手の込んでいない作戦は成功と失敗を両立する
「雪人君ってラーメン好きだよね」
なんだ急に?まぁ好きだけど言ったことあったっけ?
「確かに好きだが俺そんなこと梨乃に言ったっけ?」
言った覚えがないな。
「出かける度にラーメン食ってたら言わなくてもわかるだろ」
悠斗の指摘で全てを納得する。
そりゃそうか。俺外で食べる時ラーメンか焼肉以外ほとんど食べないしな。
「でも逆にこういうところ来たときラーメン以外になに食べる?」
「うどん」
「うどんね」
「うどんかな」
「うどんだね」
「うどんですわ」
五コンボだどん。
うどんか…そういえば琴瑚もこういうときはうどん食べてたな。
「うどんなー。うどん。うどん……」
ラーメンに箸を入れてくるくる回す。
「うどん…うどん………」
そしてラーメンを食べる。
「なんも言わないのかよ!」
「何か言わなきゃダメだったか?」
「言わなきゃダメってわけじゃないけど言うと思うだろ普通!」
「なんで?俺うどんって言ってただけじゃないか!」
「それが紛らわしいんだよ!」
「意味わかんねぇよ!」
「仕方ない。俺が一から教えてやるよ!日本語というものを!」
「俺こそお前に教えてやるよ!」
このクソアホ野郎!
「はぁ…これまた終わりそうにないわね」
「そうだね。私達だけで行く?」
「それがいいでしょ。こいつら馬鹿だからほっときましょ」
それぞれの食器を持つと女子四人は席を立つ。
「だいたいお前は!」
「なんだよ!」
「……」
視線を女子四人の歩いていった方へと向けて四人とも視界から消えたことを確認すると
「「はぁ…」」
「なぁ雪人…」
「言わなくていい。お前の言いたいことはもうわかってる」
服の内側にうまく隠したつもりかもしれないが見えてるぞ、そのチラシ。
「話が早いじゃないか。お前はキャラを見られたら捨てられる可能性がある。しかも他の三人に趣味がバレる。それだけは避けなければならない。わかってるな?」
「もちろん。だからあえてお前と喧嘩しているように見せかけることであの四人を先に行かせたんだ」
視線を合わせ少しにやけると手をガシッと組む。
四人はあそこを右に曲がった。行くなら左側からだな。
「四人はあそこを右に曲がった。行くなら左側からだな」
こいつ!俺の心でも読めるのか!?
「そうだな。早めにゲットしに行こう。それより悠斗、お前人の心が読める能力とかあったらどうする?」
ここは少し探ってみよう。こいつはいつも俺の心を読んでくる。
「な…それはなかなかすごい能力じゃないか。そんな能力があるなら是非頂戴したいもんだな」
そんな発言をした悠斗に少しの焦りが見えた。
「お前!本当に持ってるのか!」
ついに俺たち二次元に憧れ続けた人種が二次元のような…!
「……雪人にならいいか。あぁ、持ってるよ」
「やっぱり!いつからなんだ!?」
こいつ隠してやがったな!流石に俺の心が読まれすぎると思ってたんだよな。
「つい一ヶ月ほど前だな。いきなり人の心の声が聞こえるようになったんだ」
「うおぉ!すげぇ!」
「そんなことより今は早めに買いに行こうぜ」
「そんなことじゃない!でも確かに早めに買わないとだし…後で絶対教えろよ!」
「はいはい」
気になるけどこの話はいつでもできる!今は早く新作を手に入れなければ!
「じゃあ少し走るか」
「おうよ!」
『ありがとうございましたー』
店員の声を背中で聞きながら店の外へ。
「買えて良かったな」
「あぁ!今日帰ったらやるか」
「というかキャラが可愛すぎるだろ!俺このイラストレーターさんにもし偶然たまたま万が一にでも会ったなら一生奴隷として生きていける気がする!」
「いや、それはちょっと引くわ」
友達付き合いを考えよう。
「おい!そういう雪人だって似たようなこと思っただろ!」
「………」
否定できない!
「…ま、まぁ俺は、お前と違って奴隷じゃなくペットとして生きていくつもりだったけどな?」
「そっちのが引くわ」
こいつ…人が仕方なく、本当に仕方なく言ってやったのにこの態度、一度地獄を見せてやろうか。
「それはそうとネットで通信できるみたいだし一緒にやろうぜ!」
「仕方ないな。俺がお前を強くしてやるよ」
自分で言うのも何だけどゲームの腕に関しては悠斗よりは上だ。
「お前それ本心で言ったな…もしかしたら俺の方が強いかもしれないだろ?」
「いや、ないな」
「即答かよ」
「何がないの?」
「「うわっ!」」
「うわって、女性に対して失礼ね」
そこにいたのはおそらく悠斗が知らないであろう女性だった。
俺はこの人のことを知っている。よく、とまではいかないかもしれないけどそこそこ知っている。なぜなら…
「雪人くーん、今日は何の日か知ってる?」
「なんだ、綺華さんか。それより今日がどうかした?」
「なんだって何よ。でもその袋を見る限り買ってくれたんだね、そのゲーム」
買ってくれた?ってことはもしかして…
袋から買ったゲームを取り出してイラストを少しの間じっくりと見る。
「なぁ雪人、どうしたんだ?てかこの人誰?」
「………」
「おーい、雪人?」
うるさいな、横の奴。
「……やっぱり、そういうことか」
「おっ、気付いた?」
「ん?何が?」
この髪の先端までしっかりと、なおかつ繊細に描かれて、そして本当に風が吹いているかのようになびく髪。
それに加えて大きすぎずに小さすぎず、ちょうどいい大きさの胸、スラッと伸びている足にもニーハイの区切りの部分で少し乗っかる太もも。
かっこよさの中にも確かな可愛らしさ、可愛らしさの中にも確かなかっこよさがある絵。
その上ありふれてそうな絵なのに今まで見たことがない様な多数の女の子達。
こんな絵を描くのは…
「このゲームのイラストレーター、綺華さんか」
「え?」
そりゃ悠斗は驚くよな。大絶賛のイラストレーターが目の前にいるんだから。
「さっすが雪人君!雪人君ならわかってくれるって信じてたよ。さすが私のフ・レ・ン・ド、だね」
なんて言い方するんだこの人はこれじゃ誤解されるだろ!
