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文化祭三日目その1

騒がしい声で目が覚めると男子が楽しそうに喋っていた。

「よう!やっと起きたか」

声のする方へ視線を動かすとそこには悠斗がいた。

「はやく顔洗ってこい。15分後にクラスの集まりが教室であるから遅れずに来いよ」

それだけ言うと悠斗は多目的ホールから出ていった。立ち上がりジャージのまま水道へ行くとそこには同じように寝起きの人達がいた。その中に知佳を見つけ呼びかける。

「おはよう藤宮」

「んふぁ〜…おはよう」

目がほとんど開いていない知佳を見るとどうやら雪人だと気付いていないようだ。

同時に水道が2つ空き顔を洗う。

持っていたタオルで顔を拭く。

「九条君…?」

横から驚いた声が聞こえそこを見る。

「どうかした?」

「あ、いや…おはよう」

「おはよ。もしかして藤宮って朝弱い?」

「うん、結構弱いんだ…なかなか目が開けられないし頭もぼーっとするんだよね。今日も20分前には目覚ましで起きてるんだけどそこからずっとぼーっとしてて今って感じ」

その調子だと最初のおはようは俺だって気付かずに返してたのかな。むしろそこまでだとすごいと思うけど…

「朝起きるのってつらいよな」

「そだね」

「学校来るのもめんどくさいし」

「そう?」

私は九条君を見れて眼福だし学校来るのはむしろ楽しみっていうか…

「まぁこういう行事の時は授業もないし別にいいんだけど」

「授業が嫌なだけなんだね…」

「藤宮、俺は授業が嫌いなだけではないぞ?」

「え?」

「別に俺は保健の授業は好きだし生物の授業も好きだからな」

「保健と生物って…」

保健は生殖器のところで生物は遺伝のところしかまだやってないし楽しいところなんてあったかな?そういえば両方ちょっとえっちな話が先生からされたけどそういうのが好きなのかな…

「なんで好きなの」

もしそうだったらそうでも答えてくれない気がするなぁ。

「なんでって、寝れるから」

「それ授業好きって言わないじゃん!」

「まぁまぁ、授業で寝てもテストで点数を取ればいいんだよ」

俺はこの前取れなかったけどな!まぁそのことは言わなかったらバレないし。

「でも九条君前のテスト赤点いっぱい取ってたと思うんだけど…」

「どうして知ってる!?」

悠斗しか知らないはずの俺のテストの結果を…

「テスト返しの時の席が九条君の斜め後ろで九条君がテストを持ちながら固まってたからどうしたのかなって思って見たら見えちゃったの。勝手に見てごめんね、ごめんなさい」

「あ、いや、別に謝らなくてもいいけど…というか点数取ればいいとか言ってた俺を忘れてくれ」

「でもでも、数学だけは見てないんだ。どうだったの?」

ふふふ…よく聞いてくれたな藤宮。俺の唯一の救い科目を…!

「数学だけはセーフだったよ」

「そうなんだ!数学って結構赤点の人多いのに」

「まぁ奇跡っぽいんだけどな。それより藤宮の方はどうなんだ?藤宮賢そうだけど」

見た目は小学校だけど行動とかどこか大人な雰囲気あるし。

「私は数学だけ赤点だったよ」

「数学の補習ってしんどいって聞いたんだけどどうだった?」

「あー、私補習行ってないんだ」

「藤宮すごいな…補習サボったら成績やばいって聞いたけど、藤宮ってもしかして思ったより真面目じゃないのかもしれない…」

「違う違うよ!先生に来なくていいって言われたんだよ」

「何それ気になる」

数学は39点以下には相当厳しいって噂なのにそれはどういうことだ…

「えっとね、解答用紙3枚あったでしょ?そのうち2枚が両面で3枚目が片面だったじゃん。全部記述で解答欄が1枚目と2枚目が全く同じで間違えちゃったんだよ。だから1枚目と2枚目全部バツで3枚目しか点数取れてないんだよね。でも採点してる時に先生がそれに気付いてくれて、今度からはしないようにってだけで補習は来なくていいって」

