゃいちゃすんな!」

悠斗からの笑いながらの揶揄(からか)いに顔を赤くしながら

「別にいちゃいちゃなんてしてない!」

クラスのみんなが笑い一層に雰囲気が良くなる。その中、緋音の頬が赤く染まっていたのを悠斗の方を向いていた雪人は知る由もない。

「——つわけで、かんぱーい!!!」

『かんぱーい!!!!』

一気に部屋中が賑やかに——今までも賑やかだったがさらに——なり鉄板で焼く音があちこちで聞こえる。

「お疲れさん」

「お前こそ」

悠斗に返事をして鉄板で生地を焼く。料理が得意ということもあって手際がいい。複数を同時に焼いているとどうしてもどこかが疎かになるものだがそこを隣の緋音が何も言わずにフォローしてくれていて完成度がすごく高い。何食わぬ顔で黙々と手伝ってくれる緋音は近くの女子達に話しかけられているが、しっかりそれに答えながらも手伝う手を止めない。

密かに幸せを感じながらも暇になり悠斗の方を向くとそこにはまだかまだかと焼けるのを待ち望んでいる悠斗がいた。悠斗がいるのは当たり前だが…。

こいつ役に立たないな…。

そう思っていると悠斗が視線に気付き

「どうかしたか?」

「いや、役に立たないなぁ…なんて思ったりはしてないから安心しろ」

危ない危ない。本音が出てしまうところだったがなんとか誤魔化せたな。

「役に立たないとはひどい言われようだな」

誤魔化せていない!?おかしい、こいつおかしい!こいつはもしかして高等な誤魔化しテクを知らないのか?まぁもうそこについて考えても仕方がないか。

「悠斗。よく見てみろこの状況を」

悠斗が軽く見てから視線を戻す。

「今何もしていない奴はこのテーブルに何人いる?」

1つのテーブルに6人が座れるようになっている座敷ではテーブルは繋がっているが大抵は人数のことを考えて5人~7人で分かれている。

「今働いてるのなんてお前と鶴海(つるうみ)くらいだろ」

机を挟んだ向こう側には知佳と2人の友達が座っていた。確かにその3人もお喋りに盛っており一見何も働いていないように見えた。

「それはお前の見間違いだよ。紙とペンを貸せ」

その言葉に悠斗が反応しカバンからノートとボールペンを取り出す。

それを受け取ると使いかけのノートのまだ何も書かれていないページを開き長方形を描く。

「いいか悠斗?ここに俺、隣にお前と緋音がいる」

ノートには言葉に合わせて丸がつけられていく。

「対面には藤宮とその友達が2人。それでここからは何をしているかを見ていこう。まず緋音。何も言わなくてもわかるだろうが超超超働いている。言わば神だ」

ちなみに声は知佳達には聞こえないくらい、緋音には聞こえるくらいで話しているので緋音には全て聞こえているが雪人はそれに気付いてはいない。悠斗の方は…こういうところの性格に難ありなもので。

緋音は苦笑いしながらも悪くもないというような感じで微笑…にやける。

「そして対面。藤宮はいるだけでなんか守りたくなるからOKとして」

「ちょっと待てそこについては異論がある」

「異論は最後にのみ認めるから今は我慢してろ。それで藤宮が守りたい存在だとするとそれを護衛のように守る2人組みもOKになる」

「いやもう意味がわからん」

全く同意と言うように緋音もため息をついている。それでも手を止めないあたりが緋音の良さなのだろうか。

「まぁお前にはまだ早いかもな…かくいう俺もちょっと前に話すまでは全く気づかなかったからな。藤宮はなかなかに守ってあげたい存在だぞ」

いつからそんなことを思ったかは覚えてないがなんとなく琴瑚みたいで。だからこそ守ってあげたいと思うのだろうか?

「そんなことを言ってるのはいいけどお前声でかいぞ。ちなみに言われた本人は顔真っ赤だよ」

そう言いながら指で指した方を見ると頭を下げて頬を赤くした知佳がいた。

『九条ってなかなか大胆なこと言うんね』

『恥ずかしがって知佳が俯いちゃってるじゃない』

護衛2人がとりあえずという感じで茶化してくる。こういう状況から逃れるのが下手だと最近感じ始めていた雪人は今一番安全そうな緋音へと助けを求め……緋音は黙々と鉄板焼きを完成へと導いていた。まるで何も聞こえていなかったかのように。

「あ、あの…緋音さん?」

恐る恐る声をかけてみる。

「ん?どうかしたの九条君。それより手が止まってるよ?ちょっと手伝ってくれないかな?さすがに1人はきついんだけど…」

話の流れを完全にぶった切る緋音の発言は雪人にとっては嬉しいものだったがどこか緋音の冷ややかな部分を感じるようなものだった。

「あぁ…うん」

悠斗も何かを汲んだのかそのままその話題を続けようとはせずにみんなに取り皿を配り始めた。

鶴海までも、ねぇ…。一体雪人はどうするのやら。

悠斗は先のことを考えながら少し気を重くした。



「なかなか美味かったな」

「当たり前だろ。俺も手伝ってるんだ、美味くない訳がないだろ」

一人暮らしで雪人の料理スキルは確かに高いものだったがこの自信はどこから来ているのだろうか?しかも鉄板焼き、種は店が準備し焼くだけでそれも大半は緋音がした。雪人の料理スキルが一体どこで働いたのか?そんな問いを悠斗はグッと堪えた。

今日くらいは鼻を高くさせといてやろう。主役で大成功を納めたんだから。

「そういえば雪人、お前明日はどうするんだ?」

明日はコスプレコンテストの日、男子からすると天国に近い存在だ。

「そーだな…多分行くけど、なんでだ?」

「いや、聞いてみただけだ」

「なんだそれ」

その後打ち上げの独特の雰囲気に包まれた部屋の中で色々と話したりしてると時間はあっという間に過ぎた。

「じゃあおつかれ!!解散!」

悠斗が代表として前に立ってそれを言うとそこにいた人達はその言葉に応えたあとぞろぞろと帰る準備をしていく。

そんな中雪人は肩を軽くつつかれる。

「ん?なんだ?」

つついたのは緋音だった。

「あのさ、雪人君。今日、泊ま……いや、やっぱりいいや。お疲れ様」

それだけ言うと前の女子集団に紛れていった。

「なんだったんだ?とりあえず、お疲れ様…」

女子集団に紛れた緋音は友達の話を聞きながらもどこか上の空だった。

「まだ、ダメだよね。ちゃんと言ってからじゃないと。それは、ずるいよね。」

『何がずるいの?』

「えっ!?」

驚いて思わず顔を引き攣る。

「あっ、もしかして声に出てた?」

『出てたよ。なんかわかんないけど、悩み事あるなら相談しんさいよ』

胸をどんと叩いていかにも私は凄い、みたいなことを言いたげな少女に

「悩みじゃ、ないんだよ。ただ私は……ううん、何でもない」

『えぇーなんなのさぁ!』

くすくすと笑いながら緋音は帰路についた。

だいぶ遅くなってしまって申し訳ないです。途中まで書いていたやつが何かのバグでか全て消えてしまって一気に書く気を削がれてしまっていました…

そういうことがないように気をつけようと今後はしっかりと注意していきます。


内容ですけど、文化祭3日目は終了です。短いような…短いような…。ただ思ったんですけど緋音回が文化祭とかぶると緋音の出番が全ヒロインの中でも一気に大きいものになってしまうなぁと今頃になって気づきました。…まぁいっか。

ではまた次の話で!そのときはよろしくお願いします!

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