表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/32

文化祭二日目

「ん……六時半か」

その場から起き上がりまだ半開きの目を手で擦ると洗面所へと向かおうとする。

「………!?」

慌ててスマホを手に取り写真を撮る。

「これはなかなか大胆なことを…多分本人は気付いてないだろうけどな」

半開きだった目が完全に開ききった。

「それにしても梨乃、寝相悪すぎないか?」




「お兄ちゃん起きてー!」

なんだ…もう朝か。

それにしても眠いな…起きてないフリをしておこう…

「……」

「お兄ちゃーん…わかってるんだけど」

……さすが琴瑚。

「…おはよう琴瑚」

「おはよう。もうほとんどみんな言っちゃったよ」

みんな…?

……そうか。そういえば泊まりに来てたな。

…ん?ほとんど?

「なぁ琴瑚、ほとんどって?」

「梨乃ちゃんがついさっき起きたところだよ!それにしてもいいよね、お兄ちゃんの高校。文化祭でもシフト?が入ってないと別に行かなくてもいいなんて」

そう。俺らの学校は文化祭は自由参加だ。

だからシフトとかが入ってない限りは別に行く必要が無い。

「琴瑚も受ければいいじゃないか」

「んー…でも通うとしたらちょっと遠いしなぁ」

二日に一回俺の家に来れるんだから余裕だろ…

なんてことを思いながら

「下宿したら?」

「お兄ちゃんもしてるからお金が心配だよぅ」

そこまで考えてるとは…さすが俺の妹だ。

「んー…それじゃこの家に来ればいいんじゃないか?」

今まで少しよそよそしかった顔が急に笑顔になる。

まるでその言葉を待っていたかのように。

「いいの?」

「別にいいぞ。どうせ一人には大きすぎるし」

だって周りの人達はたいてい家族で暮らしてるレベルの大きさだぞ?

…あっ。綺華さんは一人だったな。

「そっか!じゃあお兄ちゃんと同じ高校受ける!」

「ある程度は勉強しとけよ?一応県内二位の私立なんだから」

まぁあんまり心配してないけど。

「大丈夫だよ!中学校のレベルじゃ自慢にならないかもだけど期末テストはずっと学年一位だし!」

そう。琴瑚は賢いのだ。

琴瑚が通っている…俺が通っていた中学校はなかなか賢い中学校だった。

あ、中学校は公立だぞ?

その中で一位をキープし続けるというのはそう簡単なことではない。

つまり琴瑚は賢くて性格良くて家事出来て見た目も良くてのほぼ完璧妹だ。

ただし運動を除く。

「相変わらず琴瑚は賢いな」

頭を撫でてやる。

「さて、歯磨きに行くかな」

リビングから出て洗面所へと行く。

まぁお風呂場の脱衣場と同じところだけど。

ガチャ

「あ、雪人君…おはよ」

洗面所から出てきたのは梨乃だった。

「おはようり……ふっ、ははははは」

「え、何…雪人君?」

「鏡見たら?」

「鏡………」

出てきたドアから入っていき悲鳴のような叫びをあげる。

「あああああああ見ないでえええええ」

そう言いながら頭を手で覆いリビングへと走って行った。

梨乃って朝弱いのか?