「それってでも1枚目と2枚目で点数取ってたってことだよな。結局何点だったんだ?」

「20点だよ」

「1枚目と2枚目がちゃんと間違わずに書けてたとしたら?」

「答え見る限りは…満点…だったよ」

「すげぇ…満点すげぇ…」

思った以上に賢かった。

「で、でも答えが合ってただけで途中とかで間違えてるかもしれないから…」

「いやいや、それでもすごいよ!というか合計どれくらい取ったんだ?気になる」

賢いと思っていた悠斗を超えるんじゃないのかこれは。

「えっと、確か85%くらいだったと思うよ」

数学20点で85%って何…恐ろしい子。今度から勉強は悠斗じゃなくて藤宮に教えてもらおうかな。そうだそうしよう。

「すごいな藤宮は。次のテストの時勉強教えてくれない?」

「はぅっ!?え、私がっ!?」

「うん。賢い人に教わらない手はない」

「えっ…別にいいけど…いいの?」

「いいのってこっちこそ教えてもらっていいのか?」

「それは…うん、大丈夫だよ」

よっしきたぁ!これで次のテストは赤点を少なくしてやる!補習なんて絶対受けないからな!

「ありがと!そろそろ着替えないとだし部屋戻るわ」

「あ、うん…じゃあね」

知佳はその後友達に声をかけられるまで、棒立ちしていた。



「おはよう雪人」

振り向くとメイド姿の皐月が手を胸のあたりまで上げていた。

「おはよう皐月。皐月のクラスメイド喫茶なんだな」

服装から判断してそう言う。黒を基本としてフリフリやラインなどにピンク色が使われているメイド服は皐月にとてもよく似合っている。

「そうよ。というか知らなかったの?」

訝しげにそう言ってくる皐月に

「いや、メイド喫茶があるっていうのは知ってたんだけど皐月のクラスっていうのが知らなかっただけだぞ?」

「それ知らなかったって言うんじゃん」

「まぁそうとも言わなくもないな。ところで…」

これ以上この話をすると負けると察し話題を変える。

「前に見たメイド服もいいけどそのメイド服もいいな」

うん、特に色気を放ちまくりの絶対領域。ニーソとスカートが織り成す最高の魅力。

そんなことを思っていると

「べ、別にメイド服ならどれでも一緒でしょ…」

「違うんだよなそれが!分かるか皐月、メイド服にもいろいろな形や適した環境というのがあってだな!基本的にミニスカタイプのメイド服は」

「あぁはいはい、その話はまた今度ね。それより雪人、梨乃見なかった?」

メイド服の話を切られて少し悲しい顔の雪人は尋ねられると

「梨乃?今日はまだ見てないけど…何か用なのか?」

「うん。ちょっとね」

「そっか。なら見つけたら皐月が探してたって言っとくよ」

「そうしてくれると助かる。じゃあね、私これから準備あるし」

後ろを向いて歩いていく皐月に

「おーう。頑張れよ」

そう言うと

「雪人もね!劇、見に行くからね!」

と言って去っていった。

そろそろ教室に戻らないといけない時間になり教室に戻る。

教室に入るとまとまり無くざわざわした室内で教卓の所に立っていた悠斗と目が合った。

「おっ、来たか。じゃあ始めるか。おーいみんな——」



「——言っとくのはこれくらいかな。じゃあまだ準備できてないところは準備してくれ。もうできてるところは自由にしてもらって構わない。じゃあ解散!」

悠斗の言葉で途端にざわつきだすクラス内。自分たちの劇が午後からというのもあってか、見た限りクラスの生徒は緊張していないようだった。クラスの端に緋音を見つけ声をかける。