誤解される前に言わないと。
「雪人…お前ってやつは…」
はい誤解されてました時すでに遅しでした。
「はぁ…綺華さん。綺華さんのせいで誤解されたので誤解を解いてください」
まったく困った人だ。
高校生をこんな目に陥れるとは…
「仕方ないなぁ〜、今回だけだよ?」
「こんな目に遭わせるのは今回だけにして欲しいな」
「ということは綺華さんと雪人は同じマンションで、雪人がお世話になっているエロゲのイラストレーターが綺華さんで、実質雪人が綺華さんで性処理をしているということでいいんですか?」
「えぇ、その通りよ」
「綺華さんに任せた俺が馬鹿だったよ」
綺華さんに説明してもらっている間にトイレに行った俺が馬鹿だった。
微妙にあってるから怒るに怒れないけど怒っていいよなこれ?
とりあえず女性に暴力を振るうのは良くないから悠斗でも殴っておこう。
「悠斗、よく聞けよ」
「それをぃいながら腹パンはきつぃからゃめてくれ」
「あーうんわるかったー」
「せめて棒読みやめろ!」
改めて悠斗に本当のことを教える。
「てことはこのゲームのイラスト描いたのも?」
無言で頷く。
「マジか!すげぇ!綺華さんすごいっすよ!」
悠斗のこの興奮は分かる。俺も初めて知った時は同じように興奮したからな。
「いやいや、そんなにだよ〜」
「さっきこいつ、このイラストレーターの奴隷になりたいって言ってた」
「おまっ!」
「ん?性奴隷かな?」
「こいつこそペットとして生きて行きたいって言ってました!」
悠斗抹殺処分決定。
「え、雪人君が?仕方ないなぁ、まったくもー。仕方ないからペットにしてあげるよ」
「いや、嬉しくないからな?何が仕方なくだよ!」
「いつから私にそんな口聞くようになったの?」
「元からだよ!」
「照れちゃって、可愛い」
「日本語が…通じてない!?」
「こうなったら仲良く3Pだね」
いつから日本で日本語が通じなくなったんだ?
そんな馬鹿なことを話していたらいつの間にか時間を忘れていた。
「あんた達…」
どす黒い声に背筋がピンと伸びる。
さっきまで18禁話題で盛り上がっていた空気が、若干一名を除いて完全に冷えきった。
忘れてた…これ絶対皐月さん怒ってるよ…
「なぁ悠斗、皐月怒ってるよな?」
「あぁ、おそらく俺らを探してたんだろうな。そしたら女性と仲良く話してたから…。おい雪人、綺華さんのことを紹介するんだ!それでおそらく皐月の怒りは鎮まる!」
悠斗は人の心を読める。ならここは信じるしかない!
「さ、皐月!この人は綺華さんって言ってだな、俺の家の隣の隣に住んでる人だから!」
「ふーん、そうなんだ。で、二人でぶらつくのはいいけど電話に出なかった理由は?」
電話?
ポケットに手を突っ込みスマホを取り出すと着信履歴を見る。
「げ…」
「おい、どうした」
静かに悠斗の方へと着信履歴を見せる。
「なぁ雪人」
「なんだ?」
「お前なんでこんなにかけられて気づいてないんだ?」
「知らない」
「正直でよろしい。諦めて怒られてこい」
「なっ…!皐月の心読んで皐月を鎮ませる方法を教えてくれよ!」
「人の心なんて読めるわけないだろ!」
なん…だと…!?
「そもそも人の心を読めたらお前にゲームでも負けたりしないだろ!」
くそっ…俺は馬鹿なのか!?
「ああお前は馬鹿だよ」
「やっぱり人の心読んでるじゃねーか!」
「お前とは付き合い長いだろ!それくらい分かるわ!」
「そろそろいい言い訳は思いついた?」
腕を組み指をタンタンとしている。
これは本気で怒ってるよ…
それから少しの間俺と悠斗は皐月に叱られた。
その間に綺華さんがいなくなっていたのは気にしないことにしとこう。
ずいぶん遅くなりましたごめんなさい。
書く時間がないのと話が思いつかなかったの二段重ねで…
次からの話ですけどもう片方の小説でも言ってますがおそらく更新はものすごく遅くなると思います。ごめんなさい。
3月中旬からはまた再開するつもりなのでそのときはよろしくお願いします!
あ、3月中旬まで投稿しないという訳では無いです、多分。
それではまた次の話で!