あれだけ爆発してたら普通気付くだろ…

歯磨き粉を歯ブラシにつけて歯を磨きはじめる。


「おっ、いつも通りに戻ってんじゃん」

顔を洗い終わってリビングに戻ると梨乃が朝ごはんを食べていた。

「あれはもう忘れてよぉ」

あの爆発した髪型からいつも通りの髪型、少しウェーブのかかったセミロングに戻っているから女子ってすごいと思う。

「無理無理。なかなか見られないしなああいうのって。写真撮っとけばよかったな」

「むぅ…雪人君のイジワルっ!」

頬を膨らませて怒…っているのかすらわからないぐらいの表情を作る。

こう見るとほんとに梨乃と琴瑚って似てるな…

「それより雪人君着替えたら?学校行くでしょ?」

「あぁそうだな…今何時だ?」

壁にかかった時計の方を見ようとしたが

「九時だよお兄ちゃん」

琴瑚のおかげで見るまでには至らなかった。

「九時か…朝ご飯食べて学校ついたら十時前か」

「それがどうかしたの?」

ご飯を食べている梨乃が尋ねてくる。

「いや、どうもしないよ」

それだけ答えると自分の部屋へと向かい着替えをする。

俺の部屋とリビングはドアを開けていたら会話が聞こえるぐらいの距離だ。

琴瑚と梨乃の会話が聞こえてくる。

「琴瑚ちゃんって世話好きだよね」

うんうん。まったくもってそのとおりだ。

「梨乃ちゃんってなんか妹みたいだよね」

それもまったくもってそのとおりだが琴瑚がそれを言ってもいいのか?

一応梨乃の方が年上だぞ?

「よく言われるんだけどそれあんまり自覚ないんだよね…」

自覚なかったのか!?

キャラ作りだとばかり思ってはいなかったけどちょっとぐらいは作ってると思ってた…

「それにしても琴瑚ちゃんみたいな妹私も欲しいなぁ。琴瑚ちゃんって一家に一人欲しいね」

なにそれ!人の妹をルンバみたいな言い方しないでくれよ!

「ふふふ、なにそれ」

「もう琴瑚ちゃん私の家に引っ越してきてよ!」

梨乃が言い終わる頃俺は既にリビングのドアを過ぎていた。

「琴瑚は誰にも譲らん!!!」

右手を前に突き出し何故か梨乃を威嚇する。

「えっ…あ、冗談だよ?」

「てかお兄ちゃんの部屋まで聞こえるんだね、ここの会話って」

あれ、なんか俺だけ変人みたいな空気できてるけど何これ…

「それよりはやくご飯食べたら?」

「…そうする」



「じゃあ行ってくる」

「おじゃましましたー」

「いってらっしゃーい」

今日は土曜日。琴瑚は学校が休みだから今日は俺がここで晩ご飯も食べていくらしい。

いつも通りの通学路をいつも通りでない時間に、いつもとは違う人と行く。

学校までの道のちょうど中間くらいで

「そういえば雪人君ってもう秋服とかの準備した?」

「秋服か…まだだな。暑いし」

それにめんどくさいし。

「たしかにまだ暑いよね。でももうそろそろ買っておかないとなぁって思って」

「買うのか?」

服なんて去年ので大丈夫だろ。

「あ、なんか今『服なんて去年のでいいだろ』みたいなこと思った?」

どうしてバレる!?

なんだ?俺以外の人間には人の思っていることを読み取る能力でも存在するのか?

「うん。思った」

「やっぱりね。男の子はいいかもだけど女の子は毎年買ってる人って多いと思うよ?」

「そうなのか?出費やばそうだな…」

服って高いだろ?

まさか毎年買うほど服を気にする女子がUMIQLOなんかで安く済ます訳ないだろうし…

「それでね雪人君、来週の土曜日って空いてる?」

「来週の土曜日か…琴瑚も来ないだろうし空いてるっぽいな…」

「よかった…なら弥生モールに付き合ってよ」

「いいけど、服なら俺より女子と行ったほうが良くないか?」

俺、女子の服なんて全然わからないぞ。

どうしてそんな俺を…

「去年までは皐月ちゃんとかと行ってたんだけど、一回男の子の意見も聞いてみたいなーって思ってね」

なるほど。そういう理由か。

「なるほどな。いいぞ。また時間は今度決めようか」

「うん!」

「それにしても毎年買うってすごいなー…」

やった!雪人君とデートの約束しちゃった!雪人君は何も思ってなさそうだけど…

私こんなに緊張したのに…

でもデート出来ることになったんだし!

気合い入れて行かなくちゃ!

「おーい、何してんだ?ボーッとして」

「あ、ごめんごめん!」

「なんか考え事でもしてたのか?」

「うんうん、してないよ!ふふっ」

18話です!!

今回短いです!



次の投稿は…

明日から四連休なので明後日には投稿できるとおもいます!!


ではまた次の話で!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