「おはよう緋音」

少し待ってみたが言葉が返ってこない。

「おーい」

また呼びかけてみるが結果は変わらない。

「緋音?」

どうしたのかと思い肩を軽く叩く。

「わっ!?あ、雪人君…おはよう」

「おはよう。どうかした?」

いつもと様子が違うことが気になり聞いてみる。

「いや、別になんでもっていうか…雪人君は緊張してないの?」

なるほど、緋音は緊張してるのか。まぁ劇のメインキャラだし緊張もするよな。

「うーん…してないってことはないけど昼からだしそこまでかな」

「そっか…なんかすごいね」

昨日見た小悪魔はどこへ行ったのやら、その片鱗も見せないほど弱々しい緋音は相当緊張しているらしい。

「気分転換に何か見に行くか?」

緊張を少しでも解した方がいいと思いそう言ってみると

「そうだね…あー、でもやめとくよ。もうちょっと台本見て確認しとく」

「そっか。なら俺も付き合うよ」

「いいよいいよ、なんか申し訳ないし。別に1人でもできるし」

「そっか。何かあったら言ってくれよな」

それだけ言うと緋音の元から離れていった。緋音が1人にして欲しいと言った気がしたから。



今日は文化祭3日目、劇祭ということで一般開放されていて1日目と同じくらいに大勢の人が学校に集まっている。

「あっいたいた!おーい!雪人くーん!」

学校内では聞き慣れないその声の方へと振り向く。

「いやぁ探したよ雪人君。まったく、フレンドが来てるんだからちゃんとエスコートしてよ」

フレンドって言い方やめて!あとエスコートして欲しいなら来るって連絡ぐらい入れて!

どうせ言っても流されるであろう言葉を心の中で言う。

綺華(あやか)さん…来てたんですね」

「うん。来る気はそこそこしかなかったんだけど絵がちょっとマンネリしてきたから何か発見できるかなぁと思ってた来ちゃいました」

「来るなら言ってくれればいいのに」

いきなり来られるとちょっとびっくりするんだよな。

「え?私ちゃんと言ったよ?雪人君に今から行きまーすって」

「えっ嘘!?RINE来てないんだけど」

「当たり前じゃん。玄関で言ったんだから」

頭が悪い!幼稚園児ですら聞こえないと分かることを平然とやってのけるその精神がすごい。

「それより雪人君、さっきからあの子見てて思ったんだけど、あの子さ…」

綺華が指さすところを見るとそこには海賊の衣装をした女子がいた。露出度が高く太もも、そしてへそ出しがエロい。手を上げた時に見える腋もエロい。

「あの子が…?」

綺華が少し焦らすことでドキドキが増す。

「ああいう子とセックスしたいって思わない?」

「俺のドキドキを返してくれ!」

「だって海賊だよ!女海賊だよ!海上でクラーケンに襲われての触手プレイとかアジトに攻めてきたオークに強制強姦とかいろいろ妄想が捗るわ〜」

「………触手プレイは案外ありかもしれない。あの艶かしい太ももやお腹に絡み付いたり手足を拘束してずっと見える腋、どんどんと絡み付いてそのまま触手が禁則地に辿り着いて…」

「そしてそのまま挿入よ!喘いで開いた口にもすかさず突っ込まれなすがままにされる女海賊、どうよこれ!」

「もう天っ才すぎて神。崇め奉る」

「ちょっとアイディアが溢れすぎてくるから帰って描いてくるわ」

相当描きたかったのか全力ダッシュで去って行った。

次のエロゲがどんなのになるか…楽しみすぎて興奮してきた。劇やってる場合じゃねぇ!あぁ待ち遠しい、はやくプレイしてみたいなぁ。

「雪人君」

後ろを向くとそこには朝元気がなかった緋音がいた。

「緋音、どうした?もう緊張はだいぶ解れた?」

見た感じ解れてるけど…。

「あぁうん。ちょっと台本読むの手伝ってもらおうかなと思ったけどさっきの会話聞いてたらなんか馬鹿らしくなってきたよ」

「えっ!?」

「え?」

「え…」

遅れてしまって申し訳ないです。

やっと文化祭3日目です。

よろしくお願いします!

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